10月16日
会社に着くと、向かいの席に座る『小説幻冬』編集長の有馬が、
「知らない人が読んだら、竹村さんの仕事は、華やかなに飛び回っているように見えるかも」と週末に公開した日記の感想を伝えてくれた。
たしかに、そう見えることは重々自覚しているのだけど、どうしてもイベント的なことのほうが書きやすく、現実の9割を占めるコツコツと地味な仕事についてはうまく日記に書けない。あと細やかなことを書こうとすると途端に日記が億劫になるので、割り切ってもいる。
午後から文藝春秋社にて、野宮真貴さんの取材。渋谷系スダンダード化計画から、新刊『おしゃれはほどほどでいい』まで盛り上がる。今日の話は文春オンラインに公開予定。
夜、文庫『餓鬼道巡行』の解説原稿が届く。解説をいただくと、作品に違った輪郭が生まれていつも新鮮な気持ちになる。
帰り道、馬喰横山のデザイン事務所に届けもの。カバー写真の色味が苦戦中。。

10月17日
『おしゃれはほどほどでいい』見本日。何冊つくってもソワソワする日。午後、無事に出来上がっている実物を見てホットする。その後は、発送、献本の手配、その他机仕事。

10月18日
週末が出張で東京にいないため、午前中に不在者投票へ。
午後は、会社で机仕事。

10月19日

コンサートのあとに乾杯

午前、plusの会議。その後、打ち合わせを兼ねて部の人たちとランチ。
夜、上司が行けなくなったチケットを譲り受け、ジャクソン・ブラウンのコンサートへ。「Stay」や「Take it easy」、数々の名曲を生で聴けて感激する。それに、ファンたちの待ちに待ったという熱気のなか、ひとりひとりが自分の青春を思い返しながら聴いてるのだろうな、ということを想像すると胸が熱くなってしまう。これはクラシックにも、若いバンドにもない、長く活躍しているポップスターのコンサート特有の雰囲気のように思う。

ところで、コンサートが始まる前に、カタルーニャの自治権停止とのニュースを目にする。ずっと気になっているカタルーニャの独立問題。それは、カタルーニャ出身のチェロ奏者、パブロ・カザルスが国連本部で「カタルーニャの鳥たちは、ピース、ピースと鳴くのです」と言ったというエピソードが好きだから。あと、カタルーニャと聞くたびに、大学のときに知り合ったカタルーニャ出身の男の子が、「スペイン出身」ではなく、絶対に「カタルーニャ出身」だと言っていたのを、ただぼんやりと「なんでだろう?」と思っていた、歴史に疎く無知な自分のことを思い出すから。

10月20日
午前中、自宅でゲラ読み。ゲラにしろ、原稿にしろ、私は自宅がいちばん集中できる。そのあとデザイン事務所に寄って、会社へ。
今日幻冬舎plusでは、担当している西原珉さんの「青空と鬱とパームツリー」、矢吹透さん「美しい暮らし」が公開されている。これは原稿をいただいたときから早く読んでもらいたかった。
自分の想像力がまったく及んでいないのだということを噛みしめながら、ひりひりとした気持ちで読んだ、「青空と鬱とパームツリー」。そして、ラム餃子の美味しそうな写真のイメージで気楽に読み始めたら、衝撃の展開だった「美しい暮らし」。美しい恋人たちの背景をもっと知りたいと思うのは、下世話な好奇心だろうか。

夕方、渋谷でゲラのお渡し。
明日は、朝早い飛行機で大分へ出張。寝坊にだけは気をつけたい。


幻冬舎plus 竹村優子

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