北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第41回は、佐賀の「名低山」天山、黒髪山から、「天山」を。

天山 tenzan 小城市、多久市、唐津市、佐賀市 1046m

秋の草花咲き乱れる
佐賀県民、故郷の山

佐賀平野のどこからでも見ることができる。佐賀の人々は四季折々、朝夕にその姿を眺めて暮らす、県民のふるさとの山でもある。

この山の南西に雨山があり、この「あめやま」が天山となったと言われている。南の小城市側の8合目には水の神様を祭る天山神社上宮があり、里の信仰を集めている。今ではこの直下まで車道が通じ、こちらから登れば約1時間で山頂に立つことができる。

山頂付近は樹木がなく、草花とササが茂る広々とした草原となっている。そのため360度のパノラマを楽しむことができ、特に南側には佐賀平野と有明海が見渡せる。山頂草原では四季の草花が楽しめ、晩夏から秋にかけては、マツムシソウやトリカブトなどのさまざまな草花が咲き乱れる。花を目当てに多くの人が登る人気の山である。

登山は、天山と東の彦岳(845メートル)の間のコル、標高690メートル弱の石体越、別名七曲峠から、尾根沿いを西に縦走して山頂を目指す。峠まではマイカー利用、北側に少し下ると道幅が広がり駐車可能だ。JR小城駅からタクシーを使ってもよい。約30分かかる。石体越から山頂まで標高差は350メートルほどしかない。最初は樹林帯だが、標高800メートルを超す辺りから次第に草原となる。視界のいい尾根道なので景色や途中咲いている多彩な草花を楽しみながら、頂上を目指そう。岩場や、やせ尾根などの危険な箇所がなく、初心者でも安心して登れる。またこのコースは九州自然歩道となっており、識もしっかりしている。

山頂でゆっくりお昼を楽しんだら、雨山(996メートル)へ足を延ばして、天山神社上宮のトイレのある駐車場に下ろう。もし車が2台あればそれぞれに駐車して縦走を楽しむといい。

健脚の向きは、石体越から天山と彦岳をそれぞれ往復すれば満喫できるだろう。

北側には人工降雪機利用だが、スキー場があり、多雪時期には天山山頂付近で膝上まで積もることがたびたびある。九州の山だからと甘く見ると、冬は痛い目に遭う。
(日本山岳ガイド協会正会員 岩田達也)

ガイドの目
山頂は広々としており、霧に包まれると下山道を見つけにくい。前もって情報収集して地図とコンパスで確認してから下ろう。
天山山頂付近は佐賀県自然公園第3種特別指定区域で木々の伐採はできない。かつて足の踏み場もないほど咲いていたオキナグサが、今では絶滅して看板だけ残っている悲しい現状がある。これからも盗掘防止に登山者の協力を得て自然を守っていきたい。
ぬる湯で有名な古湯温泉が近くにある。日帰り入浴もできるので、疲れを取って帰ろう。

参考タイム
石体越(2時間30分)−山頂(45分)−雨山(45分)−8合目駐車場

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