今回のテーマは、JJ(熟女)と怒り。

「男どもにションベンぶっかけて、皆殺しにしてやるのさ!」

映画『デンデラ』に出てくるセリフである。デンデラは姥捨て山に捨てられた老女50人が力を合わせて生き延び、村人たちに復讐を目論むストーリーだ。

怒れる50人のババア軍団は、メッチャ寒さに強い。私だったら2分で凍死するであろう、八甲田山のような雪山で戦闘訓練を行う。
「デンデラはオレたち女だけのものさ!」と蓑(みの)をかぶって竹やりを握る姿は勇ましいが、小柄なおばあさんたちなので、絵面はイウォークみたいでかわいい。 

老け専にとっては「俺の考えた最強のBBK50(ババアばっかり50人)」出演のアイドル映画だろうが、デンデラはかなりのカルトムービーだ。老女たちが熊にバラバラに惨殺される場面もあって、グロみが苦手な人はしんどいと思う。
あと熊の着ぐるみ感がすごい。

とはいえ、ランボーのようにバンダナを巻く浅丘ルリ子先輩や、亀の甲羅のアイパッチをつけた倍賞美津子先輩の姿に「カッコいい……!」と痺れた。

映画館で『マッドマックス 怒りのデスロード』を観た時も、女戦士ヒュリオサに扮したシャーリーズ・セロン先輩に痺れて失禁しそうになった。年をとると頻尿気味になるので、上映中に尿意を催すのはJJあるあるだ。そろそろハルンケアの出番かもしれない。

私は昔から闘う女に憧れている。
少し前に「ロシアの老婆、襲ってきた狼を斧の一撃で屠(ほふ)る」というネット記事を見かけた。
『恐怖は一切なかった。わざと左手を出して噛みつかせて、喉の奥に手を突っ込んで狼の動きを止めた。痛みは無視した。後は渾身の力で頭をかち割った』というコメントを読んで「私もこんなババアになりたい」と強く思った。

夫と付き合いたての頃「誕生日プレゼント、斧はどうかな?」と言われて耳を疑ったが、あの時に斧をもらっておけばよかった。だが、もらっても使いこなせなかった可能性が高い。

私は“気は強くて力は無し”タイプなので「ふざけんなコノヤロー!」と言葉でアウトレイジすることが多い。

一方、怒るのが苦手な人や、「口ゲンカで勝ったことがない」という全敗神話を誇る人もいて、そういうタイプは八つ当たりの標的にされやすい。「ストレスをぶつけられても言い返せなくてつらい」と悩む人のために、対抗策を考えてみた。

ひとつめは、ネズミ返し。「ストレスがたまるとお肌も荒れるよね!いい化粧水があるんだけど」とア●ウェイの商品を紹介する。
ふたつめは、スピ返し。プギャーとわめく相手に対して「神様はどんな試練を与えようとしているのでしょうか」とひたすら神視点で返す。これは某森友問題の時の総理夫人のメールを参考にするといい。
みっつめは、右翼返し。「この曲を聞くと元気が出るよ!」と軍歌を流す、もしくは「私も超ムカついててさー!」と共産党の悪口を言う。
すると相手は「こいつヤバい奴だ」と距離を置いてくるだろう。

私自身はそんなソフトなやり方じゃなく、ムカつく相手はキャンと言わせたい方だ。
特にムカつく元彼などは「貴様には地獄すらなまぬるい!」とバラバラにしてやりたい。だが実際やるとお縄を頂戴するので、元彼からナメたメールがきた時に、バラバラ死体の画像を送り返した。

ちなみに他社の担当女子(あだ名はアサシン)は、パワハラ上司の机をスカトロ写真で飾りつけたという。暗殺者の名に恥じぬリベンジぶりである。

この手の話をすると「女は怖い」などと抜かす輩がいるが、そいつの自宅の外壁をスカトロ写真で飾りつけたい。そして、男に怖がられる己でよかったと言いたい。
怒るべき時に怒れない女性が、パワハラやセクハラの餌食になりがちだからだ。

以前、とびきり美人のアラサー女子が「男に壁ドンとかされたら、とっさに殴ると思います」と言っていた。彼女は中高の6年間電車通学だったが、一度も痴漢に遭ったことがないらしい。
つねに闘気を発することが、自分を守るウォールマリアになるのだ。

当連載の担当H嬢も、闘気みなぎるJJだ。先日、電話で打合せした時も「私は四六時中怒ってますが、日本人女性は怒らなすぎだと思います!」と怒っていた。
「女はいつもニコニコしてろ、みたいな外圧がありますよね。こっちは理由があって怒ってるのに『そんなにカリカリしないで』とか言われると、爆破したくなります」とのこと。

日本には「女は笑顔が一番」的な価値観があるが、フランスでは無駄にニコニコしている女はアホと思われるそうだ。
また、JJが怒ると「更年期w」「ババアの嫉妬w」と揶揄する連中も多い。そんな奴らは渾身の力で頭をかち割っていい、ロシアのババアも加勢してくれるはずだ。

