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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2022.12.18 公開 ツイート

#33

サクッと飲んでチョコっと食べて、パッと帰るイタリアン編(ただし下戸禁制) 相場英雄

〔使用機材:Sony RX100V〕

三七年前、私は新潟の片田舎から上京した。ウルトラ貧乏学生だった私を、周囲の大人たちがなにかと可愛がってくださり、毎日どこかでメシにありついた。

そんな最中、私が仰天したのがアルバイト先の部長さんの存在だった。某広告代理店の部長さんで、業務終了後に毎日一人でふらりと飲みに出る。ある日、蕎麦でもいくかと誘われ、神田の老舗へと同伴させていただいた。

この部長さん、入店するなり、ぬる燗と板わさをオーダーし、お通しのそば味噌でご満悦になられた。一方、こちらは食べたい盛りのお年頃。ビールをガブガブ、焼き鳥(串に刺さっていないタイプ)や天種、ニシンの棒煮をがっついていると、部長さんは早くももりそばをご注文。慌ててもう一丁お願いすると、こう仰った。

〈こういう店で長っちりは野暮。サクッと飲んでチョコっと食べて、パッと帰るのが礼儀〉

田舎蕎麦しか知らない少年(そういう頃もあったの)は衝撃を受けた。地方の食堂はデカ盛り、長時間いても文句なんて言われない。そもそも、〈野暮〉という言葉は、落語の中だけだと思っていたからだ。

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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『血の雫』(幻冬舎文庫)、『レッドネック』(ハルキ文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、『覇王の轍』(小学館)、『心眼』(実業之日本社)、『サドンデス』(幻冬舎)、『イグジット』(小学館文庫)『ゼロ打ち』(角川春樹事務所、2月下旬発売)。

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