北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第34回は、広島の「名低山」黒滝山、弥山から、「黒滝山」を。

黒滝山 kurotakiyama 竹原市 270m

地元親しむ、くろたきさん
奇岩と瀬戸の絶景、歴史

この山は北に延びる尾根で連なる三原市の白滝山(350メートル)と共に登られることが多い。海岸線に近く、花こう岩の奇岩と瀬戸の絶景を眺め、歴史の詰まったのんびり歩きが楽しい。

JR呉線の忠海駅に降りると、黒滝山の岩の頂上と直下にある観音堂を見ることができる。道はよく整備されている。そこかしこに観音様が祭られ「ミニ西国三十三カ所」として地元では「くろたきさん」と古くから親しまれ、初日の出の山でもある。頂上までは1時間ほどなので、途中にある「乃木将軍腰掛岩」など、展望ポイントは見逃さないようにしよう。

コースは随所で眼下に大久野島、芸予諸島、世界有数の斜張橋・多々羅大橋、遠くに四国の山々などを眺めながら歩く。登るにつれ海に反射する光と雲の変化する様子が楽しい。
僧行基の創建と伝えられる観音堂は、登山道から左へ進むとある。頂上へはもと来た道に戻るが、合流手前には鳥居があり、ここからくさり場のコースもある。岩場に自信があるなら直接、黒滝山頂上に行くことができる。もとの道に戻り、進むと山頂の一角に突き当たる。右に行くと広い「頂上広場」、左に行くと遮るもののないパノラマが楽しい小さなピークが連なる黒滝山に出る。ここでくさりのルートと合流する。

眺望を堪能したら白滝山へ向かう。丸太でできた階段の道をジグザグに下ると分岐に出る。白滝山に向かう道と下山で使う道の分岐なので覚えておこう。起伏の穏やかな道を進むと舗装道路に出て、白滝山の竜泉寺を訪れる方の駐車場がある。

ここから先は舗装された道。竜泉寺境内を抜けると山頂の八畳岩側面に彫られた磨崖仏を間近に見ることができる。江戸時代初期に彫られたといわれ、三原市史跡だ。八畳岩の上は広く、腰を下ろしてのんびりできる。昼食を済ませたら来た道を戻る。先ほどの下山道分岐からは右手へ。山腹を巻くトラバース道だ。つづら折りに下り出すとほどなくトイレのある「さくら堂」に出る。古い街並や細い路地を通り駅に戻る。
(日本山岳ガイド協会正会員 加藤智二)

ガイドの目
登山道自体は大変よく整備されているが、花こう岩の大岩は摩擦が利いて滑りにくい半面、風化し滑りやすくなった場所もある。展望の良い岩峰に立つ場合や山腹に点在する多数の観音像、磨崖仏を巡る登山道や踏み跡は足元が悪いところもある。スリップや転倒転落には十分注意したい。
瀬戸の海を見下ろす絶景の低山。家族や仲間とゆっくり楽しもう。時間に余裕があれば、今は「ウサギと遊ぶ島」になった旧陸軍の毒ガスの島・大久野島や「安芸の小京都」竹原の街並みなど歴史を味わうのもいい。

参考タイム
忠海駅(30分)−さくら堂(20分)−観音堂(10分)−黒滝山(50分)−白滝山駐車場(20分)−白滝山(1時間)−さくら堂(20分)−忠海駅

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