「インターネットで一番数字を持っているライター」と呼ばれるヨッピーさん初の本『明日クビになっても大丈夫!』が発売になりました。爆笑しつつも大共感、そして仕事について改めて考え直すきっかけとなる本書の試し読みを少しずつ掲載していきます。第五回は、フリーランスが陥りがちな「稼げずの谷」をどうサバイバルするか、その戦略を説いています。

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サラリーマンを辞め、「さあ、好きな事で稼ぐぞ!」と意気込んだ人がまず最初に、そして必ず通るのが「稼げずの谷」である。サラリーマンを辞めた、好きな事で食おう、それはいいのだけど、最初から順調に稼げる事なんてまずないだろう。働いても働いても単価は上がらず、サラリーマン時代の貯金も徐々に減っていく。趣味のキャバクラも週に1回から月に1回に減る。スーパーの安売りの時間にやたらと詳しくなる。この「谷」は起業した誰もが通る道なのだ。期間の長い短いはあるにしろ、全員、必ず通る、と言ってもいいかもしれない。

 例えば僕がサラリーマンを辞めてすぐの頃の、ライターとしての月収は4万円である。4万円て。高校生のバイト代かよ。ちなみにサラリーマン時代の年収は600万円くらいはあったので、単純計算で収入が12分の1に激減した計算になる。これが要するに「稼げずの谷」である。僕の場合は割とすぐに収入が増えて脱出出来たけど、多くの人はこの「稼げずの谷」を乗り越えられず、貯金が減り、自信もなくなって、結局は元のサラリーマンに戻ったりする。ブランクがあるせいで以前より待遇の悪い会社に入り、ひょっとしたら以前のサラリーマンのままの方が収入も高かったかもしれない。

 だからこそリスクを避けるためにも、まずは副業という形で趣味を発展させる事を考えるべきだ。僕が稼げずの谷を割とあっさり越えられたのも、サラリーマンをしながらオモコロでライターとして活動していた実績があったから、というのがものすごく大きい。あれがもし、ライターとしてなんの実績もないまま、スパーンと会社を辞めてしまっていたらたぶん今頃は「貧乏YouTuber」みたいな感じでモヤシ炒めの実況動画なんぞを作ってたかもしれない。再生回数は20だ。

「生活の安定」と「自己実現」を両立させる事が「趣味で生きる事」の成功例だと言えるけど、多くの場合、最初からそう上手くいくものではない。なのでサラリーマンとしての収入で「生活の安定」を維持し、もう一方の趣味で「自己実現」を追求すればいい。僕が営業マンとライターという二足のわらじを履いていたように。そうすればやっている内に「やっていけそうか、ダメそうか」「自分が向いてるか、向いてないか」くらいはわかってくると思う。

 例えば漫画家になりたい人がいたとして、「サラリーマンやりながら漫画なんて描けない」なんて言うかもしれないけど、そういう人は最初から漫画家という仕事が向いてないのかもしれない。何故なら、僕の周囲にいる漫画家として成功している人達は、本業の漫画を描く息抜きとして全然関係ない4コマ漫画を描いたりしてるような、暇さえあれば漫画ばっかり描いてる連中だからだ。人間性としては終わってる人間も多いのだけど、でもそうじゃなきゃ漫画家になんてなれないのかもしれない。自分でも一度、漫画を描きながらサラリーマンをする、みたいな生活をやってみて、その上でそういう連中と戦えそうだな、と思うなら続ければいいし、ダメそうなら方向転換すればいい。会社を辞めてない限りは軌道修正をかける事は全然難しくないしどうにでもなるだろう。

「会社を辞めて、本気で取り組まないと専業には勝てない」みたいな事を言う人もいるけど、あんなのは完全にウソっぱちなので無視しておけばいいと思う。当時サラリーマンで副業としてインターネットで記事を書いていた僕より、インターネットでウケていたプロのライターが何人いるのか、という話である。もちろん貴方にとって「これこそが一生の仕事だ!」と思える事に出会い、「そこで絶対勝ってやる!」くらいに思えるようになれば仕事を辞めてそっちに専念すればいいし、そうじゃないとなかなか競争に勝てないと思う。でも、まだやってもない、自分が向いているかどうかもわからないようなものにサラリーマンを辞めて飛び込むのはリスクが高すぎる。

 友人で、今や売れっ子漫画家になって、フォロワー数80万人を超える鴻こうの池いけ剛つよしくんも、元々は一介のサラリーマンで仕事の合間にTwitterに漫画をアップしていたのが何万とリツイートされ爆発的に人気になった。言わば本業の片手間で売れた、とも言える。なんでも単行本はあっという間に50万部売れたらしい。ちなみに鴻池剛くんはなかなかヘビーな環境で生まれ育っていて、ホームレスになって新宿を徘徊するような生活をした経験がある人間なのだけど、単行本が売れまくり、キャラクターグッズなんぞもあちこちで売り出されているので、収入はえげつない事になっているはずである。今、一冊の漫画で50万部売れる漫画家、関連グッズまでゴリゴリ売れちゃう作家、なんて専業にだってなかなかいないだろう。もちろん本人はものすごく努力をしているんだけど。鴻池剛くんのケースを見ても、会社を辞める、なんていう多大なリスクを背負う必要なんてないのだ。

 飲食店がやりたいなら土日を使ってバイトで潜り込んでみればいいし、農家をやりつつ自給自足生活がしたいならとりあえず会社勤めをしながらギリギリ通える田舎に引っ越すなり、週末農家なりを体験すればいいのだ。会社を辞めるなんて大きなリスクを取らずに、まずは副業からスタートするレベルで全然構わない。

「そうは言っても、会社には副業禁止規定があるし……」なんて人もいるかもしれないけど、ぶっちゃけそんなものは無視して隠れてこそこそやればいいのだ。本業とバッティングするような分野ならマズいけれども、ブログで稼ぐとかネットオークションで稼ぐとかイベントで収益をあげるとか、それくらいのものならあまり派手にやらない限りは会社だってゴチャゴチャ言わないはずだし、そもそもこの「副業」については国の政策として後押ししようみたいな雰囲気もあるのでその辺のしがらみは今後解消される方向に向かっていくはずである。会社が自分達を守ってくれない時代になっているのだから、いつまでも会社に対して忠誠を誓うのはバカの所業である。

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ヨッピー『明日クビになっても大丈夫!』

「現役の千葉市長とゲーム対決をする」「AV女優と童貞を合コンさせる」「24時間テレビの100kmマラソンが本当に大変なのか試す」「大阪でひたすらたこ焼きを食べる」などの面白記事をネットで発信し続けているWEBライター・ヨッピー。

好き放題しながら楽しく稼いでいる彼による、
会社に寄りかからずに生き延びる方法。