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ヘイケイ日記~女たちのカウントダウン

2020.01.09 公開 ツイート

女が年齢と顔を公開して小説を書くとどうなるか 花房観音

年が明けました。

令和2年、今年の4月に49歳になる。40代最後の年だ。そして、この閉経連載を始めた頃、「すぐに生理が来なくなっちゃったら、カウントダウン終わっちゃうやん」と少し心配していたが、まだ生理はあるし、PMSもしんどい。

私は今、年齢を公表している。そのほうがめんどくさくないからだ。年齢を隠していると、インタビューに答えるときなどに、いろいろぼやかしたり嘘を吐くと、矛盾が出てきそうだ。そもそも知り合いたちも私の年齢を最初から知っているので、今さらごまかしてもしょうがないなというのがある。

デビューして最初の頃は年齢を出してはいなかったが、隠すつもりはなかったので、インタビューには正直に答えていた。デビュー作を出した際に、幾つかインタビューを受けたが、あるスポーツ新聞の記者に「官能を書いている人で、こうして年齢も顔も出す人って珍しい」と言われたのを、よく覚えている。

私はデビューが第一回団鬼六賞大賞という、官能小説の新人賞だった。小説家にはなりたかったけれど、官能小説なんて書いたこともなかったし、自分には書けるとも思っていなかった。けれど、大好きな作家「団鬼六」自身が選考委員をつとめると知って、応募した。

そして思いがけず私は「女流官能作家」と呼ばれるようになり、「年齢は出さないほうがいい」とアドバイスされたので、最初の頃は自らはプロフィールに生年は書かなかった。

「年齢は出さないほうがいい」というのは、つまり官能、男性を勃起させるファンタジーを描くのだから、作者自身も性のファンタジーの対象であったほうが読者の想像力を喚起させる、という意味だとは、後々気づく。

当時私は39歳から40歳になった頃で、その年齢を「ババアだから萎える」と捉える人もいるのだ。実際に「男の書いた官能小説なんて、読む気にならない」というような人もいる。美人で色っぽくてエッチな女が実体験を書いているほうが興奮するのだと。

エッチな若い女じゃなくて悪かったね

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花房観音

2010年「花祀り」にて第一回団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。京都を舞台にした圧倒的な官能世界が話題に。京都市在住。京都に暮らす女たちの生と性を描いた小説『女の庭』が話題に。その他著書に『偽りの森』『楽園』『情人』『色仏』『うかれ女島』など多数。

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