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ハイスペック女子のため息

2019.03.25 更新 ツイート

美術モデル大原さんのセクハラ訴訟と、マッキノン女史の危険な香り山口真由

1.「環境型セクハラ」という言葉にアラームが鳴った

(写真:iStock.com/Lazy_Bear)

ずいぶん時間が経ってしまいましたが、美術モデルをされている大原直美さんという女性が、「東京藝術学舎」を運営する学校法人瓜生山(うりゅうやま)学園に対して、慰謝料など計333万円の損害賠償をもとめて訴訟提起したという話があった。「東京藝術学舎」というのは、この学校法人が経営している京都造形芸術大学がプロデュースする社会人のためのアートカレッジで、「ヌード」をテーマにした公開講座に参加した大原さんが、そこでの講義の内容によって精神的に損害を受けたという。

「涙を流した少女がレイプされた絵や、全裸の女性が排泄している絵、四肢を切断された女性が犬の格好をしている絵などをスクリーンに映し出すという内容で、会田さんはさらに「デッサンに来たモデルをズリネタにした」と笑いをとるなど、下ネタを話しつづけていたという」だって。(弁護士ドットコム 2019.2.27

私は、大原さんを批判するつもりも毛頭ない。だって、訴えるのって権利なんだから。訴えを受けた裁判所が判断すればいいのだから。

だが、北原みのりさんはツイッターで「『天才』とあがめられ、彼への抗議が嘲笑される芸術界の中で、本当に勇気ある声だと思う。声をあげてくれて、本当にありがとう!」と大原さんを応援するし、ニュース記事で「環境型セクハラ」という言葉が出るに至って、私の中で危険信号がともる。おっと、これは黙ってやり過ごした方がよいタイプのお話なんだろうなという危険な匂いをそこに嗅ぎ取ってしまう。これが、もう旬を過ぎた話題を今頃書いている理由。うそ、原稿が遅れてしまっただけ。

2. キャサリン・マッキノンという最強のフェミニスト

「環境型セクハラ」と聞くと、キャサリン・マッキノンという、私の中では史上最強のフェミニストを思い出す。マッキノンというのは弁護士で、ほぼたった一人でセクハラの法理論を作りあげてしまった。恐ろしく頭がいい。超然としている。美人でもある(美人とか言ったら殺されそうだから誰も言ったことないだろうと想像する)。

(写真:wikipedia
​​​​​Catharine_MacKinnon

セクハラ問題は、1970年代とか1980年代には、性的な要求を突っ返したがためにクビになったり、給料を減らされたりするという、もうまさにど真ん中な「対価型セクハラ」がまず攻撃された。けれど、そこまでいかなくても、職場での性的な言動に困っている女性が多かったがために、彼女たちを救うためにできたそれ以外のカテゴリーが「環境型セクハラ」である。明確な境界があるわけではないので、最近は「対価型」と「環境型」に分けることはあまりしない。だから、あえて今この言葉を使われると、この分類を最初に練り上げたマッキノンを思い出してしまう。

そして、マッキノンとセクハラという二つの言葉が並ぶと、やばい感じしかしない。間違いなく天才であるこの人が作りあげた理論はある意味完成されていて、反論すれば反論するほどドツボにはまることになっている。アリジゴク理論である。

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山口真由

1983年、札幌市生まれ。東京大学法学部3年生時に司法試験、4年生時に国家公務員1種に合格。全科目「優」の成績で2006年に首席で卒業。財務官僚、弁護士を経て、ハーバード大学ロースクールに留学。2017年にニューヨーク州弁護士登録。 『エリートの仕事は「小手先の技術」でできている。』(KADOKAWA/中経出版)、『いいエリート、わるいエリート』(新潮社)、『ハーバードで喝采された日本の強み』(扶桑社)など著書多数。『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所)の文庫版も出版された。 山口真由オフィシャルブログはこちら

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