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デビューの頃

2019.03.05 公開 ツイート

編集者からの応援は速達ハガキで 古川日出男

どんな作家にもデビュー作がある。
それが華々しいときもあれば、静かな船出であることもある。
いずれにせよ、みな、書き出し、書き終え、世に問いたい、と願ったのだ――。

<今回の執筆者>
古川日出男(ふるかわ・ひでお)
1966年、福島県生まれ。小説家。1998年。小説『13』でデビュー。2002年『アラビアの夜の種族』で第55回日本推理作家協会賞、第23回日本SF大賞を受賞。2005年『ベルカ、吠えないのか?』が直木賞候補になる。2006年『LOVE』で三島由紀夫賞を受賞。現在、雑誌「群像」に巨大な長編小説「おおきな森」を連載。

生=ライブの時代だった

記憶はどうして一杯にならないのか。どうして、何年も何年も前のことを憶えていられるのか? もしかしたら「ここ三年間のことを記憶した分、過去のどこかの三年間のことをすっぽり忘れる」のも合理的だったりしないか、と僕は思いもするのだが、記憶はどうしてだか、それなりに蓄積されつづける。いずれは、ここ三日間のことをすっぽり忘れ、さらに少し前の三年間のこと、三十年間のことを忘れ、という時期も来るのかもしれないが、いまの僕はそうではない。まだ《蓄積傾向》だ。考えてみると、不思議である。

デビューは二十年とちょっと前である。

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古川日出男 作家

1966年生まれ。小説家。主な著書に『おおきな森』(講談社)、『女たち三百人の裏切りの書』(新潮社、野間文芸新人賞・読売文学賞)、『南無ロックンロール二十一部経』(河出書房新社、鮭児文学賞)、『LOVE』(新潮文庫、三島由紀夫賞)、『アラビアの夜の種族』(角川文庫、日本推理作家協会賞・日本SF大賞)、『馬たちよ、それでも光は無垢で』(新潮文庫)、『聖家族』(新潮文庫)、『ベルカ、吠えないのか?』(文春文庫)など。戯曲に『冬眠する熊に添い寝してごらん』(新潮社、上演版演出・蜷川幸雄)、現代語訳に『平家物語』(河出書房新社)。最新刊は初のノンフィクション『ゼロエフ』(講談社)。朗読劇では脚本と演出を担当している。

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