激しい離婚劇を繰り広げた著者(現在、休戦中)がひとりで戻ってきた自由が丘。田舎者を魅了してやまない町・自由が丘。「衾(ふすま)駅」と内定していた駅名が直前で「自由ヶ丘」となったというこの町は、おひとりさまにも優しいロハス空間なのか? 自由が丘に“憑かれた”女の徒然日記――。

 

 私は、また自由が丘に戻って来てしまった。他の地を何処でも選ぶ事ができたのに。もう、一人きりなんだから……。

 夫と暮らして十五年余り、その内、殆んどを自由が丘近辺で暮らした。最後の三年位は埼玉県境まで三百メートルの練馬区であったが。

 夫に浮気され、私は、大立ち回りをした挙句、夫を全力で家から追い出したら、そのまま失踪されてしまった。その間の出来事を、広くて寒い練馬の家で泣きながらエッセイに綴り、それが本になった所で、私は涙を拭いて心機一転パリに行ってみた。

 パリでは、ツーリスト用のアパートを借りた。フランスでは美術館に日参し、たくさんの絵を舐めるように見て味わい、カフェやレストランで美味しい物を食べ、近くの惣菜屋でいろいろなおかずを買って、アパートで堪能し、頭と胃をフランスで一杯にした。

 いつもお腹いっぱいで、Lサイズのパンツまでキツくなった頃、夫と暮らしていた練馬の古くて大きな寒い家に戻ったら、年末にひいた風邪をこじらせてしまい、正月が過ぎても起きられず、暖房器具もつけられずお茶を沸かせず冷たい水ばかり飲み、「今日は一体、何月何日でしょうか」と訳が分からなくなった所で、私を心配した友人と、実家の両親と弟の連携プレーで、車で迎えに来てもらい毛布にくるまれ、静岡の実家に帰った。

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