スーパーのレジに並んでいるとき、前の人のカゴの中をちらりとのぞくのは楽しい。

 今日ものぞいた。カゴの主はアラフォーの女性。

 アボカド2個、ヨーグルト、スペアリブ、ぱりぱり昆布。

 おおっ、ぱりぱり昆布? おやつのようだ。どこのコーナーで見つけてきたのだろう。彼女の、最近のブームなのかもしれない。

 わたしの最近のブームといえば、喫茶店のトーストである。

 たっぷりのバターにイチゴジャム。これを、夜の7時くらいに食べるという、いけないブームだ。わかっている。このあと夕飯である。だから、トーストとコーヒーをこんな時間に食べてはならぬのである。なのに店に入って席に座ると、つい注文してしまう。罪悪感を減らすために、トーストを食べている間はイヤホンで英会話レッスンのアプリを聴くルールまでもうけているのであった。

 トーストの前のブームは、寒天だった。

 果汁100パーセントのリンゴジュースをお鍋であたため、粉寒天を投入。よくかきまぜつつ、沸騰したら容器に流し込み、そこに生のイチゴをごろごろ入れる。冷蔵庫で冷やしておくと、さっぱりおいしい寒天デザートの完成である。寒天のカリンコリンとした食感がくせになって、これを、もう、毎日おやつに食べていた。

 おやつ。

 字面を見ただけで、おいしそうだ。

『ドラえもん』に出てくるスネ夫のおやつは、いつも豪華だった。記憶が正しければ、しょっちゅうメロンを食べていた。

 わたしは想像した。

 車が空を飛ぶような未来がやってきたとき、テレビに映った食べ物をひょいっと手に取って食べられればいいのになぁ!

 2018年は、残念ながらそこまでの未来ではなかったけれど、夕飯前にトーストを食べられるのは、なかなか愉快で自由であった。

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