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2017.10.12

「小池劇場」が「小泉劇場」と異なる、3つの理由

有本 香

「小池劇場」が「小泉劇場」と異なる、3つの理由

当初から小池批判を繰り広げてきたジャーナリスト、有本香氏の著書『「小池劇場」が日本を滅ぼす』が示した“パフォーマンスの女王”小池百合子の正体とは。

 

ないない尽くしの小池ファースト劇場

「小池劇場」とは何なのか? と問われたら、その中身は空っぽ、何もない、と答えるほかはない。記憶にあるのは、いくつもの風評と騒がしさだけだ。10カ月に及ぶ、無為無策のその結果、東京都政は混迷、遅滞し、多額の損害を発生させている。そればかりか、開催を3年後に控えている東京五輪・パラリンピック(以下、東京五輪)も、招致の際に国際公約したとおりの開催は難しい状況に陥ってしまった。

 マイナスはカネやモノの面だけではない。築地市場内の人々をはじめとする都民を分断し、多くの人を「罪人」扱いしてその心身を傷つけ、困惑と不安のなかに落とした。

 就任から半年以上、テレビでその顔を見ない日はなかった小池百合子氏(以下、敬称略)が、東京都知事となって何を成したのか、思い出そうにも何一つ浮かんでこない。そもそも何をしたいのかさえ見えてこない。

 過去、国政に「小泉劇場」、大阪の地方行政には「橋下劇場」と評された現象があった。だが、これら2つの劇場と、今日、東京に起きている小池劇場は、根本から異なる現象だ。それは、つぎの3点の「ないない尽くし」に明らかである。

 まず、小泉純一郎氏(以下、敬称略)、橋下徹氏(以下、敬称略)の「劇場」には、賛否は別として、はっきりとした「演目=実現したい政策」があった。小泉のそれは「郵政民営化」に代表される構造改革であり、橋下には「大阪都構想」と銘打った大阪の再編という大命題があった。

 しかし小池の劇場にはこれといった演目が「ない」。強いて挙げれば、小池本人が言った「黒い頭のネズミ捜し」であろうか。つまり、前任者や政敵の「吊るし上げ」劇だが、数カ月間もメディアとともに大騒ぎしたわりには、罪人は一人も見つかっていない。

 つぎの「ない」は、正規の手続きがないことだ。小泉、橋下は「既得権益をぶっ壊す」ことを訴えて喝采(かつさい)を浴びてはいたが、日本の民主主義のシステムをぶっ壊すことはけっしてなかった。当然ながら、2人は行政の長として手続きをきちんと踏んで物事を決め、執行した。小泉の「破壊劇」の後ろには財務省のエリート官僚集団が付いていたし、橋下は法律家だ。そのあたりに抜かりはない。

 ところが、小池は違った。就任早々の平成28年8月末、2カ月先に迫っていた築地から豊洲への市場の移転という大事業をまさに「鶴の一声」で、議会に諮ることもなく延期すると独断したのである。女性初の都知事ということもあり、就任時には大いに期待した小池百合子という政治家に対し、私が決定的な不信感を抱いたのはこのときからだった。

 小池は、都知事選挙の最中から最近まで、「都政はブラックボックス。いつ、どこで、誰が何を決めているかわからない」と繰り返し言っている。だが、これはおかしい。私たち市井の一都民でも、都庁の公開資料や都議会の議事録はかなりのところまで閲覧でき、都政のさまざまな事柄が、いつ、どの場で、誰によって決められたかはほぼわかる。最高権力者の都知事ともなれば、一般に非公開の資料も閲覧可能だから、誰が決めたかわからないはずはない。

 一方、都政史上、きわめて異例なことだが、小池は、20年近くかけて進められてきた卸売市場移転という大事業を、一人で「延期する」と決めたのだ。彼女流に言えば、「私が決めた。わかりやすいでしょ」ということだろうが、ならば、これにより生じた巨額の損害は小池一人が負うべきである。

 もう一つ、小池劇場の「ない」は、ファクト(事実)に基づくロジック(論理)がないことだ。最近の小池の記者会見では、まさに「言語明瞭、意味不明(流暢(りゆうちよう)に喋るが、論理はめちゃくちゃ)」な場面がたびたび見られる。

 2月末、現在の築地市場の安全性を問われた際に、「コンクリートとアスファルトでカバーされており、法令上も問題がない(から安全)」と答え、それなら同じく被覆されている豊洲も安全ではないか、と問い返されると、「地上と地下を分けるという考え方は、消費者が合理的に考えてくれるかクエスチョンマークだ」と支離滅裂な答えを返し、数日後、「豊洲は安全だが安心がない。築地は安心もある」との珍回答をした。これについて、橋下は堪(たま)りかねたように、「小池さんの態度は知事として失格」と自身のツイッターで斬って捨てていた。

 結論から先に言うと、小池とマスメディアがさんざん難癖をつけた豊洲市場の安全性には何ら問題はなく、五輪施設も含め工事の入札等での不正は今のところ一つも見つかっていない。くわしくは本書を読んでいただきたいが、これらのことは、都庁内の検証、議会での答弁ですでに明らかになっている。

 にもかかわらず、「都政の透明化」を自身の看板に掲げる小池が、こうした自分にとって都合の悪い事実は公表しない、したがらない。とんでもない二重基準。ご都合主義の自分ファーストではないか。

 ビジョン・政策がなく、正当な手続きがなく、ファクトに基づくロジックがない。ないない尽くしで、ただ騒がしく他人を叩くだけのワイドショー政治。これは、けっして東京ローカルの問題でも、単なる権力闘争の一幕でもない。日本がゆっくりと自壊の道を進んでいく、その恐るべき一幕ではないか。

 本書は、小池個人や政界ゴシップを書き連ねることを主旨としていない。半年以上にわたって日本を席捲した「小池劇場」なる現象を検証することで、今の日本に巣食う病理を明らかにしようという試みである。

 ※この続きはぜひ『「小池劇場」が日本を滅ぼす』をお読みください。

<次回は10月15日更新です>

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