北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第42回は、長崎の「名低山」白嶽、普賢岳、八郎岳から、「白嶽」を。

白嶽 shiratake 対馬市 518m

国境の島の象徴
神秘的雰囲気味わう

対馬は九州から130キロ余り、お隣韓国から約50キロに位置する国境の島だ。白い石英斑岩の、この双耳峰は、はるか海からも望め、その山容から信仰の対象でもあり、対馬の象徴と言える。

対馬へは、福岡、長崎、釜山からの船便と、福岡、長崎からの空路がある。対馬の魅力は、海、山と島々の自然美とともに、大陸との交流の中継点としての古い文化遺産にある。食も海鮮を中心に美味だ。

白嶽の一般登山コースは山麓の洲す藻も からがよい。路線バスでも行けるが、乗り換えの便が悪く、考えものだ。島ではレンタカーがポピュラーなので、借りるかタクシーが時間節約に便利。対馬空港や厳いず原はら港から車で約30分。白嶽神社を左に見て、立派なトイレがある白嶽登山者用駐車場へ至る。車でさらに15 分で登山口に達する。

登山口にはきれいな滝があり、社もある。ここより谷沿いに傾斜の緩い植林帯を約30分登ると植物説明看板があり、前嶽からの尾根が張り出し、大岩が累々とする照葉樹林帯に入る。急傾斜をひと登りすると、白嶽神社の鳥居があり、上見坂方面への登山道を分ける。

登山道は一気に傾斜を増し、祓戸神社を越え、シイの木や樫の木に張り巡らせたロープを頼りに、浮石に気をつけて登ると山頂下の広場だ。石灯籠やこま犬がある。また、ここから右に行くと岩のテラスに出る。さらに巨岩の間の岩場をロープ伝いに50メートル程登ると、雄嶽と雌嶽の間のコルに達する。コルを越し反対側に5メートルほど下り、左へ上がる。高度感のある稜りよ線うせんに出て、さらに岩場を数メートルよじ登ると518メートルの雄嶽山頂だ。子ども連れや岩場に慣れない人は慎重に通過しよう。

山頂は畳10畳程度の広さだが、晴れていれば360度の大展望が得られる。風が強いときが多いので、帽子や持ち物を飛ばされないよう注意しよう。

下山は、頂上直下の岩場と白嶽神社の鳥居までの浮石に注意すれば特に難しいことはない。眺めてよし、登ってもよし、神秘的な雰囲気が味わえる魅力的な山だ。
(日本山岳ガイド協会理事長 磯野剛太)

ガイドの目
対馬には他にも登りやすい山があるが、白嶽こそ秀麗第一に挙げられる。登山口までマイカー、レンタカーやタクシーを利用すれば、半日登山である。しかし山容は急きゆう峻しゆんで特に、岩場の部分では慎重に行動しよう。
上見坂方面からの登山道は、2015年時点では、入り口が倒木等で分かりづらいようだ。花は3月のヤマザクラ、4月のツツジ、5月〜6月にヒトツバタゴやヤマボウシ、夏のキスゲ、秋のキク科と豊かだ。
ツシマヤマネコの標識は、道路上でよく見るが、まず遭えない。日帰り温泉は2カ所ある。山の帰りにちょうど良い。

参考タイム
登山口(40分)−白嶽神社鳥居(40分)−山頂(1時間10分)−登山口

 

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