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2017.09.09

第216回

夏の終わりのセンチメンタル"ナイトプール"

益田 ミリ

夏の終わりのセンチメンタル

 夜の区民プールへ。
 広々とした50メートルプール。その上には夏の夜空が広がっていた。
 今年は久しぶりに水着を新調した。久しぶりというのは15年ぶりくらい。一夏に一度も着ないこともあるし、全然、痛んではいないのだけれど、だからこそ、このままいけば、もう一生、水着を買い替えることがないのかもしれないと淋しくなり、違うものも着てみたくなったのである。
 水着売り場の若い女性店員に相談したところ、
「レース素材、結構、はやってます」
 と言われ、
「上下、別々に買うのもはやってます」
 と言われ、
「えー、全然、似合ってますよ?」
 という言葉もすべて信じて購入した水着である。
 さて、プールである。
 年々、プールへの入り方が「温泉」みたいになってきている。水をかけつつ、そろりそろり。そして、一旦、首までつかったあと、
「あぁ、いい気持ち」
 と、言ってしまうのだった。
 プールサイドにはビートバンが重ねてあって、無料で使うことができる。そのビートバンで新しい遊びを発見してしまった。発見したのはわたしである。
 まず、ビートバンをぎゅっと両手で沈める。
 そこに腰掛ける。
 足をそっとプールの底から離し、椅子に座ってるようにバランスをとるという遊び(遊び?)。
 これがなかなか難しい。しかし、慣れればぐらぐらせず、座ったままプールを漂うことができる。
「喫茶店でお茶してるみた~い」
 なんて言って、友人たちとプカプカ。
 親子連れはビーチボールで元気よく遊び、カップルは浮き輪で愛を語らい、本気で泳ぎたい人は、専用のレーンがあるので、そこでひたすら遠泳している。我々のグループはプールのど真ん中、ビートバンの椅子でカフェトーク。
 ミスチルの昔の曲が流れていた。
 塩素の匂いと、監視員の男の子たちの日焼けした顔。
 ややセンチメンタルな8月のおわり。
 提出しなければならない宿題はないはずなのに、やり残していることがあるような気持ちに。
 帰り道、レースの水着が思った以上に水を吸い、肩にかけたバッグが重たかった。

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