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アルテイシアの熟女入門

2021.11.01 更新 ツイート

ロリコンに甘すぎる国でJJが子どもを守るためにできること アルテイシア

「忘れっぽいんでな、メモってたんだ」

これはジョジョの承太郎のセリフだが、JJ(熟女)はメモったことを忘れるので、メモ用紙を冷蔵庫に貼るまでがJJムーブだ。

そんなJJの忘却力をもってしても、忘れられない記憶がある。

私の初めての性被害は5歳の時だった。

近所のおもちゃ屋の店主に体中まさぐられた感触を、今もはっきりと覚えている。

 

大人になって同級生たちが「私もあいつに触られた」と話していたので、そいつは児童虐待の常習犯だったのだろう。

子どもは怖いことがあると親に隠そうとするため、店主の犯罪は明るみにならなかったのだろう。

また子どもはそれが性被害だと認識できず、後になって気づくことも多いので、被害を訴えられるための性教育も必須である。

私も周りの友人たちも、子どもの頃から通りすがりに卑猥な言葉をかけられたり、露出狂に遭遇したり、電車や路上で何度も痴漢に遭っている。

日本共産党東京都委員会のジェンダー平等委員会がおこなった痴漢被害についての調査によると(詳細はこちら

回答者の96%に被害経験があり、被害時の年齢は18歳以下が71・5%、12歳以下が34・5%にのぼっている。

つまり7割強が子どもの頃に痴漢被害に遭っているのだ。

7割強の子どもが電車や路上で殴られている、と聞いたら「そんな社会は異常だ」と気づくだろう。

「殴られないために子どもが自衛しろ」だの「被害者が生意気な恰好をしてたから」だの言わないだろう。

みんな被害者じゃなく加害者を責めるし、これは子どもじゃなく大人側の問題だ、とわかるだろう。

一方、痴漢については「被害者が自衛しろ」だの「ミニスカートを履くな」だの言われる。
「冤罪じゃないか」「売名じゃないか」と性被害を訴えた側がバッシングにさらされる。

性被害については感覚がバグる。それは日常に性暴力や性搾取が溢れていて、感覚が麻痺しているからだ。

こんな社会が異常だと気づかないことが異常なのだ。

タカラトミーとアメトーーク! の炎上を覚えているだろうか?

JJは今まで食ったパンの枚数どころか、昼食に食ったのがパンかうどんかも覚えていないが、これらの件にギョッとしたことを覚えている。(詳細はこちら

タカラトミーの件は、公式Twitterが「#個人情報を勝手に暴露します」とハッシュタグをつけて「とある筋から入手した、某小学5年生の女の子の個人情報を暴露しちゃいますね……!」という文章と共に、リカちゃんの誕生日や体重身長、リカちゃん電話の番号を投稿。

「久しぶりに電話したら、昨日の夜はクリームシチュー食べたって教えてくれました。こんなおじさんにも優しくしてくれるリカちゃん……」と連投した。

それらのツイートが批判されると「ただの商品紹介告知のつもりでした……後悔はしていません……」「またシャバの空気が吸いたいよぉ」と返信。

おまえそれしらふで言うとんか?

と私は全身の毛が逆立ったし、おもちゃ屋の店主から受けた性被害がフラッシュバックした。

よりにもよって、子ども向けのおもちゃメーカーがこんなツイートをするなんて、感覚が麻痺しているにもほどがある。

後日タカラトミーはTwitterで謝罪すると共にツイートを削除したが、企業が受けたダメージは計り知れない。

子育て中の友人たちは「リカちゃんに罪はないけど、二度とあそこのおもちゃは買わない」と宣言していた。

アメトーーク! の件は、「もっと売れたい芸人」として出演したアイドルオタクの男性芸人が「推しメンは14歳あたりが多い」と語ったうえで「虐げられてるんですよ、ロリコンって言われて、小さいアイドルを応援していると。アメリカの仲間とか、体内にGPSとか埋め込まれてますよ」と発言した。

わいとんか?

