みなさん、こんにちは。エモカワイイカルチャーを発信する企業COMPLExxxの代表 横塚まよです。この連載では、弊社のエモカワライターの「はぎー」と、女の子が抱える複雑な感情を「エモい」というキーワードと共に紐解いていきます。

 

今回は『テレビドラマ』をテーマに選びました。「エモい」というワードが注目されてきたのは最近のことですが、実は以前から「エモさ」は表現されていたと考えています。

そこで「時代や世相を反映する」とも言われているテレビドラマを切り口に、女の「エモさ」を再発見していきます。

女子的「エモい」論らしく、特に女性が主人公となるドラマを中心に振り返ってみましょう。

大人の恋の葛藤を描く『Sex and the City』

iStock.com/[RyanKing999]

『Sex and the City』は言わずと知れたアメリカの連続テレビドラマです。1998年から2004まで放送されましたが、日本でも大ヒットとなりました。

ストーリーの中心は、ニューヨーク在住の4人の30代独身女性。彼女たちが、恋や友情、仕事に対して、時に悩み時に迷いながらも、楽しく暮らしていく様をコミカルに描いています。

特に注目されたのは、個性豊かなキャラクターです。恋愛至上主義のコラムニストに、世間知らずなお姫様タイプ、毒舌のキャリアウーマンに、性に奔放な女社長。全く異なる女性たちが登場します。そんなSATCに見えるエモさとは「恋愛における葛藤」です。

 

彼女たち4人は職業も違えば置かれた環境も違います。恋愛への価値観もバラバラ。しかし、全員が、恋愛やその周囲の出来事に真剣です。だからこそ、一筋縄でいかず葛藤する大人の女性の姿が、最高に人間らしく映ります。

恋愛は、真剣であればあるほど内面を引き出され、自分のみっともない部分と向き合わなくてはいけません。それは相手も一緒で、相手の内面の複雑さを発見してしまうこともあります。しかし、人は大人になればなるほど、プライドも高くなり、小手先での恋愛の乗りこなし方なんてものも覚えてしまう…。

愛を強く求めて、自分も愛されたい、彼のことも愛したい。だから、まっすぐに向き合いたい。向き合わなくてはいけない。でも、プライドもあるし、素直になれない。上手くいかないことを受け止められなくて、愛をセックスに置き換えてしまう。SATCの4人の姿に、そんな大人の恋愛の葛藤が見られ、そこが視聴者を「エモい」気持ちにさせるのではないでしょうか?

自分のヤバさ再発見!?な、『アラサーちゃん』

『アラサーちゃん』とは、元セクシー女優の峰なゆかさんによる4コマ漫画が原作になった日本のテレビドラマです。漫画はもちろんのこと、ドラマも大きな話題を呼びました。

アラサー世代の男女8名が登場し、同世代の「あるある」とうなずけるような恋愛や生態を面白おかしく描いています。登場人物には、主人公のアラサーちゃんのほか、ぶりっ子タイプの雑貨店店長ゆるふわちゃんに、姉御肌を気取る派遣社員サバサバちゃんなど、「いるいる」と笑ってしまうキャラクターが多くいます。

『アラサーちゃん』の、そんな「あるある」「いるいる」エピソードは、他のドラマより登場人物をより客観的に見せます。自分がよく共感するキャラクターを客観的に見ることによって、実は自分自身のことも客観的に捉えて、そこで自覚していなかった自分を発見することもあります。

 

