「インターネットで一番数字を持っているライター」と呼ばれるヨッピーさん初の本『明日クビになっても大丈夫!』が発売になりました。爆笑しつつも大共感、そして仕事について改めて考え直すきっかけとなる本書の試し読みを少しずつ掲載していきます。第十回は、本業でも副業でも「頭ひとつ」抜きん出るためのヨッピー流サバイバル術です!

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さて、晴れて貴方が「じゃあなんかやるか!」と決意し、自分の好きなものも見つけ、それを活かす上で狙うべき「椅子」を定めたとしよう。そしてその時に考えなければいけないのが「マーケットの規模」と「ライバルの強さ」だという事については先ほど書いた。

 例えば一番手軽な副業として「ブログで稼ぐ」なんかがポンと出てくるし、実際ブログは参入障壁も低いし元手だってかからないので気軽にはじめられると思う。しかしながらこの「ブログで稼ぐ」というのはマーケットはそれなりに広いものの、ライバルが異常に多いのであります。これは参入障壁とバーターの関係にあるのかもしれない。気軽にはじめられるものはやっぱりライバルも多い。

「ブログで生計立てます!」みたいなブログは10や20じゃきかないレベルで存在するし、そんな所に割り込んでもなかなか効果が出ないだろう。「ブログで稼ぐ」という椅子についてはもう残念ながらいろんな人に見つかった状態であって、人が我先に争ってその椅子を狙っている戦国時代みたいな状態になっている。ここに割り込んでいくのはけっこう大変なのだ。本来であれば「その椅子を諦めて他の所に行けば?」というのが生存戦略として正しいのだけど、でも自分の適性だったり、やりたい事がライバルとかぶってしまっていたらもうそこで勝負するしかない。じゃあ、その時にどうやってライバルに勝つのか。ここで僕は「プラスワン戦略」というのを提唱したい。

 プラスワン戦略、というのはその名の通り「ひとつ足す事」だ。料理における「ちょい足しレシピ」みたいなものだと考えればいい。

 例えとして「DJ」という職業を考えてみよう。音楽が好きだ、クラブが好きだ、女の子にもモテるだろう。だから副業としてDJをやってみようじゃないか、そう思ってチャレンジしたとする。じゃあ「DJ」として売れるためにはどうしたらいいか? という部分を考えると、音楽に詳しくなって海外のクラブシーンで流行っている曲を探し、選曲や「ツナギ」と呼ばれる曲と曲の合間を隙間なく繫いでゆくセンスなんかを磨いていくような「DJとしてのスキルを磨く」部分と、あとはクラブ関係なんかの知り合いを増やしていく「人脈」なんかが挙げられるのかな、と思う。基本的にこの二つがばっちりハマっているとDJとしてはまずまず成功するんじゃないかと思う。

 でも、残念ながらみんなそんな事はわかっていてその部分については競争も激しかったりするのだ。そこで提唱したいのが「プラスワン戦略」である。「DJ」が持つ、「クラブで音楽をかける」というスキル「以外」の部分をひとつ乗せれば一気に他のDJ達と差別化出来る。

 例えば友人に「アフロマンス」というその名の通りアフロヘアのDJがいるのだけど、彼はクラブのDJをこなす傍ら、「泡パ」と称してクラブフロアに泡を撒き散らしたり(もちろん人体には無害なやつ)、「マグロハウス」と称してフロアでマグロの解体ショーを行ったりしている。「泡」も「マグロ」も本来のDJの仕事からは大きく逸脱しているけれども、それによって彼のイベントは他のイベントと明らかに差別化されているし、ある意味では独自の路線を貫いているとも言える。そして、(憶測だけど)彼はかなり儲けているのだ。元々は博報堂で働くサラリーマンだった彼が、趣味として週末にDJを行い、そしてそれが軌道にのりはじめてから脱サラして独立したのだ。この本で僕がしつこく言っている戦略の綺麗なモデルケースとも言える。

 そしてこの「プラスワン戦略」は恐らくいろんなことに応用出来るのだ。例えば大宮に「おふろcafé」という、いわゆるスーパー銭湯がある。他のスーパー銭湯と一線を画しているのが、「おふろcafé」はスーパー銭湯でありながら、内装がめちゃんこオシャレなカフェみたいになっているのだ。何せ暖炉があったりハンモックがあったりする。木をふんだんに使った内装も、「スーパー銭湯」というよりは完全に代官山あたりのカフェっぽい造りで、実際この「おふろcafé」は週末なんかは死ぬほど混んでいて大繁盛しているしモデルケースとしていろんなメディアに取材されていたりもする。これも「スーパー銭湯」に「cafe」のプラスワンを行った結果と言えるんじゃないだろうか。「スーパー銭湯」もやっぱり競争が激しいジャンルだったりするので、別の要素を足す事で他と差別化し、ガチンコの殴り合いを避けられるのだ。

 ライターとして僕もやっぱり同じく「プラスワン戦略」を取っている。例えば商品の紹介をして欲しい、なんて依頼を受けた場合、僕は「普通に紹介するだけの記事」は書かないようにしているのだ。具体的に紹介したい。

 広島県から「広島の観光情報記事を書いて欲しい」という依頼が来た。題材になったのは「呉市」である。造船で栄えた街で大和ミュージアムなどの観光地はあるのだけど、僕みたいなオッサンが普通に呉を観光して「呉はいい所なりぃ~~~!」なんて書いたところで、まああんまり説得力がない。そこで「何を足せばウケるのか?」と悩むのである。呉の要素を書き出してみる。造船、大和ミュージアム、屋台、自衛隊の資料館、ああ、そういえば「この世界の片隅に」っていう映画の舞台でもあったな、みたいな。そこで思いつくのである。「あ、女優ののんさん(本名:能年玲奈)を連れてくればいいのでは?」って。去年大ヒットした「この世界の片隅に」は呉を舞台にしたアニメ映画で、その主役の「すずさん」の声優をのんさんが担当していて、更にはのんさんは呉をロケ地にして撮影した写真集も発売していたのである。のんさんは「呉に縁がある女優」と言えるだろうし、そののんさんに呉の魅力を語って貰えばウケるに違いないはずだ。

 そんなわけでのんさんに呉市の魅力を語ってもらう記事を書いて、当然ネット上ではウケた。ただし、これには裏側があって、「のんさんを連れてこよう」と思いついたのは僕が広島県から仕事を受注したあとの話なので、当然広島県から貰った予算にのんさんに払うギャラは含まれていない。でもどうしてものんさんに出て頂きたかったので、広島県の担当の人に「なんとか追加で予算をください!」とお願いし、最悪「自腹を切ってでもお願いしよう」くらいに思っていた。結果的には担当の方のおかげで追加予算を組んで頂いてなんとかなったのだけど、でもそれくらい、「自腹を切ってでも」って言うくらい、「ひとつ乗せる」ことについて気合を入れて取り組んで欲しいなと思っている。

 知事を連れてきたり市長を連れてきたり、スマホの宣伝をするために古いWindows95のパソコンを持って来たり、そういう「何か乗せる」という部分に工夫をして記事を書いている人はまだまだ少ない。これを応用すればライバルに一歩抜きん出る事が出来るはずだ。

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ヨッピー『明日クビになっても大丈夫!』

「現役の千葉市長とゲーム対決をする」「AV女優と童貞を合コンさせる」「24時間テレビの100kmマラソンが本当に大変なのか試す」「大阪でひたすらたこ焼きを食べる」などの面白記事をネットで発信し続けているWEBライター・ヨッピー。

好き放題しながら楽しく稼いでいる彼による、
会社に寄りかからずに生き延びる方法。