北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第29回は、奈良の「名低山」高取山、三峰山から、「高取山」を。

高取山 takatoriyama 高取町 584m

歴史とロマンを味わう
日本三大山城、高松塚も

山には「日本三大山城」の一つ、高取城址があり、残された石垣が今も壮大さをしのばせる。麓の植村氏2万5千石の城下町、高取は古くから「薬の町」として名高い。山を下りて歩けば高松塚古墳もある。歴史とロマンのコースを楽しもう。

近鉄吉野線、壺阪山駅で下車し、バスで約10分の終点壺阪寺で降りる。壺阪寺は西国霊場6番札所で目の病に御利益があるといわれている。お参りを済ませて入り口の階段から道標に従い歩きだす。車道と山道が交互に続くので道標を見過ごさないように注意しよう。

途中の五百羅漢の見物には周遊路をお勧めする。岩肌に無数の仏様が彫られておりその姿は圧巻である。広く歩きやすい道を行くと八幡神社参道の入り口。ここからいよいよ石垣が続く。ほどなく三の丸跡の三差路。この先が大手門で、吉野口などからの道がまとまる二の丸を過ぎ本丸へ。本丸跡の広場が高取山頂だ。桜、モミジの古木の間から、南に吉野、大台、大峰を望むことができる。二の丸は城内で一番日当たりがよく平場なので、藩主の屋敷や行政庁があったようだ。

休憩を済ませたら、先ほどの三差路から猿石へ向かって下る。途中余裕があれば左へ少しそれ、国見櫓跡から大和平野の展望を楽しもう。猿石は飛鳥地方に数ある謎の石造物の一つといわれている。

これより右へ道をとり竹林の中を抜け、樹林帯を下ると栢森。飛鳥川沿いに稲渕への緩やかな下りの車道を歩くが車には十分注意されたい。勧請橋を渡り、通称案山子ロードに入る。棚田の田園地帯を過ぎ朝風峠、次に目指すは高松塚古墳。分岐には道標があるのでチェックは忘れずにしよう。この古墳は7世紀末から8世紀初めに描かれた壁画で有名。
ご存じの方も多いだろう。最後のひと歩きで近鉄飛鳥駅に到着する。振り返ると、がんばって歩いてきた高取山の全景を見渡すことができる。

飛鳥京、藤原京が置かれたこの地には、日本最大級の横穴式石室「石舞台古墳」や古代
史の舞台となった「甘樫丘」をはじめ、下山後も見どころがいっぱいである。
(日本山岳ガイド協会正会員 荒木研一)

ガイドの目
一年を通して登山は可能。冬場は特にバス便が少なくなるので、タクシーを利用するか駅前から土佐街道(土佐の国から移り住んだ人が多かったことからこう呼ばれる)を過ぎ、壺阪寺の参道を歩くこともできる(1時間10分)。
紹介したコースは後半が長丁場のウォーキングコースとなる。また下山後の史跡巡りにはレンタサイクルを利用する方法もある。

参考タイム
壺阪寺(1時間10分)−高取山(15分)−猿石(40分)−栢森(30分)−稲渕(1時間)−高松塚古墳(25分)−近鉄飛鳥駅

 

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