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ハイスペック女子のため息

2018.08.23 更新 ツイート

山根明会長、小室圭(コムケイ)氏……メンタル・モンスターたちの共通点山口真由

greenazya/iStock

 テレビは、連日、山口県で行方不明の2歳の男の子・藤本理稀ちゃんを無事に保護したスーパーボランティアこと尾畠春夫さんの姿を映し出す。次から次へと、自らの「好物」を発見して、それを貪りつくそうとするメディア(いや、すみません、その先にいる視聴者、つまり、私)の食欲はすごい。

 私たちが、尾畠氏の特性に気づいたのは、理稀ちゃんを助けた直後に「お風呂入ってきます?」「ごはん食べてきます?」と、なんとか感謝の思いを形にしようとする理稀ちゃんのおじい様の要請を「いやいや、それでは意味がなくなりますから!!」と断り、あくまでボランティアの精神を貫いたあの姿勢を見たときではないか。折しも降りしきる雨に、「じゃあ、せめて傘を持ってって」と、なんとかその手にビニール傘を押しつけようとするおじい様に「雨に濡れるの好きですから」と、明らかにずぶぬれで去っていくあの感じ……だって、ビニ傘だよ? 200円くらいだと思うよ? もらってあげてもいいじゃん?

 私は、この尾畠氏の頑なさが好きだ。食べ物は自炊。寝る場所は車内。「無償の奉仕」であることにとことんこだわる彼には、柔軟性が一切ない。

 掃除をしていない自分の家に堂々とテレビクルーをあげ、インスタントラーメンやら梅干し8つをのせたごはんやらを食べる姿をさらす。テレビの前でも決して変わらない人。いや、変われないのだろうと、私は思う。

 多くの人は、他人からどう見られているかを気にするが、彼にはそれがない。他人の視点を内在化せずに、あくまで自己を貫くその姿勢――尾畠氏のように、それがプラスに働くこともあるだろうが、いつもそうとは限らない。他人に対するアンテナをオフにして、自分スイッチを最大ボリュームでオンにする――これがやや醜悪な形で現われてしまった例を、私は「メンタル・モンスター」と名づけたい。

 

1. ボクシング山根明会長の「盃基準」

 たとえば、ボクシングの山根明会長(←前会長? 彼自身が、あの「会長」という一人称を変えるべき?)は、誰もが認める、だが認めてはいけない「おもろおじさん」である。日本大学の田中英壽理事長は、山根氏と似たような立場にいる。組織の中の絶対権力者で、そして、大衆によって追い落とされる立場だ。ところが、田中理事長は、山根会長(←やっぱり前会長?)のようなモンスターではなかった。だから、露出を拒み続け、会見ではなく、ホームページでの謝罪で済ませているのだ。

 凡人の域を出ない田中理事長に対して、山根氏は常人とは違う角度から世界を見ている。日本中から笑いものにされ、さらに、やや深刻に反社会的勢力との関係を叩かれる。だが、彼は決してぶれない。「世界のヤマネはヤクザではない」。なぜなら、「盃をもらっていないから」。

 出ました!!「盃基準」。法律上、「反社会的勢力」は明確には定義されているわけではない。暴力団排除は、法律ではなく、各都道府県の条例の形で定められているからだ。ただ、政府指針とされる警察庁次長通達によれば、暴力団の準構成員も「反社会的勢力」の定義に余裕で含まれている。ところが、政府の基準よりも、俺の見解とばかりに、山根氏はその独自基準を曲げない。考えてみれば、山根氏の主張する、この「盃基準」自体が、いわばヤクザの世界の物差しである。これだけで、彼がいかにあちらの世界に深くつかっているかという自白にもなるのだろう。

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山口真由

1983年、札幌市生まれ。東京大学法学部3年生時に司法試験、4年生時に国家公務員1種に合格。全科目「優」の成績で2006年に首席で卒業。財務官僚、弁護士を経て、ハーバード大学ロースクールに留学。2017年にニューヨーク州弁護士登録。 『エリートの仕事は「小手先の技術」でできている。』(KADOKAWA/中経出版)、『いいエリート、わるいエリート』(新潮社)、『ハーバードで喝采された日本の強み』(扶桑社)など著書多数。『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所)の文庫版も出版された。 山口真由オフィシャルブログはこちら

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