新刊アルテイシアの夜の女子会が2/7に発売される。
「夜の女子会」というタイトルからお察しの通り、中身は100%のエロだ。十年に渡って執筆したエロコラムを集めた一冊で、“若気の至りの詰め合わせ”のような内容である。

お陰さまで当方、若気の至りだけは売るほどある。
たとえば20代、朝、彼氏にフェラしてから女友達とランチに出かけたら、食事中に口内に違和感を覚えた。「???」と思って舌でゴニョゴニョしてみると、

アルテイシアの口から陰毛があらわれた!

とドラクエ風に大騒ぎになった「口から陰毛事件」。

他には「ダイヤのピアス事件」もあった。これも20代の頃、ラブホでおセックスとしゃれこむ前に、ダイヤのピアスを外してテッシュでくるんで枕元に置いた。翌朝、目覚めると枕元には精液まみれのティッシュの山が。
ひとつずつニオイを嗅いでアタリを探したが、どうしても片方が見つからなかった。その時、私は大いなる教訓を得た。

「ピアスはティッシュでくるまない」

ラブホはモノが消えがちなスポットだ。心霊現象的なナニがアレなのかもしれない。「どうしてもパンツが見つからなくてノーパンで帰った」と証言する女友達もいる。
ノーパン帰宅できたのは若さゆえだろう。JJ(熟女)は冷えが命に関わるお年頃、男のパンツを奪ってでも保温に努める。

命に関わるといえば、他社の担当女子(あだ名はアサシン)がこんな話をしてくれた。
「20代の頃、宅急便が来て目が覚めたんですよ。玄関を開けると、配達のお兄さんがギョッとしてて…というのも、私の首からローターがぶらさがってたんです」

前の晩、オナニーしたまま寝落ちして、首にローターのコードが巻きついていたらしい。そのまま窒息死しなくてよかった。刑事ドラマで「新人が吐く現場」があるが「新人が笑いをこらえる現場」になっただろう。

アサシンという名なのに、自分が死にかけてどうする。と言いつつ、私も何度か死にかけたことがある。

夏の夜、ネグリジェを着てパンツを脱いでオナニーしたまま眠りについた。翌朝「やばい、今日ゴミの日だ!」と飛び起きて、マンションの階段で転倒、すそがめくれてマンチラ状態に。
打ちどころが悪かったら、マンモロで救急車で運ばれていたかもしれない。

性欲がらみの事件は他にもある。20歳の時、彼氏の奈良の実家に行った時のこと。 
そこはラブホもない田舎で、血気盛んだった我々は「カーセックスするか」「やってやろうじゃねえか」と山奥へと向かった。そして山道で車をバックさせた瞬間、後輪が用水路にハマった。

その時に初めて知ったが、車はメッチャ重い。若い二人の共同作業で引っ張りあげようとしたが、びくともしない。

あまりにびくともしないので「それでもカブは抜けません」「やっぱりカブは抜けません」「ネズミ呼んでくる?」とか言ってたら、彼氏に「なんでこんな時にふざけられるんだ!」と怒られて「ふざけんとやってられるか!!!」と百倍返しした。

当時はスマホどころかPHSもない時代。法螺貝を吹くか、オオカミの糞を燃やして狼煙(のろし)をあげるしか通信手段はなかった。結局、我々は民家に駆け込み、電話を借りてJAFを呼んだ。
電話を貸してくれたおばあさんに「なんでこんな山奥まで来たの?」と聞かれて「性欲のためです!」とは、言えなかった。

それが奈良県じゃなくグランドキャニオンだったら、谷底にダイブして死んでいたかもしれない。もしくはロビンマスクのように再起不能になり、その後ソ連でウォーズマンを発掘して、ムチでビッシビシしばいていたかもしれない。

バラクーダはさておき、あの命を脅かすほどの性欲はどこへ消えてしまったのか。

JJ仲間は「大学時代に性欲が抑えられず、証明写真のボックスでしたこともある」と振り返る。ハメ撮りも同時にできるが、バレたら通報案件だ。
別のJJは若い頃「1日に2人とセックスしたら膀胱炎になった、犯人はどっちだ?」と言っていて「犯人探しする前に自分がムチャしすぎや」と返した。

そんな彼女らも「あの性欲はどこに行ったんでしょうね…」「グランドキャニオンの谷底に落としてきたのかしら…」と空を見つめている。

若気の至りでいうと、私はお酒がらみのムチャもひどくて、ヘタしたら命を落としていただろう。飲みすぎて寝ゲロしたこともあった。今は酒に強くなって吐かないが、飲み慣れない人間がムチャ飲みするのは本気でヤバい。

「最近の若者は酒を飲まない」とボヤく老害がいるが「そっちの方が立派じゃねえか!」とテキーラを噴射したい。ついでに「汚物は消毒だ~!!」と火炎放射器で燃やしたい。

大学時代、私の自宅で飲んでいた時にゼミの後輩男子がゲロを吐いた。当時、うちには同級生の女子が居候していて、彼女は元ヤンだった。彼女は「先輩の家で吐くな!」と後輩をビンタしていて「ヤンキーは上下関係に厳しい」と実感した。

