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雅子さまの笑顔

2021.09.03 公開 ツイート

眞子さまと小室圭さんの結婚、応援しますか?反対ですか? 矢部万紀子

秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんが年内に結婚の予定と報じられています。婚約内定から4年。お二人の結婚は、「国論を二分する」と言っても大袈裟ではないくらい、日本中の関心の的となってきました。コラムニストの矢部万紀子さんは、この問題を「皇族の生きづらさ」という視点から考え続けています。矢部さんが2020年3月に出版した『雅子さまの笑顔~生きづらさを超えて』から一部抜粋してお届けします。

*   *   *

2017年9月3日ご婚約内定の記者会見(写真 宮内庁)

月のうさぎに込められた思い

二〇二〇年(令和二年)一月十六日、皇居・宮殿で「歌会始の儀」が開かれた。雅子さまが十七年ぶりに出席されたことが話題になったが、私の心をわしづかみにしたのは、眞子さまの歌だった。

望月に月の兎が棲まふかと思ふ心を持ちつぎゆかな

お題は「望」。一読し、なんて内省的なのだと思った。過去の歌と全然違う。

歌会始は天皇、皇后をはじめ、成人した皇族が参加する。眞子さまのデビューは二〇一二年(平成二十四年)だった(お題は「岸」)。

人々の想ひ託されし遷宮の大木岸にたどり着きけり

少し飛んで、二〇一五年(平成二十七年)のお題は「本」。

呼びかける声に気づかず一心に本を読みたる幼きわが日

二〇一九年(平成三十一年)は「光」。

日系の百十年の歴史へて笑顔光らせ若人語る

眞子さまの懸命さと賢明さが伝わる歌が並ぶ。ここで紹介しなかった歌も含め、二〇一九年(平成三十一年)まではすべて「場所」または「過去」の一場面を切り取っている。だが、二〇二〇年(令和二年)に切り取ったのは、心だった。

素人なりに口語訳してみるなら、「満月を見て、うさぎが棲んでいると思う。そんな心を持ち続けたい」といったところか。

日刊スポーツが「月の伝承を取り上げ、豊かな想像力を持ち続けることへの憧れを表現した」と伝えていた。私の意見は少し違う。「純粋さ」を詠んだのだと思う。

子どもの頃、月にうさぎがいると信じていた。ところが大人になってしまうと、満月を見ても「うさぎがいる」とは思わない。だけど「うさぎがいる」と思う、純粋な気持ちを持ち続けたい。そういう眞子さまの意思を表明した歌だと思う。

人を好きになる時、計算する人もいるかもしれない。だけど普通は、単に「好き」と思うものだ。眞子さまは国際基督教大学(ICU)の留学説明会で小室圭さんと出会い、好きになった。その気持ちのまま、結婚を決めた。

それがいつの間にか、違うことになった。大人が寄ってたかって、「月にうさぎなんていないよ」と言いにくる。だけど、うさぎを信じた子どものように、純粋なままでいたい。眞子さまの、そんな心の叫びが聞こえてくる。不憫なり。

小室さんと小保方さんの共通点

小室さんと並んで婚約内定の会見をしながら、眞子さまの結婚が延期になると発表されたのは二〇一八年(平成三十年)二月だった。それから二年が過ぎようというタイミングで、眞子さまが詠まれた歌。不憫なり。

父の秋篠宮さまは歌会始のほぼ二カ月前、五十四歳の誕生日にあたっての会見で、「この次の2月で2年たつわけですね」「2月に今の気持ちというのを発表しているわけですので、何らかのことは発表する必要があると私は思っております」と語っている。

眞子さまと小室さんは、どうするのだろう。

小室さんは現在、ニューヨークのフォーダム大学ロースクールで勉強中だ。婚約内定の会見時、補助的で資格がいらない「パラリーガル」という職業があれこれ論じられた。この留学で法律家を目指すことをはっきりさせたわけだが、それでも小室さんを見る世間の目はあまり変わらなかった。母の「借金問題」が消えないからだ。

小室さんという人のことを考える上で、一番示唆に富んでいると感じたのは、あるニュースサイトの編集者から聞いた言葉だった。

「見出しに名前があれば、必ずすごく読まれる記事になるのは、小室圭さんと小保方晴子さん」

なぜなのかと考え、気づいたのは二人の共通点だ。「一度は頂点にいた」が共通している。

小保方さんは「STAP細胞」の発見、小室さんは「皇族との結婚」目前、ある種の頂点に立った。そこからの経緯や状況はまるで違うが、「頂点にいない」ことでは同じだ。立っていた頂点が高ければ高いほど、「そこにいない」ことが面白い。ザマアミロと溜飲が下がる。だから二人は「読まれる人」になるのだろう。

小保方さんの場合、STAP細胞の再現実験は成功せず、博士論文にまで「不正」が見つかった。一方、小室さんには「母の借金問題」があるが、「四百万円を貸した」と言っているのは母の元婚約者で、母と小室さんは「借りたのでなく贈られた」という認識だ。二〇一九年(平成三十一年)一月には、「母に代わって」説明する文書も発表している。