これは関西弁で「あなたはどのような考えでその発言をされたのですか?」という意味である。

彼の言う「仲間」とは、児童に対する性犯罪で捕まった人々のことだろう。それを「笑いのネタ」として話すなんて、完全に感覚が狂っている。

これが欧米だったら要注意人物扱いされて、通報されてもおかしくはない。

アメトーーク! は収録番組でカットもできるのに、この発言を流していいと判断した制作側も感覚が狂っている。

ロリコンに甘すぎる国、ヘルジャパン。

ロリコンに甘すぎる国、ヘルジャパン。

大事なことなので二度言った。メディアの人間はこの言葉を写経して冷蔵庫に貼ってほしい。

この手の案件が炎上すると「表現の自由を奪うな」と金太郎飴みたいなクソリプが湧くが、表現の自由は批判されない権利じゃない。

「子どもへの性犯罪を笑いのネタにするな」「性暴力や性搾取を軽視するな」というのはまっとうな批判であり、子どもを守るのは大人の責任である。

と私は口酸っぱく書いてきた。

先日の桶ダンスのコラムでも「少年も少女も体の尊厳を守られるべき」と書いたが、欧米在住の友人たちは「こっちでは桶ダンスとかありえないし、中高生のアイドルの水着グラビアとかもギョッとされるよ」「未成年に対する性暴力や性搾取にはめちゃめちゃ敏感だよ」と話していた。

以前、イタリア人タレントのジローラモさんの発言がツイッターで話題になった。

中高生のアイドルを並ばせた番組にジローラモさんがゲスト出演した際、「毎回恒例の質問です、どの子がタイプですか?」と司会者に聞かれたジローラモさんはびっくりして「みんな子どもですよね? みんな自分の娘だったら嬉しいですね」と答えたそうだ。

これがまっとうな大人の感覚だろう。

ヘルジャパンでは、未成年の少女を「子ども」じゃなく「若い女」として見ている男が多すぎる。

少し前に、国会議員が「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる、それはおかしい」と発言して批判を浴びた。

50歳の男が14歳の少女とセックスする、と妄想するだけでもキモすぎるが、それを政治家として公に発言するなんて……

吐き気を催す邪悪とはッ!!

この発言に対して「少女から求める場合もある」と擁護するコメントがあったが、14歳の少女に「酒を飲みたい」と言われたら「未成年は飲んじゃダメ」と注意するのが大人の常識だろう。

未成年は酒も飲めないしクレカも持てないし選挙権もないのに、セックスだけは判断能力があるから大人扱いしろだなんて、あまりに都合がよすぎる。

どれだけ男の性欲に甘い社会なのか、こんな社会でどうやって子どもを守るのか?

日本は性犯罪に関する刑法も遅れている。

性交同意年齢が13歳というのは諸外国の中でも異例の低さだし、暴行脅迫要件もいまだに改正されていない。

今の法律では13歳になると性行為に同意する能力があるとみなされ、かつ性行為を迫られた時に「イヤだ」と断っただけでは足りず、「暴行または脅迫があった」と証明しなければ、加害者は罰せられない。

ムチャやがな。つかおっさんに迫られたら怖すぎてイヤとか言われへんがな。

と一度は13歳だった者は思うだろう。

だから大人の性暴力から子どもを守るために、性交同意年齢を16歳に引き上げようと議論しているのだ。
そこで「おっさんの自分を守れ」ってマジ何言ってるかわからないポルナレフ状態である。

10年以上前、ガラケー時代に悩み相談コラムを連載していた。当時、中高生からネットで知り合った男性についての相談をよくもらった。

「30代の彼は仕事が忙しくて会えないけど、私がつらい時や寂しい時にメールをくれます。ただ彼のプロフを見ると、つながってるフレンドが中学生の女の子ばかりなのが気になります。私は本命じゃないんでしょうか?」

みたいな中学生からの相談に「まともな成人男性は中高生とつながろうとしない。あなたに連絡してくる時点でそいつはヤバいロリコンだよ」「写真を送れとか住所を教えてとか言われても、絶対に応じてはいけないよ」と答えていた。

