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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2021.08.30 更新 ツイート

第161回 時代 いとうあさこ

そんな時代もあったねと
いつか話せる日が来るわ

先日行われました今年の24時間テレビ。土曜日、「イッテQ!」女芸人軍団で中島みゆき「時代」を大合唱いたしまして。1ヶ月間練習の日々。その中で今回、合唱の強豪校にお邪魔して武者修行にも行ってきました。

 

まずは岩手の不来方(こずかた)高等学校。「切手のないおくりもの」の大合唱で迎えてくれた。歌声がとてつもなく美しい上に、その歌と共に歌詞を描く手話が果てしなく優しい。しかもマスクをしているとは思えないその声量で、大人数なのにちゃんと重なって1つの声のように聞こえる。はい、おばちゃん大号泣。ああ、合唱バンザイ。帰りもみんなアカペラで何曲も歌ってお見送りしてくれて。“声を合わせる”大事さと凄さを教えてもらった。

お次は八丈島へ。大賀郷中学校音楽部は部員が8人。しかも中3が6人で、中1・中2は共に1人ずつ。つまり中3が卒業したら部員は2人だけ。話を聞くと、今の中3が入るまでも部員1人で。その先輩が守ってくれた大事な部だからこそこの先も守っていきたい、と。そんなみんなの声が清らかで、大きく広がる感じがする秘密はすぐにわかった。周りを囲んでいる大自然。“いつも歌っている所”と連れていってくれたのは、目の前が海の丘の上。大海原を見渡しながら歌うと自然に遠くへ届けようと声も出るし、なにせ北島康介さんの言葉をお借りするなら“ちょー気持ちいい”。この島唯一の合唱部には“歌う事の気持ちよさ”を教わった。

私は伺えなかったのですが北海道帯広三条高等学校にも。VTRで拝見しましたリーゼントがトレードマークの“鬼コーチ”。厳しくも的確な指導で声の質を鍛えてくれる。だって奴ちゃんがあっという間にホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」の一番高い音出ちゃったんだから。こうやって自分の声がどんどん進化してくと、歌う事がもっと楽しくなるだろうなぁ。“鬼コーチ”是非お会いしたかったっす。

そして最後は千葉県立幕張総合高等学校。今回、ここの高3の21人と当日国技館で一緒に合唱させていただく事に。いやぁ、ここの練習も凄かった。とにかく言葉を一つ一つ掘り下げていく。そうすると自然に歌う部分によって表情も表現も変わってくる。とても大切な“歌詞に思いをのせる”事を叩き込まれた。

これらの武者修行に加えて、もちろんうちらだけの特訓も。先生方に細かく注意していただきながら、ひたすら歌う。呼吸、息継ぎ、歌う時の頬骨の位置や口の開け方、強弱、言葉の意味、立ち方、表現などなど。気にしなきゃ行けない所は山ほどあって、一個気にしたら一個忘れる、の繰り返し。それがやっていくと自分でも変化を実感。決して“上手”ではないのですが、とにかくどんどん声が響くようになってきまして。しかもいくら歌っても多少の疲労はあっても声が潰れない。その変化・進歩が嬉しくて、更に歌う。私はアルトだったので、もう「時代」ではなく“新曲”。その“新曲”を毎日歌いまくって体に浸透させていきました。

本番当日は帯広、不来方、八丈島のみんなはそれぞれのふるさとからVTRで歌声を重ねてくれた。そのVTRは国技館が初見。現地ではマスクしていたみんなが、マスクを外し、表情豊かに、地元の美しい景色の中、思う存分歌っていて。初めて見るその一人一人の表情と美しき歌声にまたまた泣きじゃくりんぐ。みんな、素敵。感動。そして最後全員の声が合わさってのサビの部分。声が一つの大きな塊になったような、なんかもの凄い迫力を感じた。静かだけどめちゃくちゃ強いエネルギー。あんな感覚、初めて味わった。

そして私は日曜も「ヒルナンデス!」チームとしてLEDパフォーマンスに参加。「ヒルナンデス!」メンバーと各パフォーマーの皆さん総勢24人で見せるパフォーマンス。LEDマーチングドラムやジャグリング・ポイ、スティールパンなどいろいろある中、私は最後の最後に一人ジュディオングさんみたく白い布を羽のように広げて登場し、後ろからの映像を映し出すプロジェクションウィングに挑戦。時間にしたら20秒くらいなのですがこれがなかなか難しい。まず綺麗に回るのも難しいのですが、その羽が映像を映し出すスクリーンになるので、回りながらも出来るだけ広げなくてはならない。けど回るとどうしても小さくなってしまう。一人暗いスタジオで延々回る練習はなかなか“キツ寂し”でした。そんな私が皆さんと初めて一緒に合わせたのは本番前日のリハ。昔「イッテQ!」でチャレンジしたからわかるのですがドラムの練習は相当大変。でもリハで目の当たりにしたドラム6人のチーム感。失敗しても声を掛け合う。「いいなぁ」とその様子を見ている時、ふと横を見ると同じ顔した人がもう一人。ジャニーズWEST桐山くん。彼はレイザードラゴンと言う3キロもある器具を全身で廻して会場一杯にレーザー光線を走らせるパフォーマンスで参加。これも私同様ひたすら一人練習。二人で「仲間いいよね」「なんか楽しそう」なんて言っておりましたが、本番はこれまた信じられない感覚に。全4曲のメドレーの最初のドラム叩く音が鳴った瞬間、なんか全てが一つになった感じと言うか。私なんかはまだ袖にいるのですがみんなの集中力なのかエネルギーなのか。一瞬でそれが自分の体にも入ってきて。最後の一曲SEKAI NO OWARI「RPG」。歌詞の“僕らはもう一人じゃない”が聞こえた途端、袖で桐山くんと「僕らはもう一人じゃない!」と謎のテンションに。そのまま舞台に飛び出して行き、あっという間に出番終了。あの異常なまでの一体感はとにかく楽しく、清々しかった。

なんだか不思議な感覚を経験した二日間。合唱もエンタメ業界もいろんなコンテストやイベントがなくなり、皆さんこういうステージがある事をとても喜んで下さった。ただ、いやいや、と。結局こっちが皆さんからいただいたものが比べものにならないほど大きい。本当に本当に本当にありがとうございました。ああ、来年の夏には終わって皆でハイタッチしたり、「打ち上げだぁ!」なんて飲みに行ったり。そんな世の中になっているといいなぁ。

【本日の乾杯】本番前日、最後の合唱稽古したホールの下に大きなスーパーが。大島ちゃんとムーさんと共に物色。直感で「これ絶対美味しい!」と思ったマカロニサラダを購入。直感大当たり。マカロニも硬めで最高。こういう時のコーンもたまらないわね。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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