『AV女優消滅』で「男性視聴者の欲望」が出演強要につながったことを指摘した、中村淳彦さん。鈴木涼美さんがこれまで出会ってきたおじさんたちを描いた『おじさんメモリアル』もまた、「男の欲望」がテーマでした。前編に続き、体を売って稼ぐことについて語りあいます。
(構成:アケミン 撮影:菊岡俊子)

おじさんの悲哀を昇華させたかった

中村 『おじさんメモリアル』読みました。あまりに傑作なので驚いた。傑作すぎて友達の作家とか、インテリ風俗嬢に電話して、「あれはガチの名著(作家談)」だとか「涼美さんはモンスター、真似できない(風俗嬢談)」とか、そんな話をしまくった。文章の技術が優れているのはもちろんだけど、おじさんを観察する視点が斬新。でも男にとってはキツいね。「おじさんメモリアル」の中には入りたくないし、こうやって話をするのも恐い。

鈴木 中村さんだったら、一つのジャンルがつくれますよ。「絶望しがちな中村系おじさん」みたいな(笑)。

中村 そもそも鈴木涼美が相手にする男って上流階級でしょう? 官僚とか日経新聞社員とか、チャラいマスコミ男とか。社会と女性から排除される中年童貞の悲哀は自分でも本に書いたけど、上流階級まであれだと男は全滅じゃん。

鈴木 そんなことないですよ〜。ただ、キャバクラ時代のお客さんや高級風俗嬢たちの話に出てくるのは、必然的に社会的強者のおじさんたちが多かったですね。

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