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40歳から何始める?

2019.02.22 更新 ツイート

底辺でもがいていた20代の恋愛を救うために鈴木砂羽/ペヤンヌマキ

女性の生態をさまざまなアプローチから舞台にしてきたペヤンヌマキさん主宰の劇団「ブス会*」。新作「エーデルワイス」は、ペヤンヌさん自身の体験を下敷きにした、「女の幸せ」と「過去との和解」がテーマです。主役を演じるのは、ミューズ募集のオーディションに現れた、女優の鈴木砂羽さん。
20代だったら性格が違いすぎて会うこともなかったであろう二人が、40代で一緒に舞台をつくることになりました。似ていること、違うところ、これからの幸せ――。
前編もお楽しみください。 
(構成:川添史子 撮影:塚本弦汰)

底辺から這い上がった女と、強さを脱いだ女

鈴木 真面目に言えばさ、「女の幸せ」は女性が作っていくべきだし、強くたくましくあるのと同時に、恋愛では優しさも必要なんだって思うんです。前は、男性を真っ向から攻撃してましたし、どこかでマウント取りたかったんだと思う。女王様みたいに振る舞うのも大好きだったし、今でもそういうところありますし……なんだったら自分の女王様的な部分もお気に入りの私だから、ここは譲れないんだけど(笑)。

私、子供の時からマドンナが大好きで、彼女が楽屋から出てきて手をすっと差し出しながら「I  AM?」って聞いたら、ゲイのダンサーたちが「WE ARE QUEEN!」って応える映像を見た瞬間から、あれに憧れちゃって(一同笑)。慈悲深くたおやかなクイーンにならないといけないんですよ!

ぺヤンヌ 劇中にマドンナの曲、歌ってもらいたくなりますね(笑)。今、思ったんですけど、砂羽さんは今、強いところから階段を降りてきていて、私は底辺から這い上がってきて、今回、お互いがその途中で出会ったんでしょうね。私、ホントに弱い自分から上がってきたから……。

 

鈴木 だから20代では出会えなかったのかもね。あの頃の私なんて、そりゃあひどいもんでしたから。ギャンギャン、ジャイ子みたいにやってたから、女の人からは叩かれるし、男の人からは疎まれるし。その頃、ペヤンヌさんは地下室にいたんだね(笑)。

ぺヤンヌ 底の底で這いつくばってましたよ。コンプレックスにまみれて(笑)。そこから劇団を立ち上げて、だんだんと強さを身につけてきて……。いい時に出会えたのかも。

鈴木 そうなんでしょうね。今は心から、大切なものを守る大きさを持って、優しくて温かい心を持った50代60代の女性になりたいと思っています。ここ数年で色々考えたんですよ、このバカエンジェルが……。

ぺヤンヌ バカエンジェル……。私はきっと、おっとりしていて男性から「癒し系」と思われて母性を求められた20代の自分を、どこか憎んでたんですよね。でも表現者としての自我は出てくるし、強い女への憧れもあったし。だから砂羽さんみたいに、自分を認めた上じゃないとダメなんだろうな。自分の中のあらゆる要素を、うまく共存させられたらいいんでしょうね。

鈴木 数日前、『エーデルワイス』で共演している役者さんが、どこか過去の自分にフタをしているように感じたんですよね。でも「ツラい部分のフタを開けないと、ペヤンヌさんの芝居はできないよ」って話をしてから、少しずつ演技が変わってきたんですよ。台詞を一辺倒に言うだけじゃなくて、自分の心の深淵を覗きながら、おののきつつも勇敢に立ち向かっていているようで。役者の第1章のオープニングを見ているようで「キタキタ」とゾクゾクしました(笑)。きっとペヤンヌさんは、そういったものが見たいんだろうしね。

ペヤンヌ 砂羽さんが若い役者さんたちを上げてくれるのが、ありがたいです。

鈴木 こないだなんて、役者みんなで呑みながら「じゃあ今、あのシーンやってみようか?」みたいなことになって、動画をペヤンヌさんに送ったんだよね。あの動画は門外不出でしょうけど、クイーンとしては臣下たちが変化していくのを眺めるのは満足(笑)。まあこの芝居は、ペヤンヌさんの神話を演じるみたいな感じですよね。

ペヤンヌ 今回の稽古場は特に、「あの時の恋愛は、こうだったんだよね〜」みたいな自分の話を結構してますしね。実際に起こった過去を客観的に見ているようで、演劇セラピーに近いところがあります(笑)。

鈴木 その実話が生々しくて面白いんだよね〜。私は「過去は側溝に捨ててやる! それでも世界は回るぜ!」みたいな感じなんですけど(笑)、ペヤンヌさんは、女性らしいんですよ。観音様のように愛おしんでいるというか、女性の痛さを救う部分が必ずある。私が演じるアキナは、男の人に対して折れることができれば、幸せになれる可能性が十分ある女だと思っているんですよ。どこかに、そういう希望を見せたいな〜とは思っています。

ぺヤンヌ 砂羽さんがそう思って演じてくれているから、私自身「もうすぐいい恋愛できそう!」って確信しています(笑)。砂羽さんはチャクラが開いてるから、預言者みたいなところがあるし。

鈴木 大体、人が何考えているか分かるよ。

ぺヤンヌ ……今、私が何考えてるか分かります?

鈴木 ……「砂羽さん、すげーな」って思ってる、でしょ?(一同笑)

<終わり>

■公演概要■

第7回ブス会*公演
「エーデルワイス」

2019年2月27日(水)~3月10日(日)
東京芸術劇場 シアターイースト

脚本・演出
ペヤンヌマキ

出演
鈴木砂羽
水澤紳吾 大和孔太 高野ゆらこ 土佐和成 後藤剛範 藤井千帆 金子清文

チケット情報→ブス会*HP

ペヤンヌマキ『女の数だけ武器がある。』

ブス、地味、存在感がない、女が怖いetc.…。コンプレックスだらけの自分を救ってくれたのは、アダルトビデオの世界だった。働き始めたエロの現場には、地味な女が好きな男もいれば、貧乳に興奮する男もいて、好みはみなバラバラ。弱点は武器にもなるのだ。生きづらい女の道をポジティブに乗り切れ!全女性必読のコンプレックス克服記。

 

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ペヤンヌマキ『女の数だけ武器がある。 たたかえ!ブス魂』

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鈴木砂羽 女優

1972年生まれ。静岡県出身。94年に映画「愛の新世界」で主演デビューを果たし、第37回ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞などを受賞した。2017年、「結婚の条件」で初めて舞台演出を手がける。2018年、演劇ユニット「港.ロッ区」を主宰。舞台のみならず、話題の映画舞台に多数出演。

ペヤンヌマキ

1976年生まれ、長崎県出身。早稲田大学在学中に、劇団「ポツドール」の旗揚げに参加。卒業後はAV制作会社に勤務。現在はフリーの映像ディレクターとしてAVやテレビドラマなどを手がけるほか、演劇ユニット「ブス会*」主宰の劇作家・演出家として幅広く活躍中。著書に『女の数だけ武器がある。』がある。

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