50歳、女一人、お恥ずかしながら、また東京に戻って自由が丘のマンションに引越して参りました。人生二度目の上京である。一度目の上京は大学進学のためだった。バブル末期の頃である。母が東京生まれだったため、母方の親戚はみな東京におり、小さい頃から、休みには、祖父母、伯父伯母の家に長居していたが、東京に一人で暮らすのは初めてで、不安と希望で十代の私は胸が一杯であった。いや、希望より、「ちゃんと一人で生活していけるだろうか」と不安の方が大きかった。

 料理は好きで何とかできたが、洗濯機を回すのは、実は一人暮らしをした時が生まれて初めてだった。実家のは全自動洗濯機であったが、母が私のために用意してくれたのは、今では懐かしい二槽式で、洗濯物を入れる所が二つに分かれていた。私は、それを見て「これはどう使うんだろう」と考えながら、左の大きな方の槽に洗濯物を入れ、グルグル回した。当時は、洗濯をしている間に掃除をするとか、一度に二つ以上の事をすることができず、洗濯をしている間は、洗濯機の前に立ち、グルグル回る洗濯槽をジッと見つめていた。

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