アアルトのアトリエを満喫したあとは、再びトラムに乗って市街地まで。ガイドブックに載っていたスープ屋まで行くものの、店はあいにくお休み。その近くにあったカフェに勇気を出して入ってみた。

「スープランチ、プリーズ」

 ワインビネガーがかかった、酸味のあるパプリカスープが運ばれてきた。サラダはブッフェスタイルで、コーヒーと紅茶も飲み放題。観光スポットから少し離れているので地元の客ばかりで緊張したけれど、おいしくて、もう一度次の日のランチにも訪れたほど。「CAFE daja」という店だった。

 この日の気温は15度くらい。桜が咲く少し前くらいの肌寒さである。

 昼食後はヒエタラハティの蚤の市まで行ってみる。マーケット前の広場で毎日行われている、市民による蚤の市である。家にあった不要品を売ってます、という人もいれば、骨董品を並べている人も。マリメッコの古着や、アラビアの食器もあり、一通り見て回って満足する。その後、キアズマ美術館で現代美術の展覧会を観たら時刻は夕方に。あまりに疲れたので、一旦、ホテルに戻り、しばしベッドに横たわる。

 今日一日の流れを日本での旅に置き換えたらどんな感じだろう?

 アアルトカフェ→アアルトのアトリエ見学→カフェランチ→ハカニエミ・マーケット→カフェでシナモンロール→蚤の市→美術館

 京都二泊三日の行程を、半日で駆け抜けている感じだろうか。

 一時間ほど仮眠し、からだにむち打つように再び街へ繰り出す。夜の7時。まぶしい太陽。夕飯は、昨日決めたとおり、ヘルシンキ大聖堂の前のカフェ・エンゲルで。入ってすぐのカウンターで先にオーダーし、お金を払うシステムである。

 ディナーメニューはどんなものがあるのか聞いてみる。英語で3つほど説明されるがよくわからず、野菜料理が食べたいと告げる。レジの女の子が「それならこれよ!」と教えてくれた。13.9ユーロ払い席に着く。どうか、昨日、隣の席のカップルが食べていた料理が来ますように……と願っていたら、同じ料理がやってきた。

「エンジョイ!」

 と、皿を置かれ、こちらも元気よく

「サンキュー!」

 ハンバーグのように見えたのは、千切りにしたビーツ(と思うんだけど)を丸くして、フライにしたようなものだった。サクサクしていたので、小麦粉を混ぜているのかも。タルタルソースをつけて食べる。味は濃いめだが、疲れたからだが欲している塩気だった。

 客の年齢層は高め。ワインと食事の人々もいれば、コーヒーとケーキでおしゃべりに夢中なグループも。ひとりで食事を楽しむ人もちらほらいた。旅先で、ひとり気楽に夕飯を食べられる店を見つけられたのは心強い。

 とはいえ、明日はいよいよ帰国の途。カフェ・エンゲルを出たあと、名残惜しくなり、チョコレート専門店のカフェ・カールファッツェルをハシゴするわたしだった。

この記事をシェア
この連載のすべての記事を見る

★がついた記事は無料会員限定

関連書籍

益田ミリ『美しいものを見に行くツアーひとり参加』

→書籍の購入はこちらから(Amazon)