ちなみに先述のアサシン嬢の妹さんも元ヤンらしい。「私は腐女子のオタクでしたが、ヤンキーの妹は活字に興味がなくて、ワンピースとNANAしか読んだことがありません」とのこと。

私は中高と女子校で、オタクはいっぱいいるがヤンキーはいない環境で育った。そこから国立大学に進学すると「地方出身の成績優秀なヤンキー」が何人かいた。

ある時、同じ学部の元ヤン女子から相談を受けた。彼女はサークル仲間と付き合っていたのだが「高校時代、元彼のイニシャルを安全ピンで腕に彫ったんだよ。それを今の彼氏に打ち明けるべきか悩んでて…」

若気の至りの例文のような行動。腕を見せてもらうと「TM」と彫っていたので「Nを足して、TMネットワークのファンってことにしたら?」と提案したが、却下された。ネットワークじゃなくレボリューションを推すべきだったか。

その後、彼女は「根性焼きで消そうかな…」と呟いていて「さらにヤンキーらしい行動を!」と驚くと共に「ヤンキーは痛みに強い」と感心した。だから子どももジャンジャン産めるのかもしれない。

私は痛みには弱いが、前述の通り酒はわりと強い。大量飲酒しても顔が赤くなったり、頭が痛くなったりしない。ただ記憶がスポッと抜け落ちることがあり、それが悩みの種だった。

先日、JJ仲間に「若気の至りエピソードってある?」と聞くと「そういえば、大学時代にサークルの男女で宅飲みしてた時、『トイレ行ってくる~』と立ち上がって、廊下でズボンを下ろして放尿したわ」とおっしゃる。

「いや~すっかり忘れてた」という彼女に「それを忘れられるメンタルがすげえな」と感心すると「当時は死ぬほど落ち込んだけど、自然に記憶が消去された、これぞJJ力」と言っていた。

たしかに昔は失敗するとクヨクヨ引きずったが、今は「忘れっぽい」というJJ力が発揮される。それは寿ぐべきことだが、老化で放尿しないように骨盤底筋は鍛えていきたい。

先頃、お酒の飲めないJJたちとごはんに行った翌日「記憶が曖昧なんだけど、お会計どうしたっけ?」とLINEすると「誰が払ったっけ?」「その場でワリカンにしたっけ?」と全員が忘れていた。 
JJは酒を飲まなくても忘れる、という事実に心強さを感じた。人は年をとるとだいたい同じになっていくのかもしれない。

そして人は誰しも、若気の至りの1つや2つや2兆はあるだろう。漆黒の歴史を刻んでも、いずれ記憶は薄れるから大丈夫。それにJJになると、自分という人間に慣れる。若い頃は「なんであんな失敗したんだろう」と自己嫌悪したが、「まあ失敗ぐらいするよな、自分だもの」と許せるようになるのだ。

いつも書いているが、私はJJになって楽になった。過去を振り返るたび強く思う。「あの日に帰りたくない」と。
ユーミンは泣きながらちぎった写真を手のひらにつなげていたが、私は泣きながらちぎった写真にラー油をかけて、どんど焼きで燃やしたい。きっと香ばしい匂いがするだろう。

20代の頃、周りからは「今が一番いい時なんだから」と言われたが、自分自身は「なんだか私、若すぎる」と居心地の悪さを感じていた。そして40代になって悟った。「私、おばさんが向いている」。 
40代という年齢がしっくりきて、JJ界の居心地の良さに驚いたのだ。

若い女は何かと注目されがちだ。自分の生きたいように生きているだけで「若いのにもったいない」だの「若いくせに生意気だ」だの言われる。若い女を見ると小言や説教を言わずにいられない、そんな一億総小姑な現代社会では、マカロンを食っただけで「ブスのくせに」などと揶揄される。

人が何食おうがほっとけや!とマカロンを尻の穴に詰めたいが、おばさんが何を食おうが特に興味を持たれない。これがおばあさんになると「マカロンが好きだなんてハイカラですね」「食欲旺盛で頼もしい、長生きしてくださいよ」と労わりの言葉さえかけられる。

要するに、世間は年齢で判断して勝手なことを言ってくるのだ。
「若い女というだけで得をしている」と勝手にやっかみ、女disを娯楽にする人々もいる。「どれだけ人生に楽しいことがないのか?」と真顔で聞きたいが、そんな連中の娯楽に付き合ってやるのは時間の無駄だ。

そんな暇があったら、私は夜の女子会を開いて、マカロンをあてに若気の至りを語り合いたい。「あの日に帰りたくない」と言いながら。それはきっと、JJになった今が最高に楽しいという証しだから。

若いお嬢さん方よ、JJ界に来る日を楽しみにして、世間の声に負けないでほしい。好きなメイクをdisられたら「俺は貴様の血で化粧がしたい!」と血祭りにしてやればいい。そうすれば、コスメ代も浮いて一石二鳥だ。

Text/アルテイシア 

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アルテイシアの夜の女子会
 



「愛液が出なければローションを使えばいいのに」とヤリたい放題だった20代から、子宮全摘をしてセックスは変わるのか克明にレポートした40代まで。10年間のエロ遍歴を綴った爆笑コラム集!!

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