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僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)

2022.07.07 公開 / 2024.03.07 更新 ツイート

これぞ、正真正銘の不幸短歌!こんなトホホが満載なのに、なぜか幸せな気持ちにしてくれる一冊 岡本雄矢

世の中の #トホホ を拾い集めては、陳列してくれる(⁉)、歌人芸人の岡本雄矢さん。

新刊センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるのは、読めば読むほど、なぜか幸せな気持ちにしてくれる…という、不思議な一冊です。

本書に収録されている、珠玉のトホホ、珠玉の1首&1話を、再掲でご紹介します!

*   *   *

すすきのを3周したのにあのホスト僕の原付にまだ座ってる

「僕の不幸を短歌にしてみました」という連載を始めさせていただいてから、1年以上が経ちました。

 

はじめた頃はここまで続くなんて思ってもなく、ひとえに幻冬舎さんと読んでくれている皆様のおかげです。

本当にありがとうございます!

連載の第一首目は今でもはっきりと覚えています。

 

左手に見えますホストに座られているのが僕のスクーターです

 

札幌の歓楽街すすきのにスクーターを停めていたらホストの方に座られていて、「よけて」と言えない僕は、すすきのを意味もなく歩いた……という話を書かせてもらいました。

今回はその続きの話を書いてみようと思います。

(写真:iStock.com/badahos)

すすきのを30分くらい歩き、スクーターの元に戻ったのですが、ホストはまだ僕のスクーターに座っています。

正確にはスクーターの後ろの部分に腰かけています。

このままでは問題が解決しなさそうだ。

どうしよう?

言うか?

「よけてください」と言うか?

もしくは、無言でスクーターに座り、自分の物だというアピールをするか?

いや、そんなことができたら、ここまで悩んではいません。

却下です。

では、向こうに芸能人がいるみたいな動きを取ってみるのはどうだろう?

「あっちで長澤まさみがロケしてた!」とか騒げば、ホストの方は見に行くためにスクーターから腰を上げるでしょう。

その隙に、スクーターを奪えばいいのではないか?

いや、そんなことをして嘘だとバレて、もし絡まれたりでもしたら大変です。

却下です。

では、横でキッチンカーを出店するのはどうだろう?

美味しいケバブでも出せば、ホストの方は買いに行くためにスクーターから腰を上げるでしょう。

その隙にスクーターを……。

いや、あまりにも現実味がなさすぎます。

却下に決まってます。

 

色々と考えた挙句、僕は今日は地下鉄で帰り、明日スクーターを取りに来ることにしました。

自分のスクーターなのに、自分の好きな時に乗れないなんてなんなのだろうと思いながらも、帰宅し、次の日の朝、スクーターの元に向かいます。

もちろんホストの方はもういません。

僕はスクーターのシートに座ろうとしたのですが、その時に見つけてしまいました。

シートにべったりと付着した、鳥の糞を。

(写真:iStock.com/tatianatatiana)

*   *   *

この連載の書籍化第2弾『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』発売中!

関連書籍

岡本雄矢『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』

今日も世界の片隅で、ひとり膝を抱える僕とあなたのために。 不幸に愛された、トホホ名人……歌人芸人が身を切って綴る、“せつなさとおかしみ”、“短歌とエッセイ”のマリアージュ。

岡本雄矢『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』

昨日もトホホ、今日もトホホ。憂鬱だらけの毎日も、短歌に詠めば何かが変わる!「あの数ある自転車の中でただ1台倒れているのがそう僕のです」「さっきまで順調だったレジの列 急にもたつきだす僕の前」「ものすごい数のハトが集まっているおじさんに人は集まらない」他、105首の短歌とエッセイで綴る、ほろ苦さとおかしみに満ちた愛すべき日々。

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僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)

著者は、主に”不幸短歌”を詠む「日本にただ1人(たぶん)の歌人芸人」。
よく失敗する、言いたいことが言えない、反論したくても返せない、なぜ自分だけこんな目に合うのかといつも思う、自分には劇的なことが起こってくれないと嘆いて生きている……。
そんな著者から見える”世界”を、フリースタイルな短歌(&ときどきエッセイ)にしてお届け。
もしあなたが自分のことを「不幸だ」と思っているなら、「もっと不幸な男」がここにいると思ってください。

バックナンバー

岡本雄矢 主に“トホホ短歌”を詠む「日本に(たぶん)ただ1人の歌人芸人」

詠み始めるとなんでも”トホホ短歌””不幸短歌”になってしまうという特徴を持つ、「日本にただ1人の歌人芸人」。1984年北海道生まれ。吉本興業所属。コンビ「スキンヘッドカメラ」で活動中。YouTubeで「芸人歌会」を開催。北海道新聞等で連載も。

短歌とエッセイを収録した初の著書『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』には、俵万智さん、穂村弘さん、板尾創路さんからアツい推薦文が寄せられた。

最新刊は『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』。

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