JJ(熟女)が集まると、必ず金の話になる。

41歳といえば初老ゾーンに突入して、リアルに老後を考えるお年頃。
老後に必要なのは「ヒトとカネ」だと言われるが、金がないと友達とごはんにも行けない。そして友達とごはんに行かなくても死なないが、明日食う米がないと死ぬ。
そこで「やっぱ最後は金だな」「老後資金はいくら必要か?」という話になる。

老後に必要な金は3千万とか5千万とか言われるが、問題は人によって寿命がバラバラという点だ。65歳で死ぬなら貯金はさほどいらないかもしれないが、115歳まで生きてしまう可能性もある。

マラソンだってゴールまで何キロかわかっているからペース配分ができるわけで、「何キロかは教えないが、とりあえず走れ」なんて神も無茶ぶりすぎるだろう。国会で安楽死法案が可決されて「私は72歳でフィニッシュします」など、自分でゴールを設定できるようにしてほしい。

だが保守的なこの国で安楽死が解禁されるとは考えづらい。となるとやはり、老後のために金を貯めるしかない。金を貯めるには、収入を増やすか支出を減らすしかない。
と頭ではわかっているが、JJ仲間に「投資とか節約とかやってる?」と聞くと「特に何もやってない」という答えが返ってくる。

 

 

というのも、JJは「見た目は老化、頭脳は若者」という逆コナンくんが多いのだ。子どもの運動会で転んでケガするお父さんと同じで、若い頃のままの感覚で生きているため、「金を貯めないとケガするぞ」と脅されても、いまいちピンとこない。
それに投資や節約に成功するのは、もともと投資や節約が趣味の人であって、興味のない人がやっても失敗するか長続きしないものだ。

以上、できない理由を並べて老後は野垂れ死ぬぞ!路上生活者に、俺はなる!と威風堂々宣言できればいいが、そこまでの覚悟もない。リッチで優雅な老後を送りたいとか、ブランデーグラス片手に摩天楼から下界を見下ろしたいとか思ってないが、ホームはレスせずに生きていきたい。

そのために何ができるか?と考えて「薫尼(くんに)を真剣に目指すべきか」と思い至った。

前回のコラムで「老後は男子禁制の尼寺シェアハウスで暮らして、薫尼と名乗りたい」と書いた。
リアル薫尼になれば、大幅な節約が可能だ。まず剃髪することによって、髪にかかるコストを削減できる。JJは白髪が増えたり髪が痩せたり、メンテナンスに金がかかるお年頃。そもそも髪がなければ、美容院代やヘアケア代がゼロになる。

それに尼僧がフルメイクだとAV感が強すぎるし、すっぴんの方がしっくりくる。
素肌に胡麻油でも塗って光らせれば後光感を演出できるし、胡麻の香りにつられて虫が寄ってくれば、生き物を引き寄せるブッダ感も演出できる。これでメイクやスキンケア代も浮いた。
さらに服も僧衣一着ですむため、衣料費もカットできる。着古したボロボロの僧衣の方が徳も高そうだし、街を歩いていたらミルク粥とかもらえそうだ。

そのうえ、外野の騒音もカットできる。「いくつになっても女を捨てるな」「若々しくキレイであれ」とやかましい連中を「つか俗世捨ててるんで☆」と錫杖(しゃくじょう)でしばきまくるのも一興だろう。

そんな想像をしていると、すぐにでも出家したくなってきた。とはいえ本物の尼さんはAKB以上に戒律が厳しそうなので、ファッションやスタイルだけ尼さんの丘尼(おかあま)を目指したい。響きがオカマに似すぎているが、JJとオカマは親和性が高いのでオッケーだ。

老後には金も必要だが、生きがいとなる趣味も必要だと言われる。たしかにTVでおばあさんのチアリーディングチームとか見ると、イキイキと終末をエンジョイしている。だが20歳でチアリーダーを目指さなかった人間が70歳で目指すとは思えない。

私はこれといってハマる趣味がない。ゆえに趣味にドハマりしているオタク女子が羨ましいが、彼女らは「オタ活に金がかかるため、貯金ができない」と口をそろえる。

前回登場したドルオタ女子は「オタク女の本尊へのお布施は、年をとるほどに“本人に課金したい欲”が強くなるんですよ。接触イベントでは握手するよりも万札を渡したいです」と語っていた。
続けて「元KAT-TUNの赤西くんのファンは、赤西くんの自宅の公共料金の払込票を郵便受けから盗んで払ってくれてたそうです」と言っていたが、本当だったら犯罪じゃないか。そんな彼女自身も「私も推しの水道代や光熱費を払いたい…!!!」とシャウトしていた。

私もゴールデンカムイの谷垣ニシパは好きだが、谷垣ニシパの水道代や光熱費を払いたいとは思わない。オタク女子の推しへの愛情の深さには、萌えや性欲を越えて母性を感じる。