例えば、男性ウケ抜群のぶりっ子キャラクターゆるふわちゃんに共感しているとします。

ゆるふわちゃんは男性ウケはいいけど、ウケを重視しすぎるあまり自分の個性を発揮できなかったり、男女の空気を読みすぎて本命女子になりづらかったりする面があります。

そんなエピソードを客観視すると、「私、実はヤバい?!」「周りにはこんな風に見られてたの!?」と新たな自分の見え方を発見します。

一見笑えるテイストで描かれているものの、気付くと「ドキッ」とさせられる、実は「エモい」気持ちにさせられるドラマなのです。

自分の弱さを突き付けられる『東京タラレバ娘』

『東京タラレバ娘』は、昨年2017年に大ヒットした日本の連続ドラマです。こちらは、東村アキコさんによる漫画が原作となっています。

『東京タラレバ娘』には、倫子、香、小雪の3人のメインキャラクターが登場。彼女たちは親友同士で、全員独身・彼氏なしの30歳。「あの時こうだったら」「この時ああしてれば」と、タラレバ話を繰り返し現実から目を背けていた彼女たちが、口の悪いモデルKEYとの出会いをきっかけに少しずつ自分たちの状況と向き合っていく、というストーリーです。

このドラマも、『アラサーちゃん』のように、登場人物に共感する中で自分の弱い部分や逃げている部分と向き合うことになるものです。しかし少し違うのは、『アラサーちゃん』のように読者自らが「ハッ」と気付くのではなく、KEYというツッコミ役がいます。

女子会で盛り上がる倫子たちに向かって「そうやって一生、女同士でタラレバつまみに酒飲んでろよ」「結婚は夢じゃなくて現実だろ」と一刀両断。

その明確な言葉が、倫子たちだけでなく、見ている女性たちの心もグサグサとえぐっていきます。

ドラマでは、そうした鋭い言葉を受けて、3人は逃げていた現実と向き合い、傷ついたり情けない思いをしながらも、自分にとっての本当の幸せを模索するようになるのです。

そして、もう一つのポイントがドラマオリジナルの展開に隠されています。現実逃避の場所=居酒屋での女子会のように映る流れでしたが、最終的に倫子はKEYに「これからも女子会を続けてやる!」と啖呵を切るのです。

しかし、それは以前のようなタラレバ女子会ではないということが、言い切った倫子の表情から窺い知れます。

このドラマへの共感を通して、視聴者の女性たちは自分の向き合いたくない現実をまざまざと突きつけられ、心が荒れることもあるでしょう。このドラマの最大に「エモい」点は、現実逃避→現実直視の荒療治→心の不安定という過程を経て成長した先に、現実逃避として捉えられていたものが全く違うものに映るようになる、という点です。

女子の普遍的な「エモさ」 / 時代で移り変わる「エモさ」

女性たちが主役のドラマを過去から少しずつ見返してみました。ふつう、矛盾した発言というのは好まれないことが多いですが、今回紹介したドラマではその点が魅力となっています。

それは、いつの時代の女性も矛盾を抱えながら生きていて、だからこそそこに共感を覚えるのではないでしょうか。

また、ただモヤモヤを一人で抱えて鬱々としているのではなく、紹介したドラマはどれも、それを女性同士で共有・共感し合っています。「女の友情は儚い」とも言いますが、女同士だからこそ、抱えている矛盾を許容し合うことができ、ぶつかり合うこともあれど本当の意味で許し合える友情が生まれるのかもしれません。

つまり、女性のもつ“矛盾”とその共有で繋がった“女同士の絆”は、普遍的な「エモさ」だと言えるでしょう。

 

逆に、時代と共に移り変わっている部分もあります。

過去のドラマでは、女性の主人公は明るく気持ちのいい性格で、内容も少し非現実的な夢物語が多く描かれていました。しかし、現代では人間の内面の弱さや汚さを描いたリアリティのある作品が人気を集めるようになっています。

そして、そんな情けなさを明るく笑い飛ばすような表現から徐々に、見ている視聴者の心をえぐるようなシビアな表現が増えていきました。

これは、女性たちがドラマに夢や憧れだけでなく、現実に心を打たれるような「エモさ」を求めているからではないでしょうか。

今の世の中を映し出すとも言える人気ドラマ。次の作品は、どのように私たちの心の芯を揺さぶる「エモい」ストーリーを見せてくれるのでしょうか。

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