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ニッポン47都道府県 正直観光案内

2022.08.21 更新 ツイート

兵庫県は観光スポットが少ない? 雲海の城・竹田城も、食虫植物日本最大級のフラワーセンターもあるよ 宮田珠己

気の向くまま、日本中を旅している宮田珠己さんが「本当にイイ!」と思ったスポットを、47都道府県別に紹介している『ニッポン47都道府県 正直観光案内』。文庫化記念で試し読み。お次は、意外にいいかも、兵庫県!

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兵庫県

のっけから私事で恐縮ですが、兵庫県は私の生まれた県で、幼少期のかなりの部分を過ごし、今も実家があります。なので大いに盛り上げたいところなのですが、実家に帰るたびに悩むのは、正直行くところがないということだったりします。

兵庫県の観光地といえば、まず神戸、そして姫路城宝塚歌劇などもあるでしょうか。それにまあ甲子園球場……は観光地ではないか。あとは何でしょう。すぐには出てきません。面積でいえば、日本で十二番目ということで、それなりに大きな県だと思いますが、それに比べて観光地の少ないこと少ないこと。

ためしに日本地図を広げてみても、全国的に名の知れた観光地は、今挙げた以外に城崎温泉有馬温泉ぐらいしか目につきません。地元では六甲山が定番ですが、県外から観光客がわざわざ押し寄せるほどの特徴はないと言っていいでしょう。

考えてみると、日本海から瀬戸内海まで広がるあの県土の真ん中付近にはいったい何があるのか。宮田家の墓がありますが、観光客の知ったことではありません。

これは兵庫県から中国地方全般に言えることですが、この日本の西半分を横に貫く中国山地にはいったいどんな見どころがあるのか、なかなか思い浮かばないのが現状です。これほどのでかい面積を占めているのに、なんとももったいないことこの上ない。高い山が少ないのが原因でしょうか。火山や温泉も少ないのです。私はこの兵庫県内陸部から岡山や広島の山岳部そして、鳥取と島根の南部を含めた中国自動車道周辺を、西日本大味ベルト地帯と呼びたいと思います。

兵庫観光の救世主? 竹田城

そんなわけで、われながら持て余している出身県ですが、最近、この大味ベルト地帯を救う大発見がありました。

竹田城。

そう、今人気急上昇中の雲海の城です。

これほど短期間で急激に人気が出た観光スポットは全国にもそうそうないのではないでしょうか。空前の大ブームです。

十五年前に私が訪れたときは、観光客はほとんどおらず、もちろん入場料もいらず、上る道路に柵もなくてうっかりすると車ごと転げ落ちそうでした。それが、あれよあれよの大出世。今では、竹田城人気にあやかり、備中松山城だの越前大野城だの各地で雲海の城が名乗りをあげていますが、写真で見る限り、やはり竹田城が一番かっこいいように思われます。

いやあ、竹田城があってよかった。もちろん兵庫県には日本最高の姫路城がありますから、これまでも誰にも文句は言わせなかったわけですが、正直、あとは? と聞かれたらひとたまりもないところでした。

ようやく心に余裕ができたところで、ほかにもどこかないか考えてみます。全国的にはそんなに知られていないけれども、ちょっといいスポットならあるかもしれない。

正体不明のおもしろ石像群 北条五百羅漢

最初に頭に浮かんだのが、加西市にある北条五百羅漢です。

五百羅漢は全国各地にあり、羅漢といえば、顔が左右に割れて中から別の顔が出てくるシュワルツェネッガーの『トータルリコール(フィリップ・K・ディック原作のSF映画。主人公がホログラムで中年女性に変装するが、途中でホログラムの顔が割れて正体がバレるシーンがある)』みたいな宝誌和尚や、お腹を開いたら顔が出てくるラゴラ尊者など、奇怪な像が人気です。が、そうはいっても大半は見た目ふつうのおっさんであり、仏像ほどのスペクタクルがないため、観光スポットとしては微妙な立ち位置です。私の見るところ、堂内にある木の五百羅漢は見応えがあるけれど、屋外の石の五百羅漢はイマイチなところが多い。

そんななか北条五百羅漢は、屋外で石造りなのに、見て面白い五百羅漢になっています。というか、羅漢かどうかも定かでない。ただ五百体近い石像が整然と並んでいたから五百羅漢だろうということで、そこに羅漢寺を建てたという正体不明のスポットなのです。事実、ここの石像は羅漢ぽくなく、西洋人のようにも見えます。それが柵のようにきっちり並んでいるから得体が知れません。キリシタンが彫ったのではないかという噂もあるほどで、個人的には全国でも屈指の五百羅漢だと考えます。

西洋人風の顔が並ぶ。(イラスト:宮田珠己)

この加西市にはもう一 ヶ所面白いスポットがあって、それが兵庫県立フラワーセンターです。つまりは植物園ですが、ここにいくとウツボカズラが満開です。まあウツボカズラはいつも満開というか全開ですが、ここは食虫植物のコレクションでは日本最大と言われています。植物園の目玉は誰が何と言おうとやはり食虫植物ですから、いやもう絶対そうなのですから、自動的にここが日本一の植物園ということになります。

食虫植物→サボテン含む多肉植物→苔→バサバサした熱帯植物→蘭→その他植物。これが植物界のざっくりしたヒエラルキーなのです。誰がそんなこと決めたのかというと私です。問答無用。次にいきます。

兵庫県のかっこいい寺といえば、書写山(しょしゃざん)圓教寺(えんぎょうじ)でしょうか。映画『ラストサムライ』のロケ地として、また西国三十三観音霊場の札所として有名です。ロープウェイで上って広大で荘厳な伽藍を散策できるので行くといいでしょう。

そういえば最近、福知山線の廃線区間がハイキングコースとして整備されることになったようです。これまではみんな勝手に入り込んでハイキングし、JR西日本が、勝手に入るなこらっ、と看板を立てていたのですが、ついに音をあげ整備することに。武庫川渓谷に沿った鉄橋ありトンネルありのコースは実に楽しそうで、まったく一般観光客の白アリのような欲望はとどまるところを知りません。

そのほか県北の湯村温泉では、毎年全日本かくれんぼ大会が開催されています。ポストやゴミ箱などに変装するのもありとルール設定したところ、なぜかコスプレ大会になって、この日の温泉街は、隠れるどころか目立ってしょうがない人たちであふれかえっています。

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この続きは幻冬舎文庫『ニッポン47都道府県 正直観光案内』をご覧ください。

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ニッポン47都道府県 正直観光案内

スペクタクルな富山県、果てしなく遠い和歌山県、大分県は大魔境、何かとやりすぎな徳島県、青森県はSFの世界、愛知県の可能性は無限大、埼玉県がダサいと言われる本当の理由とは? へんてこ旅を愛する著者が、知名度や評判に惑わされず本気で「イイ!」と思った観光スポットのみを厳選。かつてなく愉快な、妥協なき47都道府県観光案内。

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宮田珠己

旅と石ころと変な生きものを愛し、いかに仕事をサボって楽しく過ごすかを追究している作家兼エッセイスト。その作風は、読めば仕事のやる気がゼロになると、働きたくない人たちの間で高く評価されている。著書は『ときどき意味もなくずんずん歩く』『いい感じの石ころを拾いに』『四次元温泉日記』『だいたい四国八十八ヶ所』など、ユルくて変な本ばかり多数。東洋奇譚をもとにした初の小説『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』で、新境地を開いた。

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