その日の夜は、この連載の担当編集者キクチさんにお誘いいただき、新宿で行われる、とある落語会に伺うことになっていました。
 キクチさんは、ひとり暮しと登山の先輩。人生のなかで疲れたことと体が冷えたことがない、というスーパーウーマンです。
 せっかく新宿に出るのだから。貧乏性ゆえ、ついでをつくりたくなる私。
 オッケー、私の頭の中にあるグーグル。新宿といえば? 
 脳内検索の結果、思い浮かんだのは、東京都庁。

 15年も東京に暮していながら、一度も足を踏み入れたことがないのです。ふたつの、のっぽのビル、くらいの認識しかありません。
 キーボードをピコピコ打ってグーグル先生に尋ねてみると、都庁の展望台は無料でのぼれるうえに、「都庁展望室日本全国物産展」なるものを開催中。ロゴには、南部鉄器やだるまやこけしがあしらわれています。
 全国の物産が集結、ということは、高知県の土産物屋を探し回っても見つからなかった、木彫りの鯨に車輪のついた「鯨車」があるかもしれない。
 よし、いってみよう。

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山田マチ『ひとり暮しの手帖』

これは、ひとり暮しの山田の手帖です。

実家をはなれて、およそ20年。
これまでも、きっとこれからも、ひとり暮し。
ここには、ひとり暮しのいろいろなことを書きつけます。
このなかのどれかひとつくらいは、あなたの心に届くかもしれない。
いや、ぜんぜん届かないかもしれない。
そんなふうな、
これは、ひとり暮しの山田の手帖です。