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人形怪談

2021.10.20 更新 ツイート

小学生から聞いた怖い話 田辺青蛙

(写真:iStock.com/Pornpak Khunatorn)

時々、近所の小学生が通う学童で怪談会を行っている。

最初は「怖い話なんて興味ない」とか、「幽霊なんておらんからダサい」とか散々な言われようで、実際私が怪談を話してもちゃんと聞いてくれた子はほとんどいなかった。

でも、回を重ねるごとに少しずつ聞いてくれる子が増え、やがて知っている怖い話があると教えてくれたり、自分も語ってみたいという子が出て来るようになった。

今では学童保育の施設に行った時は教室に入るなり、「こんな怖い話がある」、「こんな話知ってる?」と複数の小学生から服を引っ張られて、怪談会を早くしてくれとお願いされるほどだ。

そんな過去の怪談会で子供たちから聞いた話を、今日はいくつか紹介したい。

 

 

小学校四年生のSさんから聞いた話。

「あんなあ、雨降ってほしくなかったらてるてる坊主作るやろ。

でもな、てるてる坊主を作って晴れにしてほしいってお願いしたのに、雨やってん。

だから、歌にあるように晴れにせえへんかった罰として、テルテル坊主の首をハサミでちょん切ってんな。

そしたらな、夜にお風呂に入っているとどんどんと窓を外から叩く音がしてん。

風かなと思って窓を見たらな、血でぐっしょりと湿った顔のテルテル坊主の頭の部分だけが窓に繰り返しぶつかって、それがドンドンって音を立ててたみたい。

もう凄いびっくりして、お風呂から慌てて出て、服も着ないままゴミ箱の中から捨てた首を拾って接着剤とティッシュで胴体と繋げてんな。

これで許してくれた? って聞いて、寒かったからお姉ちゃんとお風呂に戻ったら窓の首は無くなってた。でもな、それからわたしずっと、てるてる坊主が怖いねん」

 

小学校五年生のHさんから聞いた話。

「お父さんと夏休みに一緒に淡路島に釣りに行って、大物がかかったと思ったら魚じゃなくて海藻が包まったゴミ袋でした。

ええーゴミなんであるん、捨てた奴むっちゃ腹立つわって怒りながら引き上げてみたら、ゴミ袋の中に可愛くて、見た感じからして多分手作りの人形が入っていました。

値打ち物かもしれないし、お母さんはこういうの結構好きやぞってお父さんに言われたから、僕は持って帰ることに決めました。

膝の上にタオルを敷いてその上に人形を乗せたまま、僕は海の中でゴミと一緒に漂っていて、人形は何を考えてたんかなとか想像してたら、気のせいかも知れんけど、人形が何回は車の中で生きてるみたいにピクッとか、ピクピクッて動いたような感覚がありました。

それと、海水が染み出て来たんやろうってお父さんは言っていたけれど、膝の上に敷いてたタオルが人形が座ってた部分だけ丸く湿ってて、におったらちょっと臭かった。

もしかしたら、人形がおしっこ我慢して漏らしたんかも。

その人形はお母さんが綺麗にして、玄関に飾っていたけれど猫のサブロウが噛みついたり引っ掻いてぐちゃぐちゃにしたみたいで、結局捨ててしまいました。

この前、僕とお父さんで洗車した時にバンパーに小さな人形の手と同じくらいのサイズの、3センチ程の掌のあとがついていて、もしかしてあの人形はサブロウがぐちゃぐちゃにしたんじゃなくって車のバンパーに小さな手でしがみついててボロボロになったのかもしれないです」

 

小学校六年生のNさんから聞いた話。

「私の夢によくナイフで殺し合いをしようという女の子が出るんです。

嫌だよ、殺し合いなんてしたくないって拒否をすると、追いかけられて女の子に殺されてしまうんです。

今まで同じ夢を何度も見ていて、先月も同じ夢を見て、その先々月も……。

夢のせいで、寝るのがしばらく怖かったんです。

でも、夢はしょせん夢だから。

私、時々夢の中で、これは夢って分かることがあるんです。

だから、ある日夢の中でこれは夢だからと思って、女の子に反撃して、相手をナイフでやっつけました。

オマエのせいで眠れなかった! もう二度とこんな夢見たくないから、止めて! 止めて!って言いながら、手に持っていたナイフで右肩からお腹の方に斜めに切って、反対側の方からも×になるように同じように切りつけたんです。夢だからか、血は女の子からは出ませんでした。

朝、目を覚ますと枕元にあった、ぬいぐるみのお腹が裂けて綿が飛び出ていたんです。

その裂けた痕は、夢で相手をやっつけた時に負わせた×の傷痕にそっくりでした。

あれ以来、殺し合いをしようって女の子が出て来る夢は見ていません」

 

小学校三年生のUさんから聞いた話。

「学校の階段の踊り場にある鏡に、時々後ろ向きのマネキンが、誰もおらんのに映っていることがあって、クルって振り向くと、顔が無いねんて。

それでな、マネキンがあなたの顔を少しくれる? と聞いてくんねんて。

いいよって言ったら、言った子はしばらく鏡に映れなくなってしまって、三回いいよって答えたら顔の無いマネキンが鏡から出て来て、鏡の中に引きずり込まれて鏡から一生出られなくなんねんて。

家庭科室にあるマネキンは、そうやって引き込まれたせいで代わりにマネキンになってしまった小学生で、元にいた子は最初っからこの世からいなかったことになってしまうらしいで。
この前、鏡の前通ったのに鏡に映らへんかった二年生の子がいて、あいつはマネキンに狙われと
るって聞いた」

子供たちとの怪談会は定期的に続けていきたいと思っているので、また何かの機会があればここで紹介するかもしれない。

*   *   *

お知らせ

田辺青蛙さんと円城塔さんによる、久しぶりのご夫婦イベント「ぐだぐだ夫婦・読書話」が11月3日に開催されます。
詳細は、梅田Lateral のページをご覧ください。

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田辺青蛙

1982年大阪府生まれ。オークランド工科大学卒業。
2006年、第4回ビーケーワン怪談大賞で佳作となり、『てのひら怪談』に短編が収録される。2008年、『生き屏風』で、第15回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。
現在大阪に作家の夫と在住。そんな夫とのアメリカ旅行記&エッセイ集の『モルテンおいしいです^q^』(廣済堂出版)『読書で離婚を考えた。』(幻冬舎)発売中。
怪談と妖怪ネタを常時募集中。

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