2017年7月18日、日野原重明さんが105歳という年齢でこの世を去られたことは、みなさんの記憶に新しいと思います。

2016年年末から始まったインタビューでは、「読んでくれる一人一人と対話しているような本にしたい」という日野原さんの希望を受けて、様々な質問に答えていただく形で進んでいきました。
「これが私の最後の使命です」とおっしゃりながら、時にはベッドで横たわりながらも、
深く優しく強い言葉をつむがれていた日野原さん。

105歳という長い人生を生ききった日野原重明さんが、死の直前まで私たちに伝え続けたメッセージとはなんだったのか。
9月28日に発売する『生きていくあなたへ  105歳 どうしても遺したかった言葉』より、その対話の一部を紹介させていただきます。

 

質問「人工知能をはじめ、医療の分野では様々な機械化の波が来ています。
 危惧する声も一方にありますが、先生はどうお考えですか?」

本当に医学の発達は著しくて、僕が若い頃からしたら考えられないようなことが日々起きていますね。「人間の医者はいらなくなるのではないか」と心配したり、否定したりする人もいますが、僕は技術がどんどん発展していくということは、とっても素晴らしいことだと思っています。

たとえば、技術の進歩によって、これまで見えなかったことが見えるようになる。
このままいくと、もしかしたら人の心の動きも目に見えるようになるかもしれない。そんなことを想像するととってもわくわくするし、ぜひ自分の目でそのような発展を見届けたいという思いがわいてきます。
今このようにあなたと対話しているときにも、互いの心の中がスクリーンにうつしだされるような未来が来るかもしれません。可能性は無限大です。

ただ、どんな未来が来ようとも、医療従事者にとって、最も大切なことは変わりません。

それは患者さんを自分の家族だと思って接するということです。
治療をするときはいつも、「もしこの人が自分の家族だったらどうするかな」と考えながら行動してほしい。僕は医者や看護師だけではなく、事務方やボランティアの人達も含めて、医療に携わる全員にそのことを呼びかけ続けています。

愛情にもとづいた人間の行動こそが問われる。
機械化が進めば進むほど、これからはますます愛を大切にする時代になってくるでしょう。

この記事をシェア
この連載のすべての記事を見る

★がついた記事は無料会員限定

日野原重明『生きていくあなたへ 105歳 どうしても遺したかった言葉』

「人間は弱い。死ぬのは僕もこわいです。」105歳の医師、日野原重明氏が、死の直前まで語った、希望と感謝の対話20時間越。最後の力を振り絞り伝えたかった言葉とは。生涯現役、渾身最期の一冊。