北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第36回は、徳島の「名低山」髙越山、中津峰山から、「髙越山」を。

高越山 koetsuzan 吉野川市 1133m

ツツジ大群落と剣山
端正な山容、阿波富士

徳島県中央部にあり、端正な姿で「阿波富士」の別名を持つ。古くは信仰の山で、弘法大師も修行したと伝えられる。山頂直下に高越寺が立つほか、随所に神仏像や鳥居などが設置されている。ツツジの名所としても知られ、特に山頂南方の船窪つつじ公園には、オンツツジを中心に樹齢数百年のツツジ群落が広がり、国の天然記念物に指定されている。

車で船窪つつじ公園を経て山頂近くまで行ける。車道を往復することも可能だが、登山を楽しむなら、吉野川市山川町南のふいご温泉からのコースがいい。

高越大橋から大きな右カーブを回った所に登山口がある。初めは送電線巡視路を行き、15分ほどで鉄塔「43」。番号がふられた鉄塔が続き、「47」から10分ほどで登山道と巡視路が分かれ、傾斜が強まってくる左手の尾根道を進むと20分ほどで開けた場所に出る。
正面に山頂を望む。中ノ郷の集落跡に寺院があり、トイレもある。林道に出合い、コイが泳ぐ池がある。登山口から1時間半ほどで、頂上までのほぼ半分の行程だ。

ここから尾根道を1時間ほどで倒壊した女人堂。これより上はかつて女人禁制で、赤レンガの門柱は女人結界を示す。山頂直下には立派な山門を持つ高越寺。山門横から石段を上り、すぐ尾根筋に出て左へ行けば頂上、右に行けば1等三角点があるが、頂上の方が10メートルほど高い。眺望は、剣山から徳島・高知県境の三嶺の山並み。北には吉野川が横たわる。船窪つつじ公園も一望できる。5月半ばにはツツジで赤く染まった山のかなたに剣山が浮かぶ景色が見られるかもしれない。

余裕があれば山頂部一周コースへ。まず奥ノ院のある西側の小ピークとの鞍部に向かう。鞍部から右に下りると車道に出、これを左に下る。その後ほぼ水平の車道で、尾根を回り込むと船窪つつじ公園からの道路に合流し、駐車場がある。

ここから急斜面を巻く徒歩専用の参道となる。数分行った先の岩塊はかつての修行場。30
分で高越寺まで戻り、往路を下山する。

船窪つつじ公園へ行くなら、山頂から片道約1時間。
(日本山岳ガイド協会正会員 大森義彦)

ガイドの目
登山道はよく整備されており、終始尾根伝いなので道に迷う恐れは少ない。頂上から一周コースの下り始めはやや足元が悪く要注意。駐車場からの参道は一部足元の切れた箇所があり、注意してほしい。この参道は積雪時には避けたい。
高越寺本堂の裏には無料休憩所があり、飲料の自販機も設置されている。山中に水場はない。
公共交通機関利用よりマイカーが便利で、下山後に山麓のふいご温泉で汗を流し、船窪つつじ公園を訪れるのもいい。ツツジの花期は例年5月中旬だ。

参考タイム
登山口(15分)−鉄塔43(45分)−鉄塔46(25分)−中ノ郷(1時間20分)−女人堂(15分)−高越寺(10分)−山頂(30分)−駐車場(20分)−高越寺(1時間)−中ノ郷(1時間)−登山口

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