TVで某お笑い芸人が「結婚せえへんの? と聞くのがセクハラなら会話もできへん」と言っていたが「おまえそれ、自分の上司や取引先の女性にも聞くか?」という話だ。
セクハラもパワハラも立場が上の者が下の者にするのが常であり、女子アナが「殺すぞジジイ!」とみのもんたの指をへし折れるかというと、無理だろう。

昨今話題のハリウッドの大物プロデューサーによるセクハラ事件も、被害に遭った女優たちは「仕事を干されるのが怖くて告発できなかった」と証言している。

老害は「セクハラされても笑顔であしらうのがいい女」とほざくが、笑顔であしらってる女たちも立場的に怒れないだけで、深夜に「殺すぞジジイ!」と藁ドールの製作に励んでいるのだ。
しかし藁ドールを爆破するだけでは物足りない。鼻くそを自在に爆弾に変えるスタンド能力が欲しい。

しかしここは杜王町じゃないので、矢が飛んでくる気配はない。スタンド能力を持たない我々は、立場が上の敵とどう闘うべきか?
セクハラ加害者の常套句は「相手が嫌がってると思わなかった」なので、まずはハッキリ意思表示する必要がある。だが「自分は怒っている」と表明するために、ケンシロウのように服をビリビリに破いて半裸になると、余計に敵を喜ばせてしまう。

そこで、ラオウのように血管を浮き上がらせてはどうか。額に10本ぐらい青筋が立っていれば、「すごく怒ってるんだな」と敵もさすがに気づくだろう。

JJは何もしなくても血管が浮き上がるお年頃。加齢によって皮膚が薄くなることが原因らしい。
私はもともと血管が極太で「注射しやすい!」と看護師さんに褒められてきた。「血管が細くて注射の針が入らないの…」という女子の嘆きを聞くたび「そっちの方がモテそうやな」とひがんできた。
だが注射や点滴をする機会が増えるJJとしては、血管が浮き出ている方が便利だ。これもJJ力として前向きに受け止めたい。

年をとって丸くなる人もいれば、逆に怒りっぽくなる人もいる。私の場合は「キエーッ!!!」と天人唐草のように爆発する機会は減った。

テストステロンの分泌盛りだった20代は、しょっちゅう天人唐草していた。彼氏とケンカして「キエーッ!!もう別れる!」と深夜に家を飛び出すこともあった。
飛び出した私を彼が追いかけてきて、抱きしめられて熱いキッス……的な展開を期待するものの、後ろを振り返っても誰の姿もなく、しかたなくコンビニでおやつを買って帰宅していた。

担当H嬢も「わかる!私も昔はよくやってました」と同意する。
「彼氏とケンカして深夜の街を追いかけっことかしましたね。私の場合、女子校育ちで少女マンガ的な展開に憧れがあったのかもしれません。そういうメンヘラ劇場に付き合ってくれた彼氏には、感謝の気持ちでいっぱいです」とのこと。

JJになると、深夜にドロケイをする体力もない。横断歩道を走るだけで心臓麻痺を起こしそうなのに、無茶すると本気のデスロードになってしまう。
それに、ケンカするとやっぱり後味が悪い。気まずい空気を引きずるのもストレスだし、シワや白髪が増えそうだ。
そこで、JJ独自のルールを導入してはどうか。

体格差が少なければ、相撲で勝負をつける。相撲がキツければ、囲碁や将棋でもいいだろう。いかに素早く金魚を飲んで出すかの人間ポンプ対決もオススメだ。
なんにせよ、怒りをためこむのはよくない。我慢に我慢を重ねた結果「夫 死んでほしい」「トリカブト」でネット検索する羽目になる。

ただでさえ、ムカつくことの多い世の中だ。
男尊女卑アレルギーの私は、ノミやダニが多すぎて鼻水が止まらない。もともと男尊女卑な言動に触れると「駆逐してやる……!」と瞳孔が開く方だが、昨今、ネットの炎上などを見ていると瞳孔が開きっぱなしで、目ヤニも止まらない。

だからこそ、ストレス発散が大切なのだ。デンデラでもババアたちが焚火を囲んで踊ったり、屠った熊の血で乾杯したりしていた。
我々も宴を開いて「あいつらノミと同類よォーッ!パパウパウパウ♪」とJJ音頭を踊ろう。そしてギャル神輿ならぬJJ神輿をかついで、愉快に街へ繰り出そう。
そんな勇猛果敢なJJ軍団を見れば、ションベンぶっかけて皆殺しにしなくても、敵はビビッて失禁するはずだ。1人で藁ドールを作るより、そっちの方がずっと楽しい。
これが21世紀の女の闘い方ではないだろうか。パパウパウパウ♪

この記事をシェア
この連載のすべての記事を見る

★がついた記事は無料会員限定

関連書籍

アルテイシア『59番目のプロポーズ キャリアとオタクの恋』
→電子書籍の購入はこちら(Amazon)