だが、小室さんと母はメディアにとって今や「ツッコミどころ満載」の存在で、簡単に記事は減らない。同時に思うのは、小室さんを語ることが大なり小なり、「皇室のこれから」を語ることになるということで、そこが単なるスキャンダルと違う点だ。そういえば小保方さんという人も、日本における「科学」のありようをある種、示していたなあと思う。それも含め、二人は「読まれる人」なのかもしれない。

皇族に「結婚の自由」はないのか

「週刊ポスト」(二〇二〇年一月十七日・二十四日号)の「国論真っ二つの大激論」という特集は、コンパクトに「小室さんから皇室を考える」切り口を示していてわかりやすい。

安倍首相は「4選目指すべき」か「早期退陣すべき」か。介護を受けるなら「在宅」か「施設」か。そのような「国論」と並んでいるのが、「眞子内親王と小室圭氏の結婚」を「進める」か「白紙」か。

二人の識者が登場、同じ行数で意見を述べる形式だ。眞子さまと小室さんの結婚問題は、漫画家の小林よしのりさんが「進める」立場、明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰さんが「白紙」の立場で登場している。

竹田さんは、小室さんが皇室と関係を持つのにふさわしくない人物だと主張している。その理由は、これに尽きるようだ。

皇室とは公的な存在であり、関係を持とうとする人には一定の品格が求められます。残念ながら、小室さんはその基準を満たしてないように思えます。

一方の小林さんは「借金問題」について「借用書もなく、気にする必要なし」としたのち、以下の二つを述べている。

とにかく眞子さまは小室さんが好きなんだから、皇族だろうと何だろうと、人の恋路を邪魔してはいけない。結婚できないとしたら、眞子さまがあまりにかわいそうじゃないか。

わしは小室さんは男としてたいしたものだと思っている。皇族女性と結婚しようとするだけで勇気が要るし、こんなに批判に晒されてもニューヨークで法律の勉強をストイックに続けている。

ここで論じられているのは、皇族の生きづらさだと思う。皇族は、人としての「権利」をどこまで持つか。そういう問題を考える必要性を提起する人。それが小室さんなのだ。

小林さんは「人の恋路を邪魔するな」の「人」に、「皇族」も含まれると考えている。すでに紹介しているが、佳子さまの「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」も同じ立場からの意見。「皇族も人です」と皇室の中から主張する佳子さま。この凜々しさは、次女ゆえかもしれないと思ったりもする。

結婚を白紙にすべきという竹田さんは、「皇室は公的な存在」だから「一定の品格という基準」を満たした人でないと関係は持てないとしている。慎重に「公的な存在」という表現を使っているが、「特別な存在だ」という主張だろう。

裏返せば特別な存在だから基準以下の人は入れないとなるのだが、これは眞子さま側からすれば「特別な存在だから、好きでも結婚するな」となってしまう。

そんなこんなで小室さんは、「皇族の幸福」を考えるきっかけを世の人々にくれた。

*   *   *

眞子さまだけでなく、雅子さま、佳子さま、そして愛子さまも、それぞれの生きづらさを抱えているのではないか――『雅子さまの笑顔~生きづらさを超えて』は、女性皇族にとって生きやすい皇室を考えながら、誰にとっても生きやすい社会のあり方を問う、等身大の皇室論です。
 

関連書籍

矢部万紀子『雅子さまの笑顔 生きづらさを超えて』

弾けるような笑顔、華やかなファッション、外国賓客に対する堂々たる振る舞いと、日々輝きを増す皇后雅子さま。しかし、一九九三年のご結婚から今日までの道のりは、長く苦しいものだった。外交官から皇室へと新しい人生を選択したものの、男子出産の重圧にさらされ、生きる意味を見失った日々。そこからどう立ち直ってこられたのか?失わなかった「普通の人としての感覚」とは?雅子さま、そして愛子さまほか女性皇族にとって生きやすい皇室を考えながら、誰にとっても生きやすい社会のあり方を問う、等身大の皇室論

矢部万紀子『美智子さまという奇跡』

一九五九(昭和三四)年、初の民間出身皇太子妃となった美智子さま。その美しさと聡明さで空前のミッチーブームが起き、皇后即位後も、戦跡や被災地を幾度となく訪れ、ますます国民の敬愛を集める。美智子さまは、戦後の皇室を救った“奇跡”だった。だが、今私たちの目に映るのは、雅子さまの心の病や眞子さまの結婚問題等、次の世代が世間にありふれた悩みを抱えている姿。美智子さまの退位と共に、皇室が「特別な存在」「すばらしい家族」である時代も終わるのか? 皇室報道に長く携わった著者による等身大の皇室論。

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矢部万紀子 コラムニスト

1961年三重県生まれ。コラムニスト。83年朝日新聞社に入社し、記者に。宇都宮支局、学芸部を経て、「アエラ」、経済部、「週刊朝日」に所属。94年、95年、「週刊朝日」で担当したコラムをまとめた松本人志『遺書』『松本』(ともに朝日新聞出版)がミリオンセラーになる。「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理をつとめたのち、書籍編集部で部長をつとめ、2011年、朝日新聞社を退社。シニア雑誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長となる。17年に株式会社ハルメクを退社し、フリーランスで各種メディアに寄稿している。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)がある。

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