ドルオタの彼女は「推しが結婚したらファンをやめる子もいますが、私はむしろ賢くてしっかり者のお嫁さんに来てほしいです」と完全に母親目線だった。
そのうえ「推しが結婚して子どもが生まれたら、その養育費の一部は自分のお布施で成り立ってるし、もはや孫では?推しのDNAを未来につなげるなんて最高では?と感動して、ますます課金しがいがあります」と語っていた。

老後も孫の成長を楽しみにできるなら、貯金などなくてかまわないだろう。と言いたいところだが、普通にかまうだろう。推しは家賃も葬式代も出してくれない。そこで彼女も言っていたのが「老後は女友達とオタクシェアハウスに住みたい」。
そう、ひとりひとりの力(主に経済力)は弱くとも、みんなで集まれば何とかなる!!…ような気がする。

私もJJ仲間と「みんなでお金を出し合って共同生活して、最後に生き残った1人が残金をもらって介護施設に入ろう」と超ざっくり計画を立てている。メンバーの中には会計士もいるので、細かい計算は彼女がやってくれるだろう(丸投げ)

尼寺シェアハウスで暮らせば、少なくとも独居老人腐乱死体として行政の世話にならずにすむ。それに毎日BBA会でしゃべっていれば、ボケにくいんじゃないか。
BL研究家の金田淳子さんも「みんなで80歳になってもカップリングでケンカとかしながら楽しく暮らしたい」と話していた。腐女子は腐婆婆(ふばーば)から腐死鳥(ふしちょう)へと進化すると聞いたが、「腐死鳥シェアハウス」なんて響きもすごくカッコいい。

以前、ネットの記事で「老後に金のかからない趣味」として「老眼で読書がつらいならCDで聴こう」と「耳から読書」を勧めていた。好きな声優のBLCDをみんなで聴けば、BBA会が盛り上がること間違いなしだ。

その他、老後に金のかからない趣味として折り紙・手芸・将棋などが挙がっていたが、オススメ第一位は塗り絵だった。
塗り絵はカラーセラピー効果もあると言われて、大人の塗り絵本も流行っている。その記事には「塗り絵自体も手作りして、友達に配ったら喜ばれそうですね」と書いていたが、それは捨てるに捨てられないやつだろう。

というわけで、次回のJJ会は塗り絵をすることに決まった。ついに私も塗り絵沼にハマるかもしれないが、色鉛筆代ぐらいしかかからないので、きわめて安全な沼だと言える。

塗り絵が楽しかったら、今度は仏を彫ってみたい。フェリシモから「わたしの秘仏 仏像彫刻入門」シリーズが出ており、地蔵菩薩→薬師如来→白衣観音とステップアップしていくコースらしい。
「家に仏がどんどんたまっていきそう」「友達にプレゼントしたら困惑されそうだし、捨てたら縁起が悪すぎるよね」とJJたちで話し合ったが、薫尼を目指す者としてはトライすべきだろう。
図工の時間、版画を彫りながら彫刻刀で指をぶっ刺す生徒がいたが、JJは目がかすみがちなお年頃。秘仏を鮮血で染めないように注意したいと思う。

若い頃は、自分が仏像彫刻に興味をもつとは思わなかった。やはり自身もホトケ(遺体)に近づいているからか。

20代は「友達の結婚式にどんな服を着ていくか」で盛り上がったが、40代は「親せきの葬式にどんな喪服を着ていくか」で盛り上がる。喪服の出番が多くなる、もJJあるあるだ。

アパレル業界で働く友人は「必要に迫られて定価で買うと高いから、百貨店のセールの時に買うのがオススメ」「何度も買い替えるものでもないし、ババアになっても着られるシンプルなデザイン、かつ太った時のためにゆったりめを選ぶべし」とアドバイスしていたので、若いお嬢さんは参考にしてほしい。

映画『おくりびと』を観た時も、ストーリーに感動するより「棺桶にもいろんなランクがあるんだな」と実用面に注目した。祖父が93歳で亡くなった際は、葬儀場のBGMで『TSUNAMI』が流れて「なんでサザンやねん、ジジイ殿は聞いたこともないだろう」と思い、BGMは事前に決めておくべきだと思った。

ちなみに祖父は若い頃ギャンブラーだったのだが、デイケア施設のゲームで「一等になった」と誇らしげに語っていたので、やはり三つ子の魂百までだ。
私も女子校育ちで女だけの空間が快適なので、尼寺シェアハウス暮らしが合っていると思う。そしてもし可能であれば、老後はババア向けのオンラインサロンをしたい。

読者の方から「中学の時から読んでいて、今は社会人として働いてます」といったメールをいただく。私も読者もいっしょに加齢していくわけで、ババアになった暁にはみんなでチャットしたりオフ会を開いたりしたら楽しそうだ。ババアオフ会で塗り絵や仏像彫刻をするのもいいだろう。

そんな老後の夢を叶えるためにも、なるべく健康でいたい。そして健康でいるためには、金が要る。人間ドックを受けたり定期検診に通ったり、そのうちインプラントとかも必要になるだろうし「衣料費より医療費がかかる」もJJあるあるだ。

私がツイッターに「ご報告」とツルッパゲの写真をUPしたら「いよいよ老後資金を貯める気になったんだな」と思ってほしい。

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