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特別企画

2014.04.01 公開 ポスト

『終電ごはん』DVD発売記念 
佐久間宣行×岩井秀人×梅津有希子 鼎談
第1回 一皿からストーリーを作るということ
岩井秀人/梅津有希子(編集者・ライター)/佐久間宣行

 昨年、7月と10月にテレビ東京で放送、そして3月26日に待望のDVDがリリースされたばかりの『終電ごはん』(書籍はこちらDVDはこちら)。料理本×コメディという異色のコラボレーションはいかにして成立にいたったのでしょうか。
 テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さん、脚本を手がけた岩井秀人さん、原案本著者の梅津有希子さんの三人が、初めてのミーティング!企画の裏側をすべて聞きました。

 

料理×コメディ

――かなり特殊な番組ですが、今回の成り立ちについて聞かせてください。

佐久間宣行さん

佐久間:ぶっちゃけた話『終電ごはん』の担当編集が、昔、僕のADさんだったんですけど、幻冬舎に移って、本を何冊か手がけたって聞いて、買った一冊が「終電ごはん」だったんです。面白いなと思って。僕も料理好きなので、そのまま会社に置いておいたんです。で、一方、僕はテレビでコメディをやりたかったんですけど、ただのコメディってなかなか企画が通らないんですよ。そんな中で仲よくしている芸人さんたちと組んでやった「ウレロ!未確認少女」がうまくいって、次は違うパターンでコメディやりたいなって考えていた時に、料理番組と組み合わせるのはどうだろうと思って企画書を書いたんですね。それが好評で、特番枠で通ったっていう形ですね。それが成り立ちです。

――演劇界で活躍されている、岩井さんに脚本をお願いした理由は?

佐久間:僕は岩井さんのファンで、「その族の名は家族」から、岩井さんの舞台作品はほぼ見ています。で、役者としてはお仕事していたんですけど、どこかで脚本をお願いできないかなと思っていた。で、この企画が通ったとき、レシピを紹介するドラマって、普通に作っちゃうと、味が出ない番組になっちゃうなと思って。短い会話が面白く書ける人にお願いしたいと思って、映画の打ち上げの時に、岩井さんを口説いたんです。

岩井秀人さん

岩井:僕覚えてない。何でスタートしたかっていうのは、本当に覚えてないなって思ったら、そうだったんですね。僕はもう、映画の打ち上げの時に寂しくて寂しくて……。

梅津:泣いちゃった?

岩井:「ゴッドタン」ってよく見てたし、その中でも「キス我慢選手権」が本当に僕、神がかっている企画だと思っていたんで。

梅津:映画すっごい面白かったです。大笑いしました。

岩井:そう。それで本当に、こんなに才能のある、すごい人たちとサヨナラしてしまうのは非常に嫌だなと思っていて、何の内容だかも分からずにOKしたんだと思います。

梅津:すごい。内容もわからずに(笑)。
 

ご飯に興味のある人、ない人

岩井:ただね、僕が本当にご飯、全然、興味がないという感じなんです。

梅津:そうみたいですね。最初に佐久間さんから聞いていました。

岩井:「でもそれは大丈夫です」って言われました。「それはこっちでやります」って。

佐久間:はい、だから独特の作り方をしました。まず料理家の高谷さんにレシピを書き起こしてもらって、それをフードコーディネーターの方に、ドラマの手順に落とし込んでもらう。岩井さんに渡して、合間にドラマを入れていただいた後、今度は、撮影チームでこの手順だと、この会話中に間に合うっていうのを話し合う。

梅津:じゃあ岩井さんは渡されたレシピ名から発想してお話を考えたんですか。

写真を拡大
高谷さんが描いた料理メモ「カレーリメイクレシピ」

岩井:話はそうです。どうやって作るかもどういう見た目かも、全然分からないし。あっ、でも料理家さんの描いてくれる絵に助けられました。例えば「カレー3種」、にもいろんなコメントが入っていたので、ああそういう味なのね、と思いながら。

梅津:なるほど。そうですよね。ただ文字面で読んでもピンと来ないですもんね。岩井さんは夜遅い時は、どういうものを召し上がるんですか。

岩井:僕、チョコレートみたいなものばっかり食べてた。

梅津:あんまり食に興味がないんですか。

岩井:そうですね、母があまり料理が得意ではなかったので、おいしいものが幸せになるっていう感覚がほとんどなかったんです。でも妻に出会って、以前よりは随分興味が出てきたんですけど、それでも根本的なところは変わらないというか。

梅津:じゃあご自分ではあんまり作ることはないんですか。

岩井:作らないです。佐久間さんは意外と作っているっていうのでびっくりしたんですけど。

佐久間:僕は、飲食店でずっと働いていたから。

梅津:作っていたんですか! 厨房で。

佐久間:厨房にいましたよ。大学の時は新宿の居酒屋で働いていましたから。でもいま、僕が料理する時っていうのは、嫁が出かけている時、子どもの好きなハンバーグとか。でも楽してやる。玉ねぎ炒めたりしないで生のままやったり。

