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おどろきダンゴムシ図鑑

2020.06.28 公開 ツイート

ダンゴムシはムシじゃない 奥山風太郎

世界各地のおもしろいダンゴムシを集めたビジュアルブック『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)が話題です。そもそもダンゴムシってどんないきものなのでしょう? 本書から抜粋してご紹介します。

*   *   *

コルフスポッテッド(写真:奥山風太郎)

魅力たっぷりダンゴムシ

生き物が大好きという人はもちろんのこと、大人になってからはちょっと苦手という人でも、幼少のころには石や落ち葉の下からダンゴムシを見つけて、遊んだ思い出があることでしょう。

ちょっと触っただけで丸くなって防戦一方。地味な色彩もあいまって、無害で、か弱そうな雰囲気。

だからこそ、どんな子供でも抵抗なく触れ合えるのだと思います。

おなじみのオカダンゴムシ(写真:奥山風太郎)

そんな身近でありふれたダンゴムシですが、じつは世界を見渡すと、これが本当に同じなかま? と疑いたくなるような、とんでもないものがたくさん見つかります。

もともと両生類や爬虫類が好きだった私。

野生の姿を見たくて日本の南西諸島や世界各地の森を旅するうちに、そこで出会う見たこともないダンゴムシの姿に衝撃を受け、どんどん好きになりました。

今では自宅の一室がダンゴムシの飼育ケースに占領され、南西諸島の種を中心に200以上の地域のダンゴムシを飼育中です。

個体数は5万か10万か20万か……もう数え切れません。

こんなダンゴムシもいる。アンバーダッキー(写真:奥山風太郎)

私がここまでハマってしまった奥深いダンゴムシの世界を、もっと多くの人とわかち合いたいと思い、本書を執筆しました。

カッコよさにたまげたダンゴムシや美しさに感動したダンゴムシ、お気に入りのダンゴムシをたくさん集めました。

コラムではダンゴムシの生態の謎にも迫ります。

思いがけずミステリアスなダンゴムシの世界。どうぞお楽しみください。


ダンゴムシとは

ダンゴムシは“ムシ”とつきますが昆虫のなかまではなく、広い意味では甲殻類という、エビやカニが属するグループに含まれています。

ダンゴムシはエビと同じ、甲殻類のグループ(写真:iStock.com/Funtay)

その中の、さらに小さい分類群のワラジムシ亜目というグループの一員で、この中で丸くなる種のことをざっくりとダンゴムシと呼んでいます(例外もあります)。

ワラジムシ亜目は世界におよそ3700種ほどいて、その中でダンゴムシのなかまは約1350種

これを多いと見るか、少ないと見るかは意見のわかれるところですが、ダンゴムシのなかまであるワラジムシ亜目を専門に分類している人はなぜか世界的に少なく、あまり研究の進んでいない分野です。

そのため、名前がついていない種も含めると世界にどれだけのダンゴムシがいるか皆目見当もつきません。

現在正式に記録されているものの数倍は、未知の種類がいるだろうと思います。

これから本書で紹介するダンゴムシにも、以前から知られているけれどまだ学名がないものや、まったくの新種と考えられるものが多くあります。

コイチョウマルオダンゴムシ。学名はまだない(写真:奥山風太郎)

ダンゴムシのほとんどの種は、社会性のある集団生活を送ることがありません

1ヶ所にたくさんいたとしても、それはダンゴムシが、生まれた場所や居心地のよい環境からあまり移動しないため、結果的に集まって見えているだけなのです。

意外にも、なかまといるよりも単独行動を選ぶタイプだといえそうです。

誰もが知るダンゴムシですが、じつは謎が多く、ものすごくロマンの詰まった生き物だという気がしませんか。

*   *   *

この続きは書籍『おどろきダンゴムシ図鑑』をご覧ください。

関連書籍

奥山風太郎『おどろきダンゴムシ図鑑』

どこにでもいる身近なアイツ、実はこんなにすごかった! カッコいいもの、美しいもの、ふしぎなもの……。ミステリアスな世界を日本一のダンゴムシファンがご紹介します。実は集団生活よりも単独行動が好き/ダンゴムシは虫じゃない!?/好物はチーズ、ナス、ニンジン/青く輝くダンゴムシ。だがその正体は……/砂浜の色で色合いが変わるハマダンゴムシ/メスの顔面にしがみついてプロポーズ/丸まるのが得意な種類、隙間だらけになっちゃう種類 など

丸山宗利/福井敬貴『とんでもない甲虫』

『ツノゼミ ありえない虫』『きらめく甲虫』につづく、丸山宗利氏の昆虫ビジュアルブック第3弾! 硬くてかっこいい姿が人気の「甲虫」の中でも、姿かたちや生態がへんてこな虫を厳選。 標本作製の名手・福井敬貴氏を共著者に迎え、掲載数は過去2作を大幅に上回る278種! おどろきの甲虫の世界を、美しい写真で楽しめます。

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おどろきダンゴムシ図鑑

2020年6月11日発売『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)の最新情報をお知らせします。

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奥山風太郎 生き物ライター

1977年、東京都生まれ。世界各地で野生生物を調査し、雑誌等で紹介してきた。もともとは両生類や爬虫類が専門だったが、フィールドワークを重ねるうちにダンゴムシの魅力にとりつかれ、現在では南西諸島の種を中心に200以上の地域で採集した、数十万匹のダンゴムシを飼育中。変わった色柄のダンゴムシを探すのが大好き。著書は最新刊『おどろきダンゴムシ図鑑』(幻冬舎)のほか『鳴く虫ハンドブック』(文一総合出版)、共著に『ダンゴムシの本』『鳴く虫「音声」図鑑』(以上、DU BOOKS)、『日本のカエル+サンショウウオ類』(山と溪谷社)などがある。

 

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