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極上の孤独

2023.03.22 公開 ツイート

年をとったら「寝室を別にする」のが夫婦円満の秘訣 下重暁子

「孤独」と聞くと、寂しい、かわいそうといったイメージを抱く人が多いでしょう。しかし、それは本当なのでしょうか? ベストセラー『家族という病』などで知られる作家、下重暁子さんの『極上の孤独』は、「孤独を味わえるのは選ばれし人」「素敵な人はみな孤独」など、孤独は悪いものだというイメージをくつがえす一冊。一人の時間が楽しくなることうけあいの本書から、一部をご紹介します。

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生活の時間が合わない

我が家の場合も、寝室を分けることは成功であった。同じ部屋だと、自分勝手な行動ができない。いくら遅くまで本を読みたいと思っても、明かりをつけていては相手に迷惑かもしれないと気を遣う。

音楽についても同じである。イヤホンなどで聴くのではなく、遠慮なく好きな音量で聴きたいではないか。

(写真:iStock.com/Kwanchai_Khammuean)

つれあいの生活は、比較的朝が早く、したがって夜も早い。

私はというと昔からの癖が直らず、夜は遅く朝も遅い。朝の9~10時、いや、前の晩によっては11時頃まで寝ていることもある。なぜ夜が遅くなるかというと、私のプライベートな楽しみは夜の時間だからだ。

 

午前中はなんとなく過ぎ、頭がしゃんとしたところで、午後から仕事にかかる。原稿を書く時は夜の6時か7時頃まで。打ち合わせや講演、インタビューも全て午後である。朝は食べるとしても果物だけ。

12~1時にお昼を食べ、夜は7時か8時、9時頃からNHKとテレビ朝日でニュース番組を見て、つれあいが自室に引き上げてからが自分の時間である。聴きたかった音楽を聴きながら、読みたいと思っていた本や書きたかった手紙に没頭できる、私一人だけの時間である。

つれあいは、ベッドで本を読みながら、そのまま寝てしまうらしい。

お互いのペースを崩さないのが、寝室を分けるメリット

年をとると朝早くなるなどというのも、人によって全く異なる。

かつては夜も仕事をしたが、今はよほど間に合わぬ時以外はやらない。大事な一人時間を邪魔されたくないからだ。

つれあいは朝8時か9時には起きて、生のオレンジを絞ってジュースを作り、果物や野菜を切り、私の分も残しておいてくれる。

(写真:iStock.com/Kwanchai_Khammuean)

お互いのペースを崩さないようにしているから、不満もたまらない。自分に合った暮らしをすることが、長生きのもとである。

物書き仲間の中には、かつては夜型だったのが、すっかり朝型になった人がいるが、それが体にいいとは限らない。

 

五木寛之さんは夜型で有名で、仕事は全て夜だというが、今もそれを崩していないせいか、昔とあまり変わっていない。

浅田次郎さんは、酒を飲まないので毎日5時半起きというペースを守っている。酒を飲む飲まないでも時間割は変わってくるし、その人に合ったペースが一番いい

 

年をとると睡眠時間は短くていいというのも、私にはあてはまらない。毎日8~9時間は睡眠をとるよう心がけている。

前日の疲れや具合の悪い所は、たいてい寝て起きると治ってしまう。睡眠不足が一番こたえるので、そうならないよう気をつけている。

黒柳徹子さんに聞いた話だと、夜は11時までに寝て、3時頃起き、そこから3時間ほど翌日の仕事の準備や調べ物をして、また昼頃まで寝るという。彼女の元気の源は8時間は寝ることだという。

二度寝という器用な真似は出来ないが、私にとっても睡眠の大切さは同じ。睡眠は3~4時間などとイキがっていてはいけない。自分のペースが必要だ。

関連書籍

下重暁子『極上の孤独』

現代では「孤独=悪」だというイメージが強く、たとえば孤独死は「憐れだ」「ああはなりたくない」と一方的に忌み嫌われる。しかし、それは少しおかしくないか。そもそも孤独でいるのは、まわりに自分を合わせるくらいなら一人でいるほうが何倍も愉しく充実しているからで、成熟した人間だけが到達できる境地でもある。「集団の中でほんとうの自分でいることは難しい」「孤独を味わえるのは選ばれし人」「孤独を知らない人に品はない」「素敵な人はみな孤独」等々、一人をこよなく愛する著者が、孤独の効用を語り尽くす。

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極上の孤独

「孤独」と聞くと、寂しい、かわいそうといったイメージを抱く人が多いでしょう。しかし、それは本当なのでしょうか? ベストセラー『家族という病』などで知られる作家、下重暁子さんの『極上の孤独』は、「孤独を味わえるのは選ばれし人」「素敵な人はみな孤独」など、孤独は悪いものだというイメージをくつがえす一冊。一人の時間が楽しくなることうけあいの本書から、一部をご紹介します。

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下重暁子

早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。女性トップアナウンサーとして活躍後、フリーとなる。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。ジャンルはエッセイ、評論、ノンフィクション、小説と多岐にわたる。公益財団法人JKA(旧・日本自転車振興会)会長等を歴任。現在、日本ペンクラブ副会長、日本旅行作家協会会長。『家族という病』『家族という病2』『極上の孤独』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。

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