ほぼ全ての男たちが中学時代に、ある大切なもの、もっと言うと、人生を通して付き合っていくパートナー、いや、頼れる相棒と呼べるものに出会います。その名はオナニー。君の名は。オナニー。

 僕がまだオナニーを知らなかった中学二年生の頃、こんな夢を見たんです。絵画で『ヴィーナス誕生』ってありますよね、貝の上に全裸のヴィーナスが乗ってて、連れの人から「あんた服着なさいよ~」って布かけられようとしてるやつ。僕、夢の中であんな感じの楽園的な世界にいたんです。全裸で。で、全裸だけど気温あったかいな~って思ってたら、空から馬鹿でかいサイズのスッケスケのカーテンがゆらゆら…ゆらゆら…と揺れながら僕に近づいてきて。そしてそれがついに僕の身体に触れた時、ああ~めちゃくちゃ心地いいよ~ってなったんです。空は絵の具で塗ったみたいな青で、天使たちが飛び交ってて、遠くの海にはクジラが噴水みたいな潮を吹いてて、僕はスッケスケの布に「ああ~」ってされてて。

 そしたらなんか猛烈に…おしっこがしたくなってきたんです。夢の中でも理性は残っているし、あとなんとなくこれ夢だなって感覚もあったので、この歳でおねしょはイカンと思い、僕はその尿意を必死に抑えようとしました。でも、そいつは信じられない圧で僕に迫ってきて。ほんとやばいところで、なんとか起床。ふう、危なかった。こんな夢を、当時の僕は何度も見ていました。

 そんなある日、風呂場で股間を洗っていたら、「…あれ?」という気付きがあったんです。なんか今、あのスッケスケ布と同じ感覚あった?ちょっとなにこれどういうこと?ここをこうすると、あっ、あるある~、これこれ~、止まんねえ~

 びっくりしました。気付いたら大変なことになっていました。そしてこれみんな言いますけど、震え上がるほどの罪悪感がやってきて。こんなヤバい汁出すなんてどうかしてる、俺、昔はこんなヤバしー出すようなやつじゃなかった、あの頃の正しかった自分に戻りたい、神様お願いします助けて…僕はもうほんとに自分が恥ずかしくて罪深い気持ちになって、速攻風呂あがって仏壇のある部屋行って仏壇の前に正座して、本当に申し訳ありませんでした、もう二度とこんなことやりません、どうか罪深き私をお許しください、そしてどうか現在片思い中の同じクラスの和泉さんとの未来を絶たないでください(なんでや)と、手を合わせて真剣に祈りました。夜の21時。隣りでは婆ちゃんがすやすや眠っていました。

 翌日僕は、風呂場で野獣のようにオナニーしました。

 

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