北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第43回は、熊本の「名低山」俵山、次郎丸岳から、「俵山」を。

俵山 tawarayama 西原村 1095m

阿蘇の大展望、足元彩る花
外輪山きっての人気の山

2015年9月に阿蘇山の中岳が噴火し、阿蘇五ご岳がくは一部を除き登山禁止となった。だが、阿蘇は五岳だけではない。阿蘇を「世界の阿蘇」にしているのは周囲約128キロ、東西18キロ、南北25キロの世界有数のカルデラ、阿蘇外輪山だ。その中に阿蘇五岳があり、数万人が暮らす。そんな阿蘇の姿を一目で見渡せるのが南外輪山の一角を占めるこの山である。外輪山の中でも、展望、野の花の多さ、バラエティーに富んだコースから登山者の数が抜きんでている。その姿は山腹に立つ発電用風車とともに熊本平野からも目立つ。

登山コースは山頂に一番近い俵山峠からと、熊本平野側の麓にある揺ゆるケぎが池いけからに利用者が多い。小さな子どもを連れたファミリーハイクから、一日かけてしっかり歩きたい登山者まで対応できるコースの多様さも人気の一因だ。今回は俵山峠から登り、揺ケ池に下る。俵山峠までは、熊本市内からバスで揺ケ池へ行き、そこからタクシーで向かう。

標高約710メートルの俵山峠展望台で阿蘇五岳、南郷谷、南外輪山の大パノラマを堪能し登山開始。その上の展望台を経て俵山山頂手前にある護王峠分岐までは主に黒土の道で急登と平たんを繰り返す。左手は阿蘇の大展望、足元に花々が咲き、疲れを感じさせない東外輪壁の標高差約100メートルの急登を登り切った分岐を西へ。数分で山頂だ。

展望は抜群。東は阿蘇五岳と祖母山系、その左奥にはくじゅう連山、南には九州脊梁山地の山々、西には熊本平野、さらに遠く雲仙や天草まで見渡せる。

揺ケ池へは二つの下山コースがある。山頂から北へススキの中を進み、928メートル、612メートルピークを経て日の丸公園へ下るコース。雲仙や熊本市の展望に恵まれるこちらをお勧めしたい。もう一つは西へ進み、小森牧野を通って下るコース。どちらも2時間半ほどの行程だ。

揺ケ池コースの登山口でもある俵山交流館「萌もえの里さと」には登山者のみならず、南阿蘇の自然を求めて多くの人々が訪れる。秋には隣接するコスモス園が美しい。
(日本山岳ガイド協会正会員 原田重臣)

ガイドの目
コース上にトイレ、水場はない。トイレは俵山峠で済ませておき、水もコースに合った十分な量を持参しよう。雨天時、雨上がり後の登山道は滑りやすく注意が必要。
マイカーなら俵山峠からの往復、または揺ケ池からの往復の手もある。揺ケ池から登る際は、隣接する俵山交流館「萌の里」でガイドマップを入手したい。お弁当があり、ミルクたっぷりのソフトクリームも人気だ。
阿蘇は温泉の宝庫。古くからある地獄温泉、垂玉温泉をはじめ南郷谷の温泉巡りも楽しみ。

参考タイム
俵山峠(20分)−展望台(1時間20分)−護王峠分岐(5分)−俵山山頂(40分)−928メートル地点(1時間)−612メートル地点(50分)−揺ケ池

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