(istock/st-palette)

 2018年、新しい年が始まりました。

 初詣でおみくじを引いたら、大吉でした。大吉は神社の木に結ばず持っておいたほうがいいんだったと、しまおうとしたら財布から去年のおみくじが出てきました。そして私は去年のお正月にも大吉を引いていたことに気づきました。

 その時、とっさに私の頭をよぎったのは「あれ?大吉だったわりには去年はそんなにいいことなかったぞ。ということは今年も大していいことないのでは?」ということでした。そしてその直後に「あ、この思考回路は非常にまずいぞ」と思いました。

 新年早々“凶”を引いて、ネガティブな気持ちになるのならまだしも、“大吉”という最高のものを引き当てたにも係らず、そんな思考に陥るとは、メンタル的にかなりダメな状態になっているということです。

 そもそも、去年はそんなにいいことがなかったかというと、決してそんなことはないのです。よくよく振り返ってみるといいことはたくさんありました。

 2017年よかったこと。
・ 著書の文庫を出版できた。
・ 仕事をしたいと思っていた人と仕事ができた。
・ 舞台にお客さんがたくさん来てくれた。
・ 会いたい人に会えた。
・ この連載を始めることができた。

 こんなにいいことがあったにも係らず、とっさに「あまりいいことがなかった」と思ったのは、「悪いこと」と認識していることのほうが心の中に強く残っていたからだと思われます。ではその「悪いこと」とは何か?

 それは、前回も書きましたが、年末にやった舞台の演出が上手くできなかったことでした。このことに関しては、去年のうちに自分の中ですっきりさせて新年からは気持ちを切り替えて頑張ろう思っていたところでした。しかし、新年になったとはいえ年末からはたった数日しか経っておらず、自分にとってはそうそうすぐには切り替えられないほどのダメージだったのでしょう。

「新しいことにチャレンジする」ことがテーマのこの連載ですが、気落ちしたまま新年を迎えた私は、次にチャレンジすることも見つけられず、更新を怠ってしまいました。新年早々、締切も守れない。自分はなんてダメ人間なんだ。益々落ち込んでいきます。これぞ負の連鎖です。

 そう、私は油断するとすぐにネガティブになるのです。20代の頃はむしろそれを自分の個性だと思ってよしとしていたところがありました。しかし30歳を過ぎた頃から、このままではいかん、ネガティブ思考のまま年を取ると生きていけなくなる、と本能的に危機を察知して、なんとかポジティブ思考に切り替えようと努力してきたのでした。

 そして、40代になって自分はポジティブ思考を完全に獲得できたと思っていました。しかしそうではなかったのです。幼い頃から培ってきた思考の癖は根強く、歯列矯正した歯が、マウスピースを付けていないと元の位置に戻ろうとするように、常に心を強く持っていないと、すぐにネガティブな人間に逆戻りしているのでした。

 長年悩まされた怪我がやっと治ったと思ったら、また怪我をしてしまった。

 もうすぐ平昌オリンピックが開幕しますが、自分をアスリートに例えるとしたら、そんな状況でしょうか。例えるのもおこがましいですが。

 そうして仕事のやる気が出ず締切もほっぽらかして、ぼんやりとテレビを観ていたら、スノーボードのソチオリンピック銀メダリストの竹内智香さんが出ていました。ソチで金メダルを取れなかったことが悔しくて、現役続行して平昌で金メダルを取る為に頑張っていたところ、選手生命を断たれるくらいの大怪我をしてしまったと。もし今の私だったら、「なんて運が悪いんだ。これは神様にオリンピックは諦めとけと言われているんだ」とやる気をなくしてしまうことでしょう。

 しかし優れたアスリートは違います。竹内さんは怪我をした時に「怪我をしてラッキー」「怪我はプレゼント」と思ったと言います。現役続行はしたもののオリンピック後に気持ちは切れていて、そのままの状態でやっていたらダメになっていた。そんな自分に神様が怪我というプレゼントを与えてくれたのだと。次のオリンピックまで長いと思っていた時間が怪我をしたことによって短くなったので逆に集中できる。そしてリハビリの為に以前はやっていなかった筋トレをやったことで、怪我をする前よりも身体が強くなったと。

 優れたアスリートはメンタルのコントロールがとても上手いのです。
「オリンピック前に怪我をする」というアスリートとして最大に不幸な出来事を「ラッキーなこと」と思えるメンタル。怪我をしてただ落ち込むのではなくて、「怪我をしてよかった」と思えるメンタルこそが大事なのです。

 そういうメンタルを獲得するには常日頃からいろんなことを「よかった」と思う訓練をするといいのではと思いました。脳にも筋肉がある。筋トレのように毎日コツコツやっていけば、脳にもポジティブ思考の筋肉が付いていくのではないかと。

 「よかった探し」という言葉があります。世界名作劇場の『愛少女ポリアンナ物語』で出てくる言葉です。主人公のポリアンナがどんなつらいことがあっても、その中からよかったことを見つけ出す「よかった探し」をすることで、周りの人や自分を幸せにしていくというお話だったと思います。

 新年からやる気が出ずだらだらテレビを観ていたおかげで、オリンピックメダリストの貴重な言葉が聞けてよかった。

 2月は、毎日1つずつよかったことを探して、それを記録し、記憶に残して、ポジティブ脳に鍛えていきたいと思います。というわけで、「よかった探し」始めます!
(中編へ続く)

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