北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第47回は、山口の「名低山」与那覇岳、於茂登岳から、「与那覇岳」を。

与那覇岳 yonahadake 国頭村 503m

静かな森の植生楽しむ
国立公園やんばるの山

沖縄県の最高峰は、石垣島の於茂登岳(526メートル)で、それに続くのが沖縄本島最高峰のこの山だ。沖縄本島では北部地域を「やんばる(山原)」と呼び、300~400メートルの山々が連なる。絶滅が危惧される国の天然記念物ヤンバルクイナの生息地であり、国立公園に指定されたばかり。与那覇岳は、そのやんばるにある。

高い山のない沖縄では、イタジイをはじめとする樹林が魅力で、静かな森の植生を楽しむと良い。登山の後には、沖縄らしい海の魅力も味わえる。マリンレジャー、琉球文化探訪や海鮮、琉球料理等の楽しみも多い。

やんばるの山々では、レンタカーや観光タクシーを利用するのが便利だ。与那覇岳もこの例にもれない。名護市から国道58号を東シナ海沿いに北上し、マリンリゾートで有名な奥間ビーチへの信号を右折。国頭村森林公園への看板に導かれながら、奥間の集落から一段丘に上がり、森林公園への道を分けて進む。所々に看板もあり、舗装の林道を与那覇岳登山道入り口まで迷わず行けるだろう。途中、農耕車が多いので注意したい。

大国林道との丁字路を右に曲がった所に、駐車場とトイレがあり、その先が登山道入り口だ。原生林に走る古い林道を30分ほど歩くと、林道の分岐があり、これを右に折れる。すぐにシリケンイモリの生息する水たまりがある。ここから赤い粘土質の道を登り、10分位で小さな広場に着く。ここには与那覇岳への道標と企業の自然保護協力記念碑がある。

広場の南側のロープが張られた急登を一段登ると細い登山道となる。植生には琉球竹も多い。倒木をまたいだり、くぐったりして、稜りよう線せん上のアップダウンを繰り返すと503メートルの最高点と思われる所に着く。ここでは左右に踏み跡があるので気を付けよう。一段下り急な斜面を登り返すと498メートルの山頂だ。1等三角点と標識があるが眺望はない。

帰路は、同じ道を引き返す。夕暮れ時や霧の時は迷いやすいので慎重に。地図やコンパスが読めない人は、経験者やガイドに同行してもらおう。
(日本山岳ガイド協会理事長 磯野剛太)

ガイドの目
沖縄には他にも登りやすい山々がある。与那覇岳の前後に登るなら名護市の嘉津宇岳だけ(452メートル)がお勧めだ。東シナ海とやんばるの山々を望む360度の大展望が楽しめる。駐車場から往復1時間程度で行けるが、石灰岩の岩が多く、ぬれると滑るから気を付けよう。中腹にあるシークワーサーの果樹園のジュースもおいしい。
雨が少なく気温も下がる10月から3月までが登山の適期だろう。夜は寒いこともあるので、防寒具を忘れてはならない。またハブが生息するので、念のため毒吸引器と手袋を用意し、長袖、長ズボンで登ろう。

参考タイム
登山道入り口(40分)−小さな広場(40分)−山頂(1時間)−
登山道入り口

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