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オスマン帝国英傑列伝

2019.06.24 更新 ツイート

ルネサンス文化を愛した異色のイスラム皇帝【征服王メフメト2世(3)】小笠原弘幸

およそ600年という史上まれに見る長期間、繁栄を誇ったイスラムの盟主「オスマン帝国」。前代未聞の大帝国を築いたのはどんな人物たちだったのか。
ベストセラー『オスマン帝国』(中公新書)の著者小笠原弘幸氏が、トルコ・中東工科大学に渡り、最新研究をもとにオスマン帝国の傑物10人を考察する新連載。1人目は、中世に終止符を打った稀代の征服王・メフメト2世です。

(写真:iStock.com/redstallion)

*   *   *

ギリシャ古典を読破

メフメト二世は、オスマン帝国のみならず、これまでのムスリム諸王朝の君主たちのなかでも、もっとも特異な個性をもつ人物のひとりだといえる。その個性を形作っていた教養として、ギリシャ・ローマの文物や、同時代の西欧のルネサンス文化があった。

メフメトは、古代ギリシャの書物を好んで読んだ。コンスタンティノポリスの征服後には、コンスタンティヌス大帝の書庫より120冊におよぶギリシア語の書籍を収拾したという。メフメトの蔵書には、ホメロスの『イリアス』、クセノポンの『アナバシス』、ヘシオドスの『神統記』などのギリシャ古典のみならず、トマス・アクィナスの『神学大全』(原著はラテン語だが、これをギリシャ語に訳したもの)すらあった。

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小笠原弘幸『オスマン帝国-繁栄と衰亡の600年史』

オスマン帝国は1299年頃、イスラム世界の辺境であるアナトリア北西部に誕生した。アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸に跨がる広大な版図を築くまでに発展し、イスラムの盟主として君臨した帝国は、多民族・多宗教の共生を実現させ、1922年まで命脈を保った。王朝の黎明期から、玉座を巡る王子達の争い、ヨーロッパへの進撃、近代化の苦闘、そして滅亡へと至る600年を描き、空前の大帝国の内幕に迫る。

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小笠原弘幸

1974年北海道北見市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、九州大学大学院人文科学研究院イスラム文明学講座准教授。専門は、オスマン帝国史およびトルコ共和国史。著書に『イスラーム世界における王朝起源論の生成と変容――古典期オスマン帝国の系譜伝承をめぐって』(刀水書房、2014年)、『オスマン帝国――繁栄と衰亡の六〇〇年史』(中公新書、2018年)。編著に『トルコ共和国 国民の創成とその変容――アタテュルクとエルドアンのはざまで』(九州大学出版会、2019年)。
 

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