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その下ごしらえ、ホントに必要?

2022.01.27 公開 ツイート

ゆで時間やゆで加減は、みなさんのお好みで決めればいいの。もやしなんかはゆでながら時々食べて様子を見ています。 野田真外/松本仲子

コロナ禍を経て、自宅で料理をする人が男女共に増えています。でも、いざ始めてみると色々と素朴な疑問が出るものですよね。そんな料理初心者の方をはじめ「なんとなく日々料理をこなしているけど、自己流でやっていてイマイチ美味しくならない」という方にお勧めなのが『その下ごしらえ、ホントに必要?』です。必要だと思っていたけれどやらなくてよかったことや、これは外さないで! ということが分かる本書から少しずつ試し読みを掲載致します。

(写真:decoplus.inc)

野田 野菜をゆでる時に、ネットのレシピだと「ゆでます」しか書いてないことがあって、何分くらいゆでたらいいんだろうって悩みます。

松本「ゆでる」でよくお話しするのが、もやしなんです。私は生のもやしの青臭さが好きじゃないんですね。でも、もやしをゆでてドレッシングをかければサラダになるし、出汁割しょうゆをかけたらおひたしになるでしょう。だからよくもやしをゆでるんですけど、その時に私、ゆで上げるまで鍋のそばにいて時々食べるんですよ。食べてみて青臭さがなくなったと思ったらすぐに上げて、冷たい水でさっと洗って。そうするともやしがぴんとしてるんです。そのタイミングを逃すと、もやしがゆでた後にくにゃっとなるんです。もやしは青臭さがありますから、それが消えたらすぐに冷水に取ると美味しいですよ。

野田 その時のもやしのゆで時間は、大体どのくらいですか。

松本 1分か2分くらいですね。だからそばにじっと立ってます。

野田 食べてみて、ゆで具合を確認するんですね。

松本 白菜でも、白い色をしてるのでまだゆだってないと思っていても水に取ったら途端に透明になるでしょ。私は、白菜やもやしをゆでる時は色をあまりあてにしないんですね。中に空気が入ってるから白く見えるんだけど、ゆでているうちに中の空気が追い出されたら透明に見えるって聞いています。見た目で確かめるのは難しいんですね。

野田 なるほど。

松本 私は白菜やキャベツもしゃきっと仕上げたい時は時々途中で食べてみます。味ではなく「しゃきしゃきさ」を確認するために。

野田 ちなみに、ほうれん草は何を目安にゆでたらいいでしょうか。

松本 ほうれん草は、根の辺りをちょっと爪を立ててつまんで柔らかくなったら、ですね。

野田 その「柔らかさ」の加減を人から教えてもらうのは難しいですね。

松本 ある方の本には「ちょうどいいかどうかを知るには経験が必要です」って書いてあったの。本当に、1回2回ではわからないと思うんですよ。実際に作ってみて、「この前はちょっとゆですぎたわ」とか「足りなかったわ」とか、何回か経験して覚えていくものでしょうね。

ゆで加減というのは決まったものではないと思います。里芋だったら、竹串で刺してすっと入ればっていうのはわかるんですけど、ほうれん草は軸のところを竹串で刺そうと思っても、細いので感覚がわからないでしょ。それに、里芋を煮る時も、それを柔らかく煮たいか、ちょっと歯ごたえがあるくらいに煮たいかは、他の料理とのバランスや個人の好みによって違うでしょう。

野田 僕らは学校教育のせいか、最初から失敗したくないと思っちゃうんですよ。だからつい、レシピとか料理本とかに「正解」を求めてしまうんですけど、その時々で条件も違えば、好みもそれぞれですもんね。

松本 そうなんですよね。白菜やもやしなんかは、白いところをじっと見ていてもわからないし。実はもう煮えてるんだけど、白く見えるだけだっていうのをちょっと頭に入れておくと鍋料理の時に煮えすぎを防ぐことができるかもしれませんね。

野田 色や見た目に惑わされないということは覚えておきたいと思います。

関連書籍

〈教えた人〉松本仲子/〈教わった人〉野田真外『その下ごしらえ、ホントに必要? 段取り少なく美味しくできる、家庭料理の新常識レシピ』

家庭で炊事担当になった男性TVディレクターが女子栄養大学名誉教授に教わった、「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツ

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その下ごしらえ、ホントに必要?

家庭で炊事担当になった男性TVディレクターが女子栄養大学名誉教授に教わった、「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツ。

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野田真外 映像ディレクター

1967年生まれ。福岡県北九州市出身。CM制作会社、フリーランスを経て、2003年に有限会社グラナーテ設立。TV番組など映像の演出をメインにグラビアDVDから温泉旅番組、オタク番組まで幅広く活動。主な映像作品に『東京静脈』(03)『行くぞ! 30日間世界一周』(08)等。押井守原理主義者で1997年には研究本『前略、押井守様。』(フットワーク出版)を上梓。

松本仲子

1936年生まれ。女子栄養大学名誉教授。聖徳大学大学院兼任講師。管理栄養士。医学博士。専門分野は調理学、官能評価法、食文化論。「調理法の簡便化が食味に及ぼす影響」等の研究多数。著書に『楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?』(朝日新聞出版)、『調理と食品の官能評価』(建帛社)、『日本食と出汁―ご馳走の文化史―』など多数。

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