北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第38回は、愛媛の「名低山」皿ケ嶺、三本杭から、「三本杭」を。

三本杭 sanbongui 宇和島市 1226m

渓谷美と眺望楽しむ
四国の3藩境界の山

闘牛で有名な城下町、宇和島の背後に連なる鬼が城山、高月山など四国南西部の山地の一角にある。山名は江戸時代に宇和島藩、伊予吉田藩、土佐藩の3藩が立てた領地境界標柱に由来する。もっとも、その標柱は横ノ森と呼ばれる近くのピークにあったと言われる。この山は高知県境から少し愛媛県側にあり、別名「滑床山」とも呼ばれる。渓谷美と花や紅葉を楽しめる山である。

四万十川の支流目黒川の万年橋を発着とするコースを紹介する。アクセスにはマイカーが便利だ。宇和島から国道320号を進み、松野町に入って目黒川をさかのぼれば約45分で着く。JR予土線松丸駅からタクシーを利用してもいいが、列車の本数が少ない。

万年橋からの滑床渓谷コースは「雪輪の滝」をはじめ花こう岩の大岩が多くの滑滝をなしている。美しい景観は春の新緑、夏の峡谷歩き、秋の紅葉と魅力いっぱいだ。変化のある渓谷美を楽しみながら35分ほどで雪輪の滝。その先を右岸に渡り、1時間余りで本谷と「二ノ俣」の合流点となる奥千畳に着く。緩やかでなめらかな渓谷は「滑床」の名にふさわしい。水音と小鳥の鳴き声は別天地にいるようだ。

二ノ俣に沿って緩やかに1時間強も詰めれば熊ノコルに到着、今ではクマはいないが、カの声が聞こえるかもしれない。ここから主稜線を三本杭に向かう。大きなブナが点在する道は後半急になり、やがて「タルミ(峠の地名)」に到着、左のアセビの中を登れば急に明るくなり、広々とした1等三角点の山頂に立つ。北に四国最高峰の石鎚山から四国カルスト、南予の高月山、近くには鬼が城山、八面山、豊後水道の遠方に九州の山々まで遮るもののない眺望を楽しめる。

帰りは東にのびる檜尾根を利用する。横ノ森のツツジの中を下りると、春は緩やかな平地にシャクナゲの群生が続く。5月の連休ごろ、3~4年の周期で咲き誇る様は見事だ。森林の中を緩く登るようになると標高999メートルの御祝山に着く。ここから急な下りが始まる。我慢は1時間強続くが、やがて出発点の万年橋だ。
(日本山岳ガイド協会正会員 清家一明)

ガイドの目
ファミリー向きに別コースを紹介する。黒尊スーパー林道(全舗装)を進み、標高千メートルを超す鹿ノコルで駐車。(約40台可能)。そこから鬼が城山、八面山、三本杭と縦走する。万年橋に比べ標高差が少ない。
鬼が城山のシャクナゲや眺望も楽しめる。帰路は大久保山と鬼が城山をトラバースして鹿ノコルへ。鬼が城迂回コースは、樹林の中が暗いので足元に注意してほしい。

参考タイム
万年橋(35分)-雪輪の滝(1時間20分)-奥千畳(1時間10分)-熊ノコル(40分)-三本杭(1時間)-御祝山(1時間20分)-万年橋 ▼鹿ノコルからのコース=鹿ノコル(30分)-鬼が城山(50分)-八面山(1時間10分)-三本杭(2時間半)-鹿ノコル

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