梅津:かなり手慣れた感じですよね。なんだか主婦っぽい。

佐久間:まあでもそこは上手じゃないです。あの昔一人暮らししていた時の方が、全然やっていましたけど、今はもう全然。
 

ツイッターから生まれた本

梅津有希子さん

梅津:もともとこの本の生い立ちっていうのが、うちの実話みたいなものなんです。私も会社員時代はいつも終電とか徹夜で朝帰るような生活で、ご飯を作る元気は全くなくて、しょっちゅうコンビニで買って帰っていました。絶対体によくないなって思いながらも、もうそれしかできなくて。で、結婚して夫が同じ編集者なんですけど、毎日終電で帰ってきて、私が起きている時は、夜中の1時、2時とかに「今日の終電ごはん」って、ささっと作ったご飯の写真をよくツイッターにアップしていたんです。

岩井:ツイッターなんですか。

梅津:鍋焼きうどんとか、なんか簡単に作ったものを。で、毎晩のようにアップしていたんです。でも私は、あまり料理が得意じゃなかったので、バリエーションもそんなになくて、「もうまな板を1日何回も洗いたくない!」とか、「10分で作れて、野菜がなるべく食べられる、終電ごはんって本が欲しい」みたいなことを、夜中に愚痴ってたら、担当編集が「あ、その本私欲しいです、作りたいです! 企画出してもいいですか」というようなやり取りから始まっているんです。

佐久間:だからメニューが結構切実なんですね。

梅津:そうなんです。それでこんなに切実なんです(笑)。
 

切実なレシピの理由

梅津:「じゃあ、疲れていてもどんなものなら作れるか」「夜中に実際に何を食べているのか」というのを周りの終電族たちにヒアリングをしました。「太りたくないから豆腐1丁しか食べない」とか、「うどんぐらいなら作れる」とか。そういう話を集めて、章立てを作っていったんです。それで料理家の高谷亜由さんに「お豆腐料理を10個、うどんで10個作ってほしい」、とかリクエストを出して、レシピを作ってもらうんですけど、高谷さんはプロの料理家なので、肉団子と白菜のスープとかが普通に出てくるんです。でも実際は、夜中に肉団子をイチからなんて作れるわけがないんですよね。「肉団子は疲れて無理だから変えてほしい」「じゃあ肉団子をエビに変えましょうか」とか、そうやって、「私はこんな工程はとても夜中には無理だから、もっと簡単に」というやり取りを繰り返しして、出来上がったレシピなんです。だから、かなり実用的なんですよね。

佐久間:でも、本当においしかったです。ドラマの現場で、撮り終わると、みんなで分け合って食べるんですよ。

岩井:次の料理を作り始めているんだけど、休憩時間に前に作ったやつをすごい勢いで食べたりしてね。

佐久間:食べる。すごくおいしかったです。

(第二回に続く)

 

 

『終電ごはん』(書籍)

『終電ごはん〜お腹いっぱい完全版〜』(DVD)

 

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岩井秀人

1974年東京都生まれ。劇作家、演出家、俳優。2003年に劇団「ハイバイ」を旗揚げ。以後全作品の作・演出を担当。2012年、初めて手がけたテレビドラマであるNHKハイビジョン特集ドラマ『生むと生まれる それからのこと』で第30回向田邦子賞を受賞。2013年、『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞受賞。ドラマ「終電ごはん」では脚本を担当。2014年7月にハイバイ「おとこたち」ツアーで東京、福岡、愛知へ。twitter:@iwaihideto

梅津有希子 編集者・ライター

編集者・ライター。1976年北海道生まれ。女性誌や単行本、Webなどで、料理、ペット、美容など幅広いジャンルの取材・執筆を手掛ける。著書に『終電ごはん』(幻冬舎)、『吾輩は看板猫である』(文藝春秋)など。吹奏楽漫画『青空エール』(作者/河原和音)の監修も務める。日頃からSNSやブログを積極的に利用し、フェリシモのセミナー「これからの発信の仕方」「SNSで世に出るゼミナール」では、「売り込む時代ではなく、目に留まる時代」をテーマに、多くの人の目に留まる発信の仕方を解説している。
公式サイト http://umetsuyukiko.com/

佐久間宣行

1975年福島県生まれ。テレビプロデューサー、演出家。早稲田大学卒業後、テレビ東京に入社。「ゴッドタン」「ピラメキーノ」「ウレロ!未確認少女」など、数多くのバラエティ番組の演出、プロデューサーとして活躍。2013年、『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』で映画監督デビュー。ドラマ「終電ごはん」ではプロデューサー、演出を担当。 twitter:@nobrock

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