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アルパカ通信 幻冬舎部

2021.12.28 公開 ツイート

第3回 横関大『ミス・パーフェクトが行く!』/カツセマサヒコ『明け方の若者たち』

颯爽と現れたニューヒロインが活躍する!横関大さんの世直し小説『ミス・パーフェクトが行く!』&映画も楽しみな『明け方の若者たち』 アルパカ内田/コグマ部長

一日一冊読んでいるという”本読み”​​​​​​のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。

そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。

*   *   *

元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第3回 横関大『ミス・パーフェクトが行く!

老害政治家がとんでもない問題発言! 炎上する世論を納得させるため、キャリア官僚の真波莉子は火消しに奔走。彼女の信条は「仕事とは、問題を解決すること」。外交、経済、パワハラ、セクハラなんでもござれの、なんでも屋。実は「ミスター・パーフェクト」と呼ばれる現職総理大臣の隠し子でもあり―。莉子の進むところ、問題はあれど敵はなし。パーフェクトなヒロインによる世直し小説。

こんにちは。好きな言葉は「パーフェクト」。アルパカ内田です。

愉快、爽快、痛快……文字通りパーフェクトな物語。よくぞここまで読みどころを凝縮させたものだ。みなぎる高揚感は半端なく、スピード感も凄まじい。上質なエンターテインメント作品を何冊も一気読みしたような充足感を味わえた。

主人公の真波莉子(29)は厚生労働省のキャリア官僚で、颯爽と仕事をこなすスーパー・ウーマン。しかも実は現職総理の娘(隠し子)であり、政権ブレーンとしても暗躍しているから驚きだ。前代未聞の設定なれど、どの場面からもリアリティのある映像が目に浮かび、抜群の説得力を感じさせる。

莉子のポリシーは「仕事とは、問題を解決すること」。政治家の炎上発言の火消し、ファミレスの売上回復、客室乗務員のセカンドキャリアの斡旋、赤字病院の救済。何でも出来る彼女には次々と無理難題が突きつけられるが、すべて現場に入りこんでズバッと解決させてしまう。それぞれ導き出された解答には公務員だった著者の実体験が垣間見られ、ビジネス的な観点からも大いに参考になる、実に学びに溢れた一冊だ。

莉子の相棒は運転手兼警備役の城島真司(42)。バツイチ子持ちの心優しき男である。何事にも超ドライな莉子が城島父娘と触れあいながら人間的に変化していく様にも要注目。守るべきはこの国であり企業であり家族であり愛する人である。不況を乗り切るヒントと、常識を打ち破る規格外のパワーがここにある!

アルパカ内田さんの手描きPOP!

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
カツセマサヒコ『明け方の若者たち

明大前の退屈な飲み会で出会った彼女に、一瞬で恋をした。世界が彼女で満たされる一方、社会人になった僕は“こんなハズじゃなかった人生”に打ちのめされていく―。人生のマジックアワーを描いた、20代の青春譚。

こちらはもっとも「パーフェクト」から遠い登場人物たちの物語。

主人公の“僕”が、大学の飲み会で出会った彼女に一目ぼれしたことからストーリーが始まる。明大前駅の小さな公園、下北沢の路地、レンタカーで出かけた夏の旅、高円寺のアパート……。なんでもない場所で紡がれたなんでもない日々。でもすべてがキラキラしていた。大学生から社会人になった“僕”の日々はすべて彼女で満たされていく。

「もうとっくに肩の上まで、彼女という沼に浸かっていた。好きだった。」

きっと、誰にでもあった思いだろう。読者は皆、自分の記憶を重ねて、この物語を読み進める。

そして、これも多くの読者たちは知っている通り、たいていの恋愛には必ず終わりがくる。“僕”も例外ではなかった……。

「明け方の若者たち」と聞いただけで、誰もがそれぞれの過去に体験したであろう、徹夜明けの高揚感と気だるさ、長い影を作る朝日に照らされた街の色や匂いなんかを思いだす。

振り返れば人生の「マジックアワー」。それは、あの朝の風景のようにすぐに形を変えてしまう。著者はその輝かしい時間をある時は眩しく、ある時は徹底的にダサく不様に描ききった。この物語には完璧な人は出てこない。だからこそ、みんなこう思うはずだ。これこそ自分の物語だと。あの日の自分がここにいると。

※12月31日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは5000枚以上で著書に『POP王の本!』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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