毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2017.08.24

第215回

時間の流れ、そして私の人生

益田 ミリ

時間の流れ、そして私の人生

 雨が降り出した。
 夕方の6時過ぎ。台風が東京にも近づいているらしかった。
 わたしは自宅の仕事机でこうしてパソコンにむかっている。
 パソコンの横にはコーヒーカップがあり、3時にいれたコーヒーが5ミリくらい残っている。
 なにを書くか考えずにパソコンにむかうことはない。ただ、ごくたまに、むかいたくなることもある。それが今であった。
 最近のことを考えてみる。
 昨日の夜は映画を見に行った。映画のあと、居酒屋に行った。揚げたとうもろこしがおいしくて、おかわりしようか迷ったが、居酒屋で同じメニューをおかわり、ってなんかちょっと照れくさい。やめた。昨日の朝食にも蒸したとうもろこしを食べているので、わたしは相当、とうもろこしが好きなようだった。
 おとといは、ジムのヨガクラスに参加したのだった。最近、たまに行っている。ヨガの最中、
「このポーズを覚えて、あとでひとりでやりたい」
 と思うのだが、いざ、寝る前に布団の上で試そうとすると、ちょっと違うのである。手の位置とか、顔の向きとか。
 その前の日は、友達と中華料理を食べに行った。2年ぶりくらいに会う友である。中華のあとは、できたばかりのめちゃくちゃオシャレなカフェにも行ってみた。
 わたしたちはオープンテラス席に案内された。テーブルの上には揺れるキャンドルの炎。友はモヒートを飲み、わたしはハイボール。
「ここにいたら、わたしたちもステキな夜を過ごしている人みたいに見えるのかな」
「見える……んじゃないかな」
 ハイボールのあと、わたしはフレッシュスイカジュースを飲んだ。スイカ~!という味だった。
 
 窓をたたく雨の音を聞きながら、ゆっくりと記憶をたどっていく時間。
 時間。
 パソコンの左に置いてある『三省堂類語辞典』で、「時間」を引いてみた。辞書で「時間」を調べるのははじめてだった。
 
 ある幅を持った時の長さ。 
 
 という一文を見て、パッと頭の中に浮かんだ映像は、浴衣の生地だった。仕立てる前の反物。それが、くるくると床に広げられて転がっていく様子。
 わたしの反物は、どのくらいまで広げられたのだろう?
 時計を見ると、この原稿を書き始めてちょうど一時間。すっかり夜になっていた。

★がついた記事は無料会員限定

関連書籍

益田ミリ『ちょっとそこまで ひとり旅 だれかと旅』
→書籍の購入はこちら(Amazon)


益田ミリ『きみの隣りで』
→書籍の購入はこちら(Amazon)

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

この記事を読んだ人にはこんな記事もおすすめです
  • 最新脳研究でわかった「疲れない人間関係」のつくりかた
  • これは日本の悲劇でもある。
  • 自然の力とバリの魅力に満ちた心あたたまる物語。
  • 今度こそ話せるようになる、すべての英語を学びたい人へのバイブル!
  • 清々しく満ち足りた幸せを手にするための、心の持ち方、暮らし方。
  • 実家に久しぶりに帰った姉が、引きこもり中の弟に大事な相談を持ちかける
  • 美人かどうかは目元で決まる。
  • 不確かな未来と冒険の物語を、その情熱で捕まえて、前へ進め!!
  • 「もう、冒険者やめたほうがいいんじゃないですか?」
  • ワケあり男女がシェアハウスに!
これは日本の悲劇でもある。
最新脳研究でわかった「疲れない人間関係」のつくりかた
全商品ポイント50%還元中<電本フェス>
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!