北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第39回は、高知の「名低山」梶ケ森、工石山から、「梶ケ森」を。

梶ケ森 kajigamori 大豊町 1400m

太平洋と四国名峰を一望
山腹に名瀑、霊場史跡も

梶ケ森は四国中央部、大豊町にあり、国道近くの豊楽寺薬師堂からは、ひときわ大きくどっしりした姿が望める。山頂に立つ電波塔が目印になる。

昔は弘法大師が修行した山として「加持ケ峰」とも呼ばれていた。1964年に県立自然公園に指定された。気軽に登れて高知県では最も知名度の高い山でもある。

登山口は7合目の「龍王の滝」駐車場から。登山口には公衆トイレもあり40台程駐車可能だ。10分程、渓谷沿いに進むと落差20メートル、日本の滝百選「龍王の滝」に到着。さらに定福寺奥の院には15分。これより先の登山道沿いに「七仏霊場」の史跡が点在している。山頂へは3コースあり、右の名勝めぐりコースの看板に従い進む。不動明王が鎮座する滝が「真名井の滝」だ。鉄のはしごを慎重に登ると立派なあずまやがある。

ここからブナと笹原の中を450メートル、約20分で天狗の鼻に着き、大日如来像が真正面に現れる。展望も素晴らしく、山頂の鉄塔が谷を隔てて迫って見える。少し下るとキャンプ場。快適バイオトイレが新設されている。

キャンプ場駐車場から急な階段を一直線にひと頑張りすると1等三角点、梶ケ森の山頂に到着。南に太平洋、足元に吉野川、さらに、石鎚、剣山など四国名峰を一望することができる。虚空蔵菩薩も迎えてくれる。

下山は車道を一度キャンプ場に下り、霊水~山荘梶ケ森~奥の院経由で帰ろう。下山時間に余裕があれば天文台横の細道を片道10分弱の「ふたりの丘」展望所に上ってみよう。ここからの眺望も捨てたものではない。

冬場以外なら天文台横の山荘梶ケ森に泊まるのも一興だ。満天の星、高知市の夜景、剣山方向から上る日の出と大自然を満喫できるだろう。

奥の院への下りは山荘裏の遊歩道を5分ほど、最初の分岐を右にとり山腹を巻く感じの笹原の道から林道に合流するコースが安全。奥の院は林道分岐から左方向に5分程で着く。そこから龍王の滝経由約20分で駐車場に戻る。3月初めまで地元で福寿草祭りが開かれる。
(日本山岳協会ガイド正会員 石川善教)

ガイドの目
唯一の注意箇所は「真名井の滝」横の岩場に付けられた鉄のはしごだ。降雨時や下りは通らない方が無難。山荘梶ケ森からの下りで、ゴロゴロ八丁コースは健脚者以外避けた方がいい。3月までは沢筋に雪が残る。確認の上登ってほしい。
山頂まで車道が通じる以前は山麓から奥の院まで、八十八カ所巡礼の参道があった。奥の院から上部に今も安置されている「七仏霊場」の石仏や弘法大師ゆかりの史跡を訪ね歩き、豊かな自然、四季折々の草花や渓谷美などを楽しんでほしい。

参考タイム
龍王の滝駐車場(10分)−龍王の滝(15分)−奥の院(40分)−天狗の鼻(30分)−梶ケ森山頂(30分)−山荘梶ケ森(30分)−奥の院(20分)−龍王の滝駐車場

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