みなさん、こんにちは。エモカワイイカルチャーを発信する企業COMPLExxxの取締役 横塚まよです。この連載では、弊社のエモカワライターの はぎー と、今流行になりつつある「エモい」をキーワードに、世の中の事象を紐解いてみようと思います。

今回は流行しているサービス・コンテンツが題材です。今や「エモい」は、会話の中で「これがエモい、あれはエモい」と何かを形容するための表現の手段に留まらないのです。「エモい」要素があることが、サービスやコンテンツが流行する一つの要因になりうるのです。

エモいを切り口にしたサービスが増えはじめてる

突然に「エモい」サービスと言われても、ピンときませんよね。まずは、どんな例があるかご紹介します。

まずは、2017年に開催されていた『スーパー浮世絵「江戸の秘密」展』。浮世絵と言えば、日本の古典美術であり、「エモい」なんて現代語との共通点なんて思い浮かぶものがありません。ただ、この展示会のキャッチコピーは「べらぼうに、エモい!」なのです。

「エモい」という切り口で、古典美術を楽しもうというコンセプトの展示会です。昔から日本の文学や美術における重要な理念である「もののあはれ」は、「エモい」のニュアンスに近い雰囲気があると思っています。

(スーパー浮世絵 「江戸の秘密」展)

続いて、エモい塗料です。

この塗料のサイトをみると以下のように紹介されています。

“一般的な塗料が「ムラなく塗れる」ことを前提としているのに対し、EMO paintは刷毛とプラスチックヘラによってあえてムラをつくり出し、空間に表情と奥行きをもたらします。コンセプトはあなたの「emotion=感性」を空間に宿すペイント。”

あなたの「emotion=感性」を空間に宿すペイント「EMO paint」)より一部抜粋

上記にもあるように、ムラなく綺麗に塗れることが塗料の優位性であるのが一般的であるはずです。しかし、その真逆であることを魅力としています。この塗料EMOは、すでに、アパレルブランドの店内塗装やルックブックの背景で利用されているそうです。

アパレルブランドなどにとっては、ブランドオリジナルの世界観を表現することはとても大切。そうした重要なファクターにムラやブレを許容することで、均一的な既視感のない唯一無二のものを表現できるのかもしれません。

実は、今年のHNK紅白歌合戦も、製作陣が現場で掲げていたテーマは「エモい紅白」だったようです。番組の制作統括を務めるチーフプロデューサーのインタビューで、「視聴者の感情に訴えかけるコンテンツを作り、エモい紅白を作る」と語られています。
(トレンドニュース 制作統括が語る「第68回NHK紅白歌合戦」のポイントその2 「紅白の進化/深化と、不変のテーマ」)

徐々に「エモいか否か」は、サービスやコンテンツを語る要素の一つとして定着しはじめているのではないでしょうか? この理由は、世の中に情報が溢れ、インターネットやスマートフォンが誕生したような大きなインパクトを与える新しい革新がない時代だからだと考えています。

機能面での利便性が満たされてしまった時代だからこそ、感情を揺り動かすものに魅力を感じるのだと思います。

そしてそれが若者の中で顕著に現れているのが「画像加工」です。

「盛れる」より「エモい」を求める画像加工

(写真:iStock.com/[kcslagle])


今の20代後半以降には懐かしいアイテムであるインスタントカメラ「写ルンです」。
「写ルンです」が現在若者の中で「エモい」写真が取れると流行しています。アプリでも「写ルンです」風に取れる写真が人気を集めています。

少し前であれば「Beauty Plus」や「SNOW」、カワイく盛れるカメラアプリが多くの若者、特に女子の必需品でした。これらで撮った写真は、いつもよりも肌を美しく、瞳を大きく、唇を鮮やかに写してくれます。

一方、インスタントカメラのフィルム写真といえば、光も均一に入らなかったり、埃が写ってしまったり、画質も荒く、単純に美しい画像が取れるものではない「旧世代」のカメラだ、というのが大人の印象でしょう。

しかし、この荒さこそがむしろ若者には目新しいのです。インスタントカメラが写すフィルムの表現は、大人たちには懐かしさを込めた「エモさ」があり、若者にとっては、完璧でない懐かしい”らしい”雰囲気が「エモく」真新しいのでしょう。

単純なものには、もう興味をそそられない若者たち


これまで若い女子たちの間で流行したものには、「カワイイ」「モテる」など、単純で分かりやすい魅力がありました。

しかし、情報が多く、さらに情報を収集することも容易になった今、それらの理解しやすい魅力は素早く消費されてしまいます。そのサイクルの中で、そもそも単純で分かりやすいもの自体が既に飽きられてしまったのかもしれません。

だからこそ、今までとは違う新しい感覚を求める。それこそ「エモい」なのかもしれません。複雑で分かりづらく、揺らぎや粗があるもの。それらが持つ空白には受け手の自由が許されています。それが「エモい」の魅力です。

既に、若者だけでなく多くの消費者に「エモい」を切り口にしたコンテンツが受け入れられ初められています。今回紹介した事例のように思いも寄らないものが、今年は「エモい」によって生まれ変わっていくかもしれませんね。

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