北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第27回は、大阪の「名低山」剣尾山、岩湧山から、「岩湧山」を。

岩湧山  iwawakisan 河内長野市 897m

風になびく銀穂の波
落ち葉踏み日だまり歩く

大阪府と和歌山県境に横たわる和泉山脈の東部に、ススキなどのカヤトが雄大に広がる山だ。約7ヘクタールものカヤ場は「山焼き」で春を迎える。強い日差しの中、カヤがグングン背を伸ばす夏も良いが、秋から初冬、風になびく銀穂は格別だ。

南海高野線の河内長野駅からバスで終点の滝畑ダムへ。右手に川を見ながらしばらく道路を歩く。左手に駐車場とトイレがあり、その裏手から登り始める。すぐ現れる林道を横切り、杉の植林地を抜け、尾根上の「カキザコ」に出る。ここは小広くほっと一息つける。
晩秋の日だまりハイクが楽しめる落葉広葉樹の道が続く。落ち葉をカサカサと踏みしめて歩むと谷を挟んで見えるのが和泉山脈最高峰の南葛城山(922メートル)だ。

登山道を進むと明るく刈りはらわれた場所に出る。高圧線の鉄塔がたち、標高は750メートルほど。地図で位置を確認した後は、東に向って緩やかな尾根歩きが続く。登山道がススキの中を進むようになると頂上も近い。マイペースを保って木の階段を上ろう。一息入れて振り返るとレーダーが目立つ三国山が大きく見えることだろう。山名は大阪府(和泉国、河内国)と和歌山県(紀伊国)の国境上にあることからついたという。

山頂の肩の位置になる岩湧山西峰に着いたら、地図を広げて山の位置を確認する「同定」に挑戦してみよう。眺望は北に大きく開ける。空気が澄んでいれば明石海峡から神戸、六甲山、大阪の市街地から大阪府最高峰、葛城山(959メートル)と金剛山などが一望できる絶好の場所だ。このルートは50キロ近いダイヤモンドトレールの一部になる。

展望を楽しんだら紀見峠方面へ下る。樹林帯に入る手前、標高850メートルの鞍部には立派なバイオトイレが設置されている。岩湧寺へ下る分岐を過ぎ、阿弥陀山前分岐へ。和歌山県との境だ。南葛城山方面への道を見送ってダイヤモンドトレールを紀見峠へ進む。3合目の標識がある地点から越ケ滝方向へ標高差約300メートルを一気に下る。後は林道を川に沿って歩くだけだ。鉄道トンネルの横を過ぎ、橋を渡ると紀見峠駅に着く。
(日本山岳ガイド協会正会員 加藤智二)

ガイドの目
今回はスタートとゴールが異なる。晩秋から冬は木漏れ日があるが日は短い。暗いなか初めての場所を歩くことを避けるためにも早出・早着を心がけたい。ヘッドランプや帽子、手袋など防寒小物はすぐ出せるよう雨ぶたやザックの上部に収納し、小まめな行動食と水分の補給をしよう。
分岐点が多いので道標と地図の確認作業はまめに行いたい。下山は3合目分岐から一気に高度を下げる。疲れが出やすい後半なのでスリップに気をつけ転倒を避けよう。

参考タイム
滝畑ダムバス停(35分)−カキザコ(1時間50分)−山頂(45分)−阿弥陀山前分岐(40分)−3合目分岐(30分)−林道(30分)−紀見峠駅

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