「信頼できる周りの大人に相談してね」と書きたかったが、信頼できる大人がいないから私にメールしてくるんだよな、と思った。

中高時代の私にも信頼できる大人なんていなかった。

毒親家庭で寂しさと孤独を抱えていた私は自分では大人のつもりだったけど、世間知らずの子どもだった。

おまけにガチの夢女子だった。

だからネットで知らない男に優しくされたら、自分を救ってくれる救世主だと勘違いしただろう。まんまとコントロールされて、要求に従ってしまっただろう。

私の中高時代にネットがなくてよかったと思う。

当時、女子校の憧れの先輩と文通していた話を若い人にしたら「平安時代みたい!」と驚かれた。

今は学校でもネットの危険性を教えているが、学校や家庭に居場所がない子どもはインチキ救世主にすがってしまう。

そんな子どもたちの弱みにつけこみ、性搾取しようとする大人がゴマンといる。

居場所のない少女たちを守る活動をしてる仁藤夢乃さん(Colabo代表)のインタビュー記事をぜひ読んでほしい。

『たとえばSNSで10代の女の子が「泊めてほしい」「行くところがない」といった投稿をすれば、10分程度で20人ほどの男性から「サポートするよ」といったメッセージが届くんです』

『Colaboにつながる10代の女の子たちの多くは、学校や警察にSOSを出した経験があるのですが、その際の対応が不適切で、大人への不信感が蓄積され、「誰にも頼れない」と思っている子が少なくありません』

『こうした経験からか、「諦め感が強い」という特徴もあります。性搾取をされても「自分のせいだ」「どうせ選択肢がない」と自己責任だと思い込まされ、無力感に苛まれている子が多いです』

そんな少女たちが「売った側も悪い」「金を受け取ったくせに」とバッシングにさらされる。これはメディアにも大きな責任がある。

メディアは「援助交際」「パパ活」と言い換えずに「児童買春」と書くべきだ。

「援交少女の闇」だの「バイト感覚でパパ活」だのと少女側の問題にすりかえて、性搾取する男性たちの罪を透明化するなと言いたい。

大人の罪を子どもになすりつけるなと言いたい。

体を売ろうとする少女がいたら、適切な支援につながれるようにサポートするのがまっとうな大人だろう。

『男性が逮捕されると「お金を受け取ったのに」「男性がかわいそう」と言い出す人が少なくない。現状、売る側の問題にしておけば福祉も社会も反省せずに済むため、少女たちが切り捨てられているのだと思います』

『買う側の成人男性と買われる側の未成年少女は、どう考えても対等な関係ではありません。(略)「需要と供給の一致」「winwinの関係」「お金をもらったのだから」と言い出す人もいますが、そこに対等な関係性はなく、金銭を対価に性関係を要求すること自体が性暴力であって性搾取です』

という仁藤さんの言葉に膝パーカッションを連打しつつ、ささやかながらColaboに寄付を続けている。

今では寄付とかできるようになったけど、10代の私はひたすら金がほしかった。

うちの母は子どもに本を買うより自分のブランド物を買いたい人だったので、「銭がほしいズラ」「本を買いたいズラ」と銭ゲバ顔で街をさまよっていた。

そんな時、JKビジネスで金儲けする大人に「簡単なバイトだよ、おじさんとカラオケするだけで3千円もらえるよ」と声をかけられたら「やってみよかな」と思ったかもしれない。

そんな高校生の私を羽交い絞めして「やめておけ!!」と叫びたい。

「きみは世間知らずの子どもでリスクをわかってないんだよ、そういうおっさんの要求はエスカレートするんだよ、ちんこを見せてきたりするんだよ」

と言っても生意気ざかりの私は「そんなのやってみなきゃわかんないし、つかおばさん誰?」と返すだろう。

そこで「その年で性欲むきだしのキモいおっさんを見たらショックを受けて傷つくし、男性に対する見方も歪むし、まともな恋愛ができなくなるぞ」と説得しても「何事も経験してみなきゃわかんないし、つかおばさん誰?」と返すだろう。

そこで45歳の私は「世の中には経験しないほうがいいこともある! つか俺はおまえだ!!」と10代の私を張り倒すかもしれない。

でも10代の私のほうが強いので、返り討ちに合うと思う。同級生と教室で相撲を取ったりしてたし。

我々が真に張り倒すべき相手は、性搾取する人々であり、ロリコンに甘すぎる社会である。

私は大人として少年も少女も守りたいし、それが中年の役目だと思っている。なのでこつこつコラムを書きながら、相撲の稽古に励みたい。どすこい。

*   *   *

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アルテイシアの熟女入門

人生いろいろ、四十路もいろいろ。大人気恋愛コラムニスト・アルテイシアが自身の熟女ライフをぶっちゃけトークいたします!

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アルテイシア

神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』など。最新作は『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』がある。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。

Twitter: @artesia59

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