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空がおしえてくれること

2020.08.04 公開 ツイート

「降水確率40%」は傘を持っていくべき?気象予報士の答えは… 蓬莱大介

『情報ライブ ミヤネ屋』『ウェークアップ! ぷらす』でおなじみ、気象予報士の蓬莱大介さん。「毎日を大切に一生懸命生きること」や「伝えること」を大切に、天気予報を届けているという蓬莱さんの著書『空がおしえてくれること』には、空の面白さや不思議さに加え、自然災害の脅威から身を守る方法がわかりやすくまとめられています。その中から、意外と知らない天気予報のことや、これからの時期に役立つ内容をご紹介します。

*   *   *

雨は“好き時々嫌い”!?

みなさんは、雨は好きですか?

多くの人は雨の日はゆううつだと感じるのではないでしょうか。

特に「雨男」「雨女」と呼ばれる人たちにとっては、イベントの日などはプレッシャーかもしれませんね。

かくいう僕も、いわゆる「雨男」。家族で旅行などするとたいてい雨が降り、妻は呆(あき)れ顔です。僕としては天に好かれているような気持ちでポジティブに受け止めているのですが。

(写真:iStock.com/LFO62)

普段の僕は雨の日をどう過ごしているかというと、雨雲レーダーを見て予想をし、「なるべく傘をささない」ように、雨雲の切れ間を見計らって移動します。こんな風に、自分の予報の腕で天気と勝負するような気分でいるので、この仕事を始めてから雨の日が好きになりました。

ただし、そんな僕も雨が降ってゆううつになることがあります。

それは、予想外の雨によって、コンビニでどうしてもビニール傘を買わざるを得ない時。

レジにビニール傘を持っていくと、店員さんが「すぐにお使いになりますか?」と声をかけてくれますよね。あの何気ない会話が、僕にはこんな風に聞こえてしまうのです。

 

「すぐにお使いになりますか、……予想できなかったのに?」

「……予想できなかったのですから、濡れていってはいかがですか?」

「あなたを信じたがために濡れている人々がいる中で、それでもこの傘をさすのですね!!」

……と。

 

笑顔で「500円になりまぁす」と続けられると、「あなたの気象予報士としてのプライドは500円になりまぁす」と言われているような……。妄想が行きすぎて、いっそ5000円を渡して「おつりは結構です!!」などと口走りそうになります。

このように1年に何度か、気象予報士としての敗北感を味わうことが……。

ちなみに現在、我が家には、4本のビニール傘が置いてあります。

降水確率の正しい意味とは?

(写真:iStock.com/DmitriMaruta)

突然の雨に降られて、僕のような感情を抱く人はまれでしょうが、傘を持っていなくてずぶ濡れになって困ったり、ビニール傘を買った瞬間に雨がやんでしまったり、買ってすぐに置き忘れたりするなど、ほとんどの人が雨で悔しい経験をしたことがあるかと思います。

気象予報士としては、そういったことをなるべく防ぐために、前日か当日の朝には、傘が必要かどうかを、できるだけ正確にお伝えしたいと日々精進しています。

雨が降るのか、降らないのか。

みなさんがこれらを判断する材料のひとつに、「降水確率」がありますよね。

突然ですが、ここで問題です。

「降水確率」の意味は、次のうちどれが正しいでしょう。仮に、「○○市の降水確率が午前中40%」とします。

 

1. 午前中○○市の40%の地域で雨が降るということ

2. ○○市において午前中のうち40%の時間帯に雨が降るということ

3. ○○市において過去同じような天気の時に100回中40回雨が降ったということ

 

……正解は「3」です。どうです? 当たっていましたか?

降水確率は1ミリ以上の雨の降る確率を指し、時間帯や地域、強さとは関係ありません。30%でも強い雨の時はあるし、90%でも弱い雨の場合もあります。

また、「あすの天気はくもりとなるでしょう。降水確率は……」と、天気の予想とセットで伝えられ、降水確率だけで発表されることはありません。

というのも、降水確率はあくまで参考情報。「くもりの予想ですが、過去同じような天気の時には100回中40回雨が降りましたよ。念のため、折りたたみ傘を持つようにしてください」という意味なんです。

誤解していた方、意外と多いんじゃないでしょうか。

 

ちなみに、「降水確率何%から傘を持ち始めるか」という問題。

僕は全国各地を講演会で回っているのですが、その度にこの質問をしています。

これまでの統計上、手を挙げる人が一番多いのは50%。

ただし、石川県に行った時には30%が多かったです。さすが北陸!「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉がありますもんね。

個人的には、「突然の雨」を回避するためにも、40%でかなり怪しいと思ってもらいたいです。100回中40回、つまりは4割。野球でたとえると4割バッターです。全盛期のイチローの打率くらいと思っていただければ、納得できるのではないでしょうか?

例外として、夏の場合は30%でも注意してください。気温の高くなった空気が至る所で空高く上昇し、積乱雲が発達しやすいからです。30%でも山沿いで発生した積乱雲が市街地のほうへ流れてきて急な激しい雨になることもあります。

夏場に「降水確率30%」という予報が出ていたら、折りたたみ傘を持ち、なおかつ、暗い雲が自分の真上に広がってきたら早めに建物の中に入りましょう。

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この続きは書籍『空がおしえてくれること』をご覧ください。

関連書籍

蓬莱大介『空がおしえてくれること』

晴れなら予報が外れても、誰にも怒られない"能天気キャスター"!? 突然の雨に降られても、ビニール傘の買えない苦労……。雨にも負けず、風にも負けず、宮根さんのイジリにも負けぬ!! お天気お兄さんとしての面白みと苦労、空への視点をコミカルにつづった1冊。

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空がおしえてくれること

『情報ライブ ミヤネ屋』『ウェークアップ!ぷらす』でおなじみ、気象予報士の蓬莱大介さん。「毎日を大切に一生懸命生きること」や「伝えること」を大切に、天気予報を届けているという蓬莱さんの著書『空がおしえてくれること』には、空の面白さや不思議さに加え、自然災害の脅威から身を守る方法がわかりやすくまとめられています。その中から、意外と知らない天気予報のことや、これからの時期に役立つ内容をご紹介します。

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