怒っていいことは一つもない。2018年からの自分が変わる! ためない。爆発しない。翻弄されない。怒りをコントロールできる大人になる24のメソッド。『もう怒らないレッスン』和田秀樹著(幻冬舎文庫)

 

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怒りが頂点に達した一方的な「ダメ出し」

 最近は、ほとんどの人がメールを使いこなします。私自身も大いに活用しています。それはそれで結構なことなのですが、受け取るメールの中には、人を怒らせるものもあります。言葉遣いのマナーをわきまえなかったり、高飛車だったりすると、カチンときてしまいます。みなさんもそんな経験があるはずです。

 ある知人女性から聞いた話です。
 自分の子どもが通う学校のPTA活動でのこと。彼女は、バザーの責任者を引き受けました。張り切って、趣向を凝らした企画書を作り上げました。それをメールでメンバーの保護者に送ったそうです。
 しかし、その企画をメールで酷評してきた人がいました。
 頭ごなしの「ダメ出し」でした。労をねぎらうような言葉はひと言もありません。その送り主はPTAの中心的な女性でした。バザーを何度も仕切ったことのある女性でした。メールの文面は知人女性のプランを「間違い」と切って捨ててしまっています。
 ふだんはおとなしいのですが、知人女性の怒りは頂点に達しました。

 

返信メールは一晩「寝かす」

 えてして、メールの文章は細かいニュアンスが伝わりません。相手の表情もわかりませんから、まさに「文面通り」。嫌な感じが強く伝わってくることがあります。そこに怒りの種を見つけてしまいがちです。相手と同じ文章の調子で反論のメールを戻したりすれば、その数倍の反撃が待っているかもしれません。
 こんなとき、相手の「売り言葉」を買ってはいけません。買ってしまえば、次の「売り言葉」が返ってきます。
 ある有名な作家は、返信メールは一晩寝かせてから出すそうです。どんなに自分を怒らせたメールであっても、即返信はしません。翌朝、冷静になってから読み直し、これなら大丈夫となれば、送信ボタンをクリックするのです。とても賢いやり方です。

 私自身も、しばしば「うーん、こういう自己中心的なメールはないよな」「こっちの都合をどう考えているんだろう?」「無理に決まっているだろう」などと、送られてきたメールに怒りを覚えることはあります。ビジネスパートナーへのねぎらいの言葉もなければ、敬意を感じさせる言葉もありません。すぐにでも異議や反撃のメールを送りたくなりますが、すぐには送りません。メールは、送信すれば取り返しがつきません。
「売り言葉」と感じて、その言葉を買ってしまえば、決裂するしかありません。
 

「同じ穴のムジナ」になってはいけません

 それではあなたも「同じ穴のムジナ」になってしまいます。このタイプのムジナさんはじつに単純な人です。その単純さを逆手に取ればいいのです。賢いのは怒るのではなく「相談する形」を取ることです。「自分はよくわからないから、教えてほしい」と下手に出るのです。

 たとえば、知人女性の企画に高飛車な「ダメ出し」をした人に対しては、「いろいろと教えてください。どこをどう直せばいいでしょうか? それをもとにみなさんで話し合えればと思います」と返事をしてみれば、どうでしょうか。

 ムジナさんは悪い気はしません。単純な人ですから、リアクションが来ます。メールのトーンはいくらか和らいでくるはずです。そうなればしめたものです。
 なにしろ、相手はムジナさんです。やり合うだけ、エネルギーの無駄づかいです。

 相談するような形で下手に出たメールを出しておけば、ミーティングのときにどんなことが起こってくるか想像してください。
「何度もバザーを経験されている〇〇さんから、アドバイスをいただきましたので、手を加えてみました。みなさんのご意見もお聞きして、方向性を決めたいと思います」
 そうすれば、まわりの人から、「なかなかできる人だ」とか、「あのうるさ型をうまく手なずけたものだわ」などと、一目も二目も置かれる存在になるかもしれません。

 高飛車な怒りの感情には、「下手に出る」という賢い技で応じる。それが、結果的に、あなたという存在を「上手」にしてくれるのですよ。

 

※次回は12月19日(火)公開予定です。

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和田秀樹『もう怒らないレッスン』幻冬舎文庫

些細なことでイライラ、ムカムカ。そんな自分に嫌気がさしていませんか。大脳辺縁系をうまく制御できれば、心はすぐに鎮まるのです――。自身も怒りっぽい性格に悩み、研究を重ねた精神科医が教える24のメソッド。「ジェラートで怒りモードがオフに」「カチンときたらありがとう」など、ちょっとユニークな大人の生き